2021/12/07進藤大典ヤーデージブック

【進藤コラム番外編】ジュニア大会を初開催 ステーブルフォード方式で学ぶ、攻める気持ちとゴルフの楽しさ

「ジュニアトーナメントを開催する」――。いま思えば荒唐無稽ではありましたが、それが今年の僕の目標でした。日本、米国でキャディとしてプロツアーに参加した経験をもとに、いずれ世界へとつながる理念を掲げる大会を開きたい。日本の男女のゴルファーが素晴らしい活躍を見せてくれた2021年は、個人的にはそんなプランを具体化させるのに奔走した一年でもあったのです。 そして、去る11月27日。多くの方々の協力のおかけで、中高生男女を対象にした大会「ステーブルフォード ジュニアチャレンジ トーナメント2021」を実施することができました。会場の千葉県・成田ヒルズカントリークラブは当日天候にも恵まれ、大会を終えられ...
2021/05/25進藤大典ヤーデージブック

23年前にもらったサイン ミケルソンはファンを愛し、ファンに愛される

大会前、どれだけの人がこの結末を予想できたでしょうか。50歳がメジャーで勝つという史上初の大偉業。フィル・ミケルソンは誰にもできなかったことをやってのけたのです。 興奮のるつぼと化した18番グリーンで見せた静かなガッツポーズ。2004年「マスターズ」制覇の瞬間に見せた大ジャンプを筆頭に、本来は感情表現の豊かな選手です。それだけ必死に高ぶる自分を抑えて戦っていたのだと思います。 2日目でトップタイに並び、3日目には単独のトーナメントリーダーに。しかし、振り返ればメジャーで驚異的な勝負強さを見せてきたブルックス・ケプカが忍び寄り、「マスターズ」を勝ったばかりの松山英樹選手をはじめ、若く脂の乗った猛...
2021/05/18進藤大典ヤーデージブック

松山英樹も「別格」とうなったアマ時代 イ・キョンフンの夢を追う覚悟

「AT&Tバイロン・ネルソン」でPGAツアー初優勝を飾ったイ・キョンフン(韓国)。米国でシードを手にしたのは2019年でしたから、僕の中では日本ツアーで戦っていたときのことが記憶を占めています。 人懐っこい笑顔であいさつをしてくれる姿が印象的。歌うことが大好きで、プロゴルファーになるか歌手になるか悩んだほどだったとか。日本語も堪能なお父さんが付きっきりで転戦をサポートし、一人息子を大事にしている様子も伝わってきました。 ツアー仲間に聞いても「怒っているのを見たことがない」と口をそろえる好青年。ソフトな雰囲気をまとう一方、選手としては二十歳そこそこだった当時から“本格派”のにおいがこれでもかと漂...
2020/07/16進藤大典ヤーデージブック

最終日は池ポチャだった 2014年初Vの記憶

ミュアフィールドビレッジGC 16番パー3(201yd) PGAツアーが2週連続同じコースでトーナメントを開催するのは、1957年以来のことだそうです。新型コロナウイルスの感染拡大でまったく先の読めない状況下、ツアーも選手たちのためにあらゆる手段を講じています。 そんな異例のミュアフィールドビレッジGC2連戦の2試合目は「ザ・メモリアルトーナメント」。ジャック・ニクラスがホストを務める格式高い一戦です。 基本的に選手とキャディ、コーチ以外の練習場入場を禁じるなど、オーガスタナショナルに通じるコンセプトが随所に感じられます。キャディが白い上着を身にまとい、緑と白のコントラストが大会を彩るのも、...
2020/09/04進藤大典ヤーデージブック

出るだけですごい最終戦 マキロイが10億円つかんだ16番

イーストレイクGC 16番パー4 (454yd) プレーオフシリーズ最終戦「ツアー選手権」は30人のみが立つことを許される舞台です。出場者には翌年のメジャー、ことしに限っては本来ツアー優勝者のみで争われる1月「セントリートーナメントofチャンピオンズ」の切符なども与えられます。 まさに出ることが、これ以上ないステータス。前週「BMW選手権」最終日の最終18番、滑り込みで初出場を決めるパットを入れたマッケンジー・ヒューズ(カナダ)が「ゴルフ人生最大のプレッシャーを乗り越えた」と優勝したかのように喜んでいたのは、決して大げさではないのです。そして、そのエリートフィールドに米ツアー参戦から出続けてい...
2020/06/18進藤大典ヤーデージブック

大西洋を望む狭小グリーン 小平智が初V決めた17番

ハーバータウンGL 17番パー3(174yd) PGAツアーが再開しました。これまで当たり前のように毎週開催していたトーナメントが3カ月なかった分、ありがたみを実感します。陽性者が出たという情報もないようで、まずはひと安心。予断は許しませんが、世界中のスポーツ界が少しずつでも動き出してくれていったらと願っています。 再開2戦目の今週は、いよいよ松山英樹選手も出場します。「RBCヘリテージ」はルーキーだった2014年以来の参戦です。このハーバータウンGLは、ひと言で表現してしまえば“日本っぽい”コース。木々でセパレートされたホールのフェアウェイは狭く、グリーンも極めて小さい。林間コースで、風の...
2021/04/27進藤大典ヤーデージブック

米国選抜打倒のキーマン “ダブルス巧者”そろう豪州&南ア

PGAツアー唯一のダブルス戦「チューリッヒクラシック・オブ・ニューオーリンズ」をマーク・レイシュマンとキャメロン・スミスのオーストラリアコンビが制しました。 松山英樹選手のキャディとして何度か経験したダブルス戦。世界選抜と米国選抜の対抗戦「プレジデンツカップ」、石川遼選手との同学年ペアで挑んだ2016年「ワールドカップ」、17年には谷原秀人選手とのチームでこの試合にも出場しました。その17年大会でヨナス・ブリクスト(スウェーデン)とともにツアー初優勝を飾ったのがスミスでした。 ダブルス戦でもっとも大事なのは、ボギーを打たないこと。そこに“打順”の要素も絡んでくるのが、このフォーマットならでは...
2020/11/12進藤大典ヤーデージブック

コブさえなければ…オーガスタ8番で試される“ショートする勇気”

オーガスタナショナルGC 8番パー5 (570yd) ゴルフの祭典と称される「マスターズ」が12日(木)に開幕します。コロナ禍にあって、11月開催もパトロン不在も大会史上初めてという異例の4日間。見慣れない秋のオーガスタとともに注目されるのが、9月の今季メジャー初戦「全米オープン」を自慢の飛距離で制圧したブライソン・デシャンボー選手のプレーでしょう。規格外のパワーが新たな攻略法を生み出すのか――。3つのホールをピックアップします。(解説・進藤大典) オーガスタにあるパー5は4つ。前回紹介した2番をはじめ、いずれもスコアを伸ばしていきたいホールです。1942年から昨年大会までの通算データでも、ホ...
2020/11/11進藤大典ヤーデージブック

パー5の2打目でショートアイアンも デシャンボーがマスターズを変える?

オーガスタナショナルGC 2番パー5 (575yd) ゴルフの祭典と称される「マスターズ」が12日(木)に開幕します。コロナ禍にあって、11月開催もパトロン不在も大会史上初めてという異例の4日間。見慣れない秋のオーガスタとともに注目されるのが、9月の今季メジャー初戦「全米オープン」を自慢の飛距離で制圧したブライソン・デシャンボー選手のプレーでしょう。規格外のパワーが新たな攻略法を生み出すのか――。3つのホールをピックアップします。(解説・進藤大典) 84回を迎える大会で勝ち方はさまざまですが、デシャンボーによって、「マスターズ」は新たなステージに突入するかもしれません。彼の追求するスタイルがオ...
2020/11/12進藤大典ヤーデージブック

狙いは隣のフェアウェイ? オーガスタ13番の新ルート

オーガスタナショナルGC 13番パー5 (510yd) ゴルフの祭典と称される「マスターズ」が12日(木)に開幕します。コロナ禍にあって、11月開催もパトロン不在も大会史上初めてという異例の4日間。見慣れない秋のオーガスタとともに注目されるのが、9月の今季メジャー初戦「全米オープン」を自慢の飛距離で制圧したブライソン・デシャンボー選手のプレーでしょう。規格外のパワーが新たな攻略法を生み出すのか――。3つのホールをピックアップします。(解説・進藤大典) “アーメンコーナー”の出口として知られる短いパー5の13番は、これまで大きく分けて2パターンの攻略ルートがありました。正面の松林に届かないよう3...
2019/08/08進藤大典ヤーデージブック

残り3ホールのはじまり 1オンチャレンジは功を奏すか

リバティーナショナルGC 16番パー4(325yd) PGAツアーはいよいよプレーオフシリーズに入ります。ことしから全3試合になり、第1戦は今後、1年ごとにニューヨークエリアとボストンで会場が入れ替わることになりました。試合後のフェデックスカップポイントランキングで下位選手が脱落していくサバイバルレースの始まりです。 今週の会場、リバティーナショナルGCでは2013年大会以来の開催になりました。ちょうど2年前、17年には「ザ・プレジデンツカップ」が行われました。当時とはホールの順番が入れ替わっているのですが、今回は16番、終盤の短いパー4をピックアップします。 325ydしかありませんから、...
2019/08/01進藤大典ヤーデージブック

バーディ必須のパー5 レギュラーシーズン最終戦は伸ばし合い

セッジフィールドCC 15番パー5(545yd) PGAツアーはいよいよ、来季のシード権も決まるレギュラーツアー最終戦となりました。来週の「ザ・ノーザントラスト」からは3試合のプレーオフシリーズとなります。一年は早いものですね。今週の会場は暑い、暑いノースカロライナ州グリーンズボロにあるセッジフィールドCC。優勝スコアは4日間で通算20アンダー前後と、例年バーディ合戦が繰り広げられています。 ピックアップしたのは15番ホール。今大会はパー5が2つしかない設定です。アウトの5番(529yd)とともに、このチャンスホールで確実にスコアを縮めないと、優勝争いにはからめない。特にサンデーバックナインで...
2020/02/06進藤大典ヤーデージブック

美しく、そして難しい 帝王が愛したペブルビーチの崖越えショット

ペブルビーチGL 8番パー4 (418yd) 「生涯最後のショットをするなら、ペブルビーチ8番のセカンドショットを迷わず選ぶだろう」 “帝王”ジャック・ニクラスは、かつてこんな言葉を残したそうです。開場100周年となった昨年、6度目となる「全米オープン」が開催されたペブルビーチGL。今週はトップアスリートや世界的セレブもカリフォルニア州のモントレー半島に集い、選手たちは4日間1人のアマチュアとチームを組んでプロアマ形式で戦います。2016年には東北福祉大で同級生だった岩田寛選手がフィル・ミケルソンと優勝争いを繰り広げ、僕も思い出深い大会です。 昨年、初めて撮影の仕事で行きプレーしましたが、その...
2020/02/27進藤大典ヤーデージブック

あの元世界NO.1も大嫌い!? ベアトラップ最難関は“乗ればOK”

PGAナショナル・チャンピオンコース 17番パー3(175yd) 今年もフロリダを巡る季節がやってきました。今週の「ホンダクラシック」に始まり、「アーノルド・パーマー招待」「プレーヤーズ選手権」「バルスパー選手権」と4週にわたるフロリダシリーズの始まりです。 第1戦の舞台となるPGAナショナル・チャンピオンコースは、ジャック・ニクラスが1990年の改修に携わったことで知られる超難関コース。その中でも、特に難度が高い15番からの3ホール=通称ベアトラップが有名ですね。今回はその3ホールから、最も難しいと言っていい17番をピックアップします。 やや打ち下ろしとなる175ydのショートホール。何と...
2020/01/09進藤大典ヤーデージブック

ワイアラエは左ドッグレッグ攻略が浮沈のカギ

ワイアラエCC 2番パー4(423yd) みなさま、新年おめでとうございます。PGAツアーも前週マウイ島での「セントリートーナメントofチャンピオンズ」でシーズンが再開し、今週はオアフ島で「ソニーオープンinハワイ」。いよいよフルフィールドで優勝争いが行われます。 日本人にとってもなじみ深い、会場のワイアラエCCはショットの飛距離よりも正確性が重視されます。前年のチャンピオン、ツアー屈指のショットメーカーであるマット・クーチャーのように、硬くて狭いフェアウェイ、小さいグリーンを丁寧に攻めたいところです。 2番ホールは序盤の厄介なパー4。ティイングエリアに立つと、選手、キャディはクリスマスや年...
2019/10/31進藤大典ヤーデージブック

【進藤キャディ解説】PGAツアー“最短パー4” 288ydのワナをかいくぐれ

シェシャンインターナショナルGC 16番パー4(288yd) 日本初開催となった米ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」が終わりました。これ以上ないほどの盛り上がりでしたね! タイガー・ウッズがひざの手術からの復帰初戦でツアー記録に並ぶ82勝目を達成。そして、松山英樹選手も本当に惜しかった。ホームゲームの重圧を背負いながら、あと一歩というところまでタイガーを追い詰めました。敗れはしましたが、つかんだ経験も多かったのではないでしょうか。大雨というアクシデントもありながら、日曜日は2万2000人以上のギャラリーが入り、まさに日本のゴルフの歴史が変わったのではないかと思います。本当に選手、関係者のみな...
2019/09/26進藤大典ヤーデージブック

フェアウェイでも左サイドNG 週末の1オンチャレンジに注目

シルバラードリゾート&スパ(ノース)17番パー4(375yd) 2019-20年シーズンがいよいよスタートしました。日本で初めてのPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」や「東京オリンピック」など楽しみな大会が目白押しの一年になりそうです。今週は第3戦の「セーフウェイオープン」。松山英樹選手、小平智選手がそろって始動します。 ピックアップしたいホールは終盤の17番。距離は375ydしかない、ツアーとしては短いパー4になりますが、緩やかな左ドッグレッグで、左サイドは高い林が壁を作っています。また、左のバンカーを超えるには310yd近く必要で、ここに入れてしまうと木々が邪魔でグリーンを狙えません...
2019/10/03進藤大典ヤーデージブック

ラスベガスのイーグルチャンス 砂漠地帯で飛距離を読め

TPCサマリン 16番パー5(560yd) PGAツアーの新シーズン4戦目は「シュライナーズホスピタルforチルドレンオープン」。カリフォルニア州のラスベガスでバーディ合戦が繰り広げられます。2018年大会こそ優勝スコア(プレーオフ)は通算9アンダーでしたが、タイトル奪取には例年20アンダー以上が求められるコースです。 パー5での取りこぼしは避けたいところ。とくに終盤16番は風がフォローだと第2打でミドルアイアンを持てるため、イーグルのチャンスがあるホール。松山英樹選手は2014年大会で2日目から3日連続でイーグルをぶちかまし、4ラウンドで7アンダーを1ホールだけで記録しました。 とはいえ、...
2020/02/20進藤大典ヤーデージブック

キャディ泣かせのメキシコシティ すべてが試される17番

チャプルテペクGC 17番パー3(172yd) WGCが世界のゴルフコースベスト100に選ばれる当地に舞台を移して4年目。選手はもちろん、サポートするキャディたちも万全のコンディションで乗り込んできたはずです。メキシコシティの標高は約2250m。富士山の中腹並みの高地です。しかも、アップダウンの激しいコースを歩き続けるわけですから、息が切れるどころか、体調を崩してしまう選手や関係者が毎年少なくありません。 何より大変なのは、距離計算です。気圧が低く、空気抵抗が少なくなる分、普段よりも飛ぶことは知られていますが、増加の割合に15~18%ほどと幅があるのが注意点。グリーンが硬く、フェアウェイもよく...
2020/03/12進藤大典ヤーデージブック

最高のゴルフ場に最高の選手たち “第5のメジャー”はダテじゃない

TPCソーグラス 18番パー4(462yd) いよいよ「ザ・プレーヤーズ選手権」が始まります。舞台はPGAツアーの総本山ともいうべきTPCソーグラス(フロリダ州)。今年1月に亡くなった“鬼才”ピート・ダイ氏の代表作とされるコースですね。浮島グリーンが印象的な17番を筆頭に池が絡むホールが多く、数々のドラマを生んできました。 高精度のティショットが要求されるのはもちろんのこと、軽く13フィートは出る超高速グリーン。昨季から13年ぶりに3月開催に戻ったことで、5月開催のとき以上に風が厄介になりました。夏芝のバミューダに冬芝のライグラスがオーバーシード(冬場には枯れてしまう夏芝に、冬芝の種子を蒔き、...