2013/08/25GDOEYE

涙が明かした“賞金女王”の苦悩

「泣いちゃダメ」。なんとか堪えていた涙はしかし、同組の吉田弓美子にかけられた言葉により、ポロポロとこぼれ落ちた。「今まで大変だったね。おめでとう」。ここ数ヶ月のアン・ソンジュの苦しみは、周囲の選手たちにも伝わるほど長く、重かった。 3ヶ月以上前に遡る。アンのメジャー3連覇が話題の中心になっていた「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパス杯」。記者会見場で笑顔も交じえて話していた「すごいプレッシャーです」との言葉は、その場にいた関係者の想像を超える重いものだった。勝たなければならない。勝って当たり前――。2010年、11年と2年連続で日本ツアーの賞金女王を獲得した実績は、それまで他人の話でし...
2013/08/30GDOEYE

新種パターに込められた、博士の新発想

片山晋呉が今週の「VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント」で、見慣れないパターを握っている。「1メートルのパットが90%以上の確率で入る」というふれこみで、8月上旬にヨネックスから発売された大型ヘッドモデル「TRIPRINCIPLE(トライプリンシプル)パター」。これがどうも、新しい発想に富んだ異端モデルといえそうなのだ。 このニューモデルを共同開発したのは、本職は内科医の福岡大学スポーツ科学部・清永明教授、64歳である。 アルミニウムを素材にして容積を拡大したヘッドは、中央部が半円型にえぐられている。これにより重心位置を深くして、最大級の慣性モーメントを実現。ピン型モデルよりも、スイ...
2013/08/31GDOEYE

片山晋呉 失くした財布はどこ?現金よりも大切な…

連日の悪天候の影響で54ホールに短縮され、首位タイに3選手が並ぶ混戦となった「VanaH杯KBCオーガスタゴルフトーナメント」3日目。通算5アンダー11位タイの片山晋呉も、首位とは4打差で2008年シーズン以来の勝利を狙えるポジションにつけた。だが、あることが気がかりで永久シード選手の内心は、それどころではないようだ。 事が起こったのは前夜である。サスペンデッドにより、プレー機会のなかった30日(金)の午後6時半過ぎ。片山は福岡市内で財布を紛失してしまった。タクシーに乗車した際に、置き忘れてしまった可能性が高いらしく、直後に気付いて、タクシー会社に問い合わせてはみたが、見つからない。傷心のまま...
2013/07/06GDOEYE

木戸愛を勝利へ掻き立てる、妹・侑来(ゆきな)の大きな存在

「妹・侑来の存在は私にとってすごく大きい」。 富山県で開催されている「日医工女子オープンゴルフトーナメント」の2日目、首位タイからスタートした木戸愛は5バーディ、2ボギーの「69」をマークするも3位タイに後退。ツアー2勝目を懸け、首位と2打差で最終日を迎える木戸。今大会で勝ちにこだわりたい理由のひとつには、妹・侑来の存在があった。 昨年行われた「2012年LPGA最終プロテスト」に出場した木戸侑来は、最終ラウンドで失速し、規定の20位タイ(上位18位タイ、24名)までに入ることができず不合格。父・修さんも会場に駆けつけ、家族全員揃っての応援もむなしく、涙を呑む結果に。そして侑来は今年再び、プロ...
2013/10/05GDOEYE

宮里優作、試練乗り越えツアー初優勝を狙う

「コカ・コーラ東海クラシック」の予選ラウンドで、ツアー12年目にして初めて2日間首位をキープした宮里優作。しかし3日目は「72」とスコアを伸ばせず、通算4アンダーをキープするにとどまり、首位の座を譲った武藤俊憲に2打差の2位タイに後退した。 スタートから5ホール、パーを並べた宮里に試練が訪れたのは、6番のサードショット時。グリーン手前から残り60ヤードをウェッジで打とうとした瞬間、背後で大きな音が鳴り響いた。その瞬間「あっ」と声を上げてクラブから手を離すと同時に、ボールはライナーでグリーンの奥まで飛んでしまった。 とっさに音の方向に目をやると、同伴競技者の呉阿順(中国)が、斜面でクラブを持って...
2013/10/04GDOEYE

グリーン上の奇跡? 現実に“ラインが見える”プロたち

パットが絶好調の時は、グリーン上に“ライン”が見える―――。マンガやゲームの世界ではない。現実のラウンドでハッキリと見えているのが、プロゴルファーの領域だ。 今週開催中の国内メジャー「日本女子オープン」2日目に「69」をマークし、2位タイへの急浮上を遂げた大山志保は、「今日はパットのおかげ」と25パットに抑え、アンジュレーションの強いグリーンを攻略。「今日は何年かぶりに、ラインがすごくキレイに見えたんですよ」。そのカラーはグレーで、だいたい指1本分くらいの太さに浮かび上がるという。 この、ボールからカップまでのルートを辿る一筋のラインだが、選手によってカラーや太さが異なるというから面白い。 プ...
2013/09/14GDOEYE

グリーン上でウエッジ?16歳アマの放つ輝き

雨の影響で1日遅れの開幕となったメジャー最終戦「ザ・エビアン選手権」。次々と年少優勝記録を塗り替えている16歳のアマチュア、リディア・コー(ニュージーランド)が第1ラウンドで、あっと驚く1打を披露し、会場を沸かせた。 距離は150ヤード前後と長くないが、横長でアンジュレーションの強いグリーンが待つ、難度の高い16番パー3。コーはピン左10メートルほどにティショットを乗せたが、そこからはカップの手前に大きなマウンドがうねっていた。つまり、“トーナメントレベル”でいう「乗せてはいけないところ」に乗せてしまったのだ。 「あれは、今日のハイライトでした」とコー。ラインを入念に読んだあと、手にしたのはパ...
2013/09/16GDOEYE

宮里美香、惨敗に涙「悔しいより、歯がゆい」

祝福のシャンパンが香る18番グリーン上で、歓喜に浸る同組のスーザン・ペターセンを笑顔で見つめていた宮里美香。しかし、アテストを終えるとトイレへ駆け込んで人目を逃れ、数分後に取材陣の前に姿を現したあとも、溢れ出る涙を抑えられなかった。懸命に作ろうとした泣き笑いの表情が痛々しい。 「悔しいというのもそうだけど、自分の中で歯がゆい。2日間、良いゴルフをしてこの結果だったから」。海外メジャー「ザ・エビアン選手権」最終ラウンド、それまで2日間単独首位を守りながら、「79」を叩いて“惨敗”した。同じ最終組では16歳アマのリディア・コーも最後まで優勝争いを演じ、途中からテレビの国際映像は同組3人のうち美香の...
2013/09/15GDOEYE

国内メジャーも72ホール決着を目指す機運

悪天候により最終日が中止となった国内女子メジャー第2戦「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」。4日間72ホールを戦ってこそメジャー勝者という思いを、見ていた多くのファンが抱いたかもしれないが、それは主催者の日本女子プロゴルフ協会も感じている。 小林浩美会長は言う。「今日もぎりぎりまで全員が18ホール回れないかと待っていたけど、天気が良くなる可能性がなく、リスクも考えた中で3ホールのプレーオフという決断になった。でも、今年はツアー強化を掲げているし、非常に前向きに72ホールでの成立ということを考えています」。 現在の協会規定では、「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」は54ホールを消化した時点で...
2013/09/15GDOEYE

米女子メジャー最終戦は54ホール完遂も危うい?

「メジャーとしての初年度でもあるし、72ホールの完遂を目指したい」。今年から米女子ツアー5番目のメジャーに昇格した「ザ・エビアン選手権」の関係者が言葉にこめた願いは、天に届くことはなかった。 12日の初日が降雨によるコースコンディション不良のためキャンセルとなり、15日に決勝ラウンド36ホールを決行予定にしていたが、天気予報が「雨」のため決勝ラウンド18ホールによる計54ホールに競技の短縮を余儀なくされた。予備日としていた16日(月)も予報は「雨」というからまさに無情の雨だろう。 先週の土曜日から連日の雨で、ドライに仕上げるはずだったコースは水分過多。もはや、大地に雨水を吸収する余力はなく、わ...
2013/09/12GDOEYE

プロキャディにできること。

初の賞金女王獲得へ向けてランキングトップを走る森田理香子だが、6月の「サントリーレディス」優勝以降、トップ10入りは無く、2度の予選落ちも経験するなど、3勝を挙げたシーズン前半の勢いは弱まりつつある。 長いシーズンを考えれば浮き沈みがあるのは当然だが、ランキングのトップにいることで受けるプレッシャーは想像に難くない。「流れ的に悪いと思われるかもしれないけど・・・、まだ試合はあるし、それに向けてやっていきたい気持ちは大きい」とは大会前の森田のコメント。高額賞金の掛かったメジャー大会へ臨む微妙な緊張感が伝わるだろうか。 今週、その森田を支えるのは、藤田寛之の専属キャディとして有名な梅原敦氏。過去、...
2013/09/08GDOEYE

元女王のド根性「私やっぱり…気合い入っちゃう」

国内女子ツアー「ゴルフ5レディスプロゴルフトーナメント」の最終日。今大会が故障からの2ヶ月ぶり復帰戦だった大山志保が、通算10アンダー3位タイで3日間の戦いを終え、プレーオフにこそ2打届かなかったものの、さすがの実力を示した。 6月末の「アース・モンダミンカップ」後に股関節の肉離れでツアーから離脱。「ゴルフができて楽しい」と、成績のことよりも大勢のギャラリーの前でプレーする喜びをかみしめながらの復帰戦だった。首位と1打差に肉迫した2日目終了後も「優勝したいと力んで失敗をしてきたので、自分の中では欲を出すとダメと言い聞かせます」。 最終日は、「2ヶ月休んで自分の性格がよくわかりましたから」と、、...
2013/07/21GDOEYE

松山英樹に降りかかったスロープレーの洗礼

「全英オープン」3日目、一時は首位に1打差に迫った松山英樹に突如下されたスロープレーによる1罰打。同組で回ったジョンソン・ワグナーは、ホールアウト後のアテスト小屋で、張本人の松山英樹も驚くほどに、このペナルティについて怒りをぶちまけていた。 選手側に立てば、17番でティショットを曲げた松山が向き合わなければならなかったショットの難度、ここまでのプレー内容を考えて、この1打にある程度の時間が掛かっても仕方ない。まして、後ろの組が待っている訳ではないのだから、という主張には頷ける。 一方でR&Aが説明するのは、罰打を課すに至った経緯。タイムペースから外れ、警告後に計測に入り、2度目に持ち時間をオー...
2013/07/20GDOEYE

オープンなのか、クローズなのか?

「THE OPEN」。大会名に固有名詞が付かないことが、歴史と権威を物語る。1860年に第1回大会が開催された世界最古のオープン競技は、今では最も世界に開かれた大会にもなっている。 予選会を例にとると、今年のミュアフィールドへと至る道はアフリカ(南アフリカ)、アメリカ(テキサス州)、アジア(タイ)、オーストラレイジア(オーストラリア)、ヨーロッパ(イングランド)という5つの地域で国際最終予選が開催され、松山英樹を含む総勢27名がその権利を掴んだ。その他にも、イギリス国内の14会場で地区予選が行われ、さらにはミュアフィールド近郊の4つのリンクスコースでも最終予選会が実施された。 今大会の出場者は...
2013/07/19GDOEYE

サマンサタバサレディース プレス発表会&スペシャルイベント

茨城県で開催されている「サマンサタバサ・ガールズコレクション・レディーストーナメント」の初日、全選手のプレー終了後に設けられた「プレス発表会&スペシャルイベント」が、クラブハウス内レストランで開催された。 「次世代の女の子たちがゴルフと積極的に触れ合う機会を作ろう」という本大会トーナメント理論のもと、女の子たちがゴルフ場に足を運ぶきっかけづくりとして実施。プログラム内でのプレス発表会では、昨年、サマンサタバサのCMに楽曲を提供しているE-girls(所属:LDH)のメンバーの中から楓、藤井萩花、藤井夏恋、佐藤晴美の4人が新しいサマンサミューズに参加することが決定し、この日、初お披露目となった。...
2013/07/18GDOEYE

異色の?「サマンサレディース」 で味わえる最高のおもてなし

クラブハウスに1歩足を踏み入れると、普段ではなかなか見られない光景が目の前に広がった。浴衣姿の艶やかな女性たち、肉体美、そして端正な容姿を強調するかのように揃いのTシャツ姿で颯爽とすれ違うイケメンたちが、来場するゲストを出迎える-。 茨城県で開幕する国内女子ツアー「サマンサタバサ ガールズコレクション・レディーストーナメント」を翌日に控えた18日(木)、豪華なゲスト陣を交えてのプロアマトーナメントが行われた。昨年、新規開催としてトーナメントスケジュールに加わった「サマンサレディース」は、今年で2回目。第1回目となった昨年の大会も、ファッションブランド・サマンサタバサのメインカラーであるショッキ...
2013/07/13GDOEYE

2位に終わった杉山知靖は“いい青年”

日本ゴルフ協会(JGA)が発行しているゴルフ規則は、第1章のエチケットから始まる。ゴルフというスポーツが技術やスコアよりもまず、マナーを重視するスポーツだからこその所以だ。 その模範とも思える立ち居振る舞いで「日本アマチュアゴルフ選手権競技」に出場していたのが、決勝戦で大堀裕次郎に敗れた杉山知靖だった。朝、ゴルフ場に到着すると関係者に一通り頭をさげて挨拶を交わし、ラウンド後もフロントに立つスタッフ1人1人に「ありがとうございました」と一礼。 ラウンド中も同伴競技者の立ち位置などに配慮し、アドレスに入ってからのプレーも早い。杉山がゴルフの心得を教えてもらったのは両親というよりも祖母だった。相手の...
2013/07/19GDOEYE

速すぎる?超高速グリーンに不満の声

イギリスらしからぬ好天続きの今年の「全英オープン」。練習日までは、夕方になるとグリーン上に水をまくスタッフ達が見られたが、大会初日を前にしてどうやらその作業は行われなかったようだ。 選手たちも敏感にこの違いに反応している。 タイガー・ウッズは言う。「みんながどんな文句を言っていたかは分かるよ。もっとグリーン上に水気があれば問題はないけど、乾くにつれて速くなる。今日、パットしたボールがグリーンから出てしまったこともあった。そんなに悪いパットじゃなかったのにね。1メートルちょっとオーバーしたものは、どこまでも行ってしまう。厳しかったね」。 ポールターは自身のTwitterでこうツイートした。「午後...
2013/10/24GDOEYE

マレーシア、多様性が生み出す力

羽田空港を真夜中に出発した飛行機が、早朝のマレーシア・クアラルンプール空港に向けて下降を始めた。窓の外にはちらちらとオレンジ色の街の明かりが光っている。すでに窓を通して外気のぬくもりが伝わってきていたが、飛行機の扉が開いて一歩外に足を踏み出すと、果実と香辛料が混ざったような暖かくやさしい空気が体を包みこんだ。 アジア特有の雰囲気は、日本人にとっては懐かしさも感じさせる。人と車でごったがえす空港や、整備された高速道路の脇で工事を途中で放棄したかのようなむき出しの路肩が同居する光景。一昔前の日本にタイムスリップしたような感覚だが、それはこの国の一端でしかない。 超高級車が散見される街中には高層ビル...
2013/10/16GDOEYE

米ツアー開幕戦で見えた、松山英樹&石川遼の2014年展望

松山英樹が3位タイ、石川遼は21位タイで終えた今季の米ツアー開幕戦「フライズドットコムオープン」。それぞれ、フェデックスカップポイントは134点と48点を獲得した。昨年のフォールシリーズ分として今季は6試合多く加算対象となり、その分を考慮すると今季のシード獲得となる125位のポイントは430点ほど(昨年は369点)と想定される。いずれによせ、2人とも好スタートを切ったといえるだろう。 今季から旧フォールシリーズの優勝者にはフェデックスカップポイントが満額支給されるだけでなく、来年4月の「マスターズ」出場権も与えられる。松山は世界ランキング(年末時点で50位以内/現在29位)での出場が濃厚だが、...