2012/12/16GDOEYE

欠場者発生時のルールと、その“犠牲者”

ブルネイのエンパイアホテル&CCで開催された「ザ・ロイヤルトロフィ」。僅差で迎えた最終日のスタートを前に、珍しい“ルール裁定”があった。シングルスマッチプレー8試合が行われる予定だったこの日の朝、ホセ・マリア・オラサバル(スペイン)が首痛を訴え、スタート前に急きょ欠場を発表。第1組でオラサバルと対戦予定だったベ・サンムン(韓国)が続く第2組に回ってニコラス・コルサート(ベルギー)と激突したため、そのコルサートとマッチプレーに臨むはずだったキラデク・アフィバーンラト(タイ)が代わりに欠場することになった。 大会では欠場者が出た場合、その対戦相手が“不戦勝”とならないのがルール。相手選手が離脱した...
2012/11/29GDOEYE

中長尺パター論争 藤田、石川、片山の目

R&A、USGAが28日(水)、長尺や中尺パターに関する問題で新ルールを提案した。これは一般的なパターよりも長いクラブを規制するものではなく、クラブのグリップエンドなどを手ではなく体に直接固定すること、または片方の手を胸部など体に密着させて間接的に固定するストローク方法(アンカーリング)を禁止にする方向性を示したものだ。 昨年の「全米プロゴルフ選手権」でキーガン・ブラッドリーが中尺パターを使う選手として初めてメジャーを制したことが大きな発端のひとつとなったこの論争。その後もウェブ・シンプソンが「全米オープン」を、アーニー・エルスが「全英オープン」を制すなど立て続けに“中尺旋風”が巻き起こったこ...
2012/11/18GDOEYE

女子プロとキャディの関係

「大王製紙エリエールレディスオープン」の、とある一日、ある組についてラウンド風景を観察していた。その組の3選手はいずれも帯同キャディを連れた20代前半の若手だったのだが、そのグリーン上の光景に違和感を抱かざるを得なかった。 最初にパットを打つ選手は、キャディがボールの後ろにしゃがみこんでラインを読み、選手はその“背中越し”にラインを確認。相談後に、選手がボールを置いてパットに臨む。 次のペアは、選手がボールの反対側からラインを読んでいる間に、キャディがボール側からラインを読みつつ、ボールに書かれている線をきっちりと打ち出すラインに合わせてマーカーの後ろに置いておく。戻ってきた選手がそれを確認し...
2012/12/01GDOEYE

日本チーム、唯一の勝利を支えた2人の脇役たち

「第11回 日韓女子プロゴルフ対抗戦」の初日、アウェー韓国釜山の地で戦った日本チームは、韓国チームの前に1勝5敗と大きく負け越して初日を終えた。全6試合の中で勝利を挙げたのはわずかに1試合。若林舞衣子と森田理香子が組んだそのペアをよく見てみると、意外な人物が彼女たちを支えていたことが分かる。 今週、若林のキャディバッグを担いでいるのは一ノ瀬優希。また、森田のバッグは福田裕子が担いでいる。つまり、4人のプロで韓国チームと相対したとも言えるだろう。 一ノ瀬は「シーズンオフで試合が無いし、自分よりうまい若林さんや韓国プロのプレーを間近で見られる。絶対に勉強になると思って、やらせてもらいました」と直訴...
2012/11/22GDOEYE

米ツアーのクオリファイに臨む心構え

宮崎県で「ダンロップフェニックストーナメント」が開催されていた前週、米国本土では来年度の米男子ツアーの出場権を争う予選会、セカンドクオリファイが行われていた。フロリダ、テキサスなど6箇所で開催され、シード権を喪失した今田竜二は残念ながら最終ラウンドに途中棄権して敗退。11月28日(水)~12月3日(月)に行われるファイナルクオリファイに進むことは出来なかった。 来年度のQスクールは下部ツアーのウェブドットコムツアーの登竜門となるため、この予選会がレギュラーツアーに直結する制度は今年が最後。そのため、日本ツアーからも将来の米国進出を目指す韓国勢が多く参戦した。今季の日本ツアー賞金ランキングの上位...
2012/11/22GDOEYE

数字で見る、全美貞の圧倒的な強さ

先週の「大王製紙エリエールレディス」開幕を前に、2戦を残して自身初の賞金女王を確定させた全美貞。今季はここまで4勝を挙げ、新たに導入されたポイントレース『メルセデス・ランキング』の獲得も既に決めている。同賞は各トーナメントの順位に応じてポイントが配分され、いかに安定して上位フィニッシュを続けてきたかを物語るもの。実際に、優勝を除いたトップ10入りは実に18回。2冠達成の栄誉に相応しい、突出した成績だ。 2つのビッグタイトルは全に渡ったが、まだ各スタッツの順位を競う部門別タイトル争いが残されている。とは言え、この争いでも、平均ストローク数、平均バーディ数、平均パット数の主要部門で全がトップに名を...
2012/11/25GDOEYE

小林浩美LPGA会長の、将来への熱弁

イ・ボミが「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」でメジャー初タイトルを果たし、幕を閉じた国内女子ツアー2012年シーズン。35試合の全日程を終了し、小林浩美LPGA会長が今季を総括した。いや、熱弁をふるった、という表現が的確だろうか。 優勝者を俯瞰的に眺め、やはり目につくのは日本勢と海外勢の勝利数だ。今季は海外勢20勝に対し、日本勢は15勝に留まっているという現実。「日本人としては頑張ったと思うし、全体的にはよく競い合ったと思う」と評する一方で、堰を切ったように、今後の期待をこめた鼓舞の言葉が続いた。 現在の女子ツアーを取り巻く環境について、「身近に世界に近い人たちがいることで徐々に...
2012/11/25GDOEYE

マキロイとドナルドの優勝争いに見るゴルフの奥深さ

欧州ツアー最終戦「DPワールド ツアー選手権 ドバイ」の3日目。欧州、米国のダブル賞金王が既に確定していることもあり、熱射病で体調を崩しているロリー・マキロイ(北アイルランド)が試合へのモチベーションを保てるかが疑問視されていた。 若干23歳の世界チャンピオンは「体調不良なんて、ただの言い訳。コースにでたらゲームに集中する。ただそれだけだよ」とサラっと言い放ち、1イーグル、5バーディ、1ボギーの「66」、通算17アンダーの1位と実力を見せつけた。明日の最終日は6バーディの「66」、同じく通算17アンダー、しかも連続100ホールをノーボギーでまわるという安定したゴルフを続けるルーク・ドナルド(イ...
2012/11/24GDOEYE

逆転シードは?浅地洋佑「プレッシャーをかけてください」

来年度のシード権争いの決着は、いよいよ最後の18ホールに委ねられる。高知県のKochi黒潮カントリークラブで開催中の国内男子ツアー第24戦「カシオワールドオープン」は3日目が終了し、最終日の25日(日)には来年度の賞金シード選手が決定。ランキング上位70選手、今年はツアー外メンバーのルーク・ドナルド(24位)を除く71位までのプレーヤーがシード獲得圏内となる。 昨年末にプロ転向し、杉並学院高を卒業した浅地洋佑は1年目の今季、6月に「ISPS・CHARITYチャレンジトーナメント」を制しチャレンジの史上最年少優勝を達成。しかしレギュラーツアーでは18試合中、11試合で決勝ラウンドに進みながらもト...
2012/11/24GDOEYE

不動が強風を望む、ちょっぴり変わった理由

「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」3日目は、スタート前から風速6mに迫る強風が吹き抜けるコンディション。その影響もあって全体的にスコアが停滞する中、森田理香子が21位から7位、不動裕理が19位から5位へと急浮上。最終日を前にしたムービングデーでジャンプアップを遂げた。 浮上の要因の1つに、この日吹いた強風を挙げていた2人。だが、その理由がまったく異なっていたのが面白い。森田の「回りが伸びづらくなる中で伸ばせれば、自然と上にいける」という言葉は、下位にいる立場からすればうなずける話。興味深かったのが、不動が口にした理由だった。 「風があるほうが、チャンスに寄りづらいでしょ。だから、...
2012/11/23GDOEYE

茂木、3位浮上の影に米ツアー賞金女王あり

茂木宏美は言う。「彼女のスイングが好きで、ずっと見ていた。ゆったりしているけどメリハリがあって、歯切れもいい」。その彼女とは、今季の米国女子ツアーの賞金女王に輝いた朴仁妃のこと。今年の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」最終日に初めてラウンドを共にし、そのスイングに目を奪われた。 そして今週の「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」2日目。ともに2アンダー4位タイで初日を終えてサロンパスカップ以来となる同組となった茂木は、6バーディ、2ボギー、この日のベストスコアに並ぶ「68」をマーク。通算6アンダーの3位タイに浮上し、初のメジャータイトルに向けて前進を遂げた。 「...
2012/11/23GDOEYE

46歳、鈴木亨の戦いは終わらない QT初参戦へ

年間25試合ある国内男子ツアーの24戦目「カシオワールドオープン」は、来年度のシード権を争う最後の戦い。シーズンの優勝者と国内賞金ランク25位以内の“エリート選手”だけが集う最終戦「ゴルフ日本シリーズJTカップ」を前に、重圧と独特の緊張感がKochi黒潮カントリークラブを包み込む。 2012年もそれは同じ。そして予選2日間が終了した23日(金)、決勝ラウンド進出を逃した選手の中には、早くもシード喪失が決定し、次週のファイナルQT参戦を決めた選手もいる。その中には46歳の鈴木亨の名前も。昨年末に賞金シード権を喪失し、今年はキャリアで1度だけ行使できる「生涯獲得賞金25位以内の選手」の権利で、21...
2013/10/07GDOEYE

「恐れを知らない男」松山英樹のプレジデンツカップ戦記

「恐れを知らない男」と現地メディアに評されたのは、初日のフォアボールマッチの最終ホールで、チームにポイントをもたらすスーパーショットを炸裂させたから、だけではない。「今まで見た日本人で一番いい」という声がラジオから流れ、「彼は精神的に強い」と知り合いの韓国人メディアが言う。「韓国人と同じように?」と問い返すと、「いや、韓国人はアップもするけど、すぐダウンもする。彼はずっとだ」と、ロープ外から見た松山英樹の印象をその記者は語った。 初出場となった「プレジデンツカップ」で、世界ランク2位のアダム・スコットと4試合をともに戦い、終盤はパットに苦しんだスコットの代わりにラインを読むことも数度。タイガー...
2013/09/07GDOEYE

中島マサオ 父とは「ゴルフの話はしなくなった」

松山英樹が今季3勝目に王手をかけた国内男子ツアー「フジサンケイクラシック」3日目。後続の選手たちがスーパールーキーの強さに呆れるような様子も見せる中、通算6アンダー、7位タイと上位につけた中島マサオの“優勝争いどこ吹く風”ぶりは際立っていた。自身の名が載るリーダーズボードを眺める表情も穏やかそのものだ。 永久シード選手・中嶋常幸の33歳長男は、今季これがレギュラーツアー4試合目。今大会にはマンデー予選会を通過して出場権を手にし、3日目まではそのチャンスを見事に活かしている。だが2010年以降、シードをつかめず、低迷を続けている現状は発言を弱気にさせてしまうようだ。 「今日も昨日も、パッティング...
2013/08/04GDOEYE

ミゲル・アンヘル・ヒメネスの胸板

初日から2日間をタイガー・ウッズとラウンドした松山英樹にとって、この第3ラウンドは、ちょっぴり寂しい気持ちもあったのかもしれない。「WGCブリヂストンインビテーショナル」3日目。早朝の悪天候を考慮し、3サムでのプレーとなったこの日、同組はライアン・ムーア、ミゲル・アンヘル・ヒメネス(スペイン)といった、少しばかり“通好み”な選手との組み合わせとなった。 前半の3ボギーを同伴競技者のせいにするつもりは毛頭ない。けれど「良いショットを打っても、拍手もなくて・・・」。大ギャラリーを引き連れた2日とはやっぱり違う雰囲気。しかもショット前にじっくりと間を取るヒメネス、そして乱調のムーアのプレーにはどうも...
2013/08/04GDOEYE

強風の中で聞いたビートルズ

予報通りの強風が吹き抜けたセントアンドリュース。「全英リコー女子オープン」3日目は、5組9選手がホールアウトしたものの、12時33分に風による中断が決定。その後は、1時間おきに情報がアップデートされるが、いっこうに再開には至らない。いたずらに時間だけが過ぎていった。 焦燥感に駆られて、ふらふらとメディアセンターを出ると、遠くから聞き慣れたメロディが風に乗って流れてきた。「I Saw Her Standing There」。言わずと知れたザ・ビートルズの初期の曲だ。 音に導かれるように近づいていくと、1番ティの脇にあるギャラリースペースにたどりついた。中央にある特設ステージで、ザ・ビートルズのコ...
2013/08/05GDOEYE

タイガー・ウッズが見せたパパの顔

少しばかり退屈だった最終日のラストシーンは、心温まるものだった。オハイオ州のファイヤーストーンCCで開催された「WGCブリヂストンインビテーショナル」で2位に7打差をつけ、圧勝で同大会8勝目を飾ったタイガー・ウッズ。最終18番グリーンで大歓声を浴びた後、王者は幼い子供を抱えながらアテスト小屋へと向かった。 4歳になった息子、チャーリー・アクセル・ウッズくん。前妻のエリンさんとの間に生まれた第2子だ。「最近、あの子も僕の仕事を分かってきたんだ。でも彼がいる前で勝ったのは、今回が初めてでね」。長女のサム・アレクシス・ウッズちゃんは、タイガーが最後にメジャーを制した2008年「全米オープン」の際、応...
2013/08/02GDOEYE

記者は見た! タイガー×松山の初同組ドキュメント

「松山英樹は今日、アンダーパーで回るか、オーバーパーか」。初日のラウンドが始まる前、会場のモニターに流れていたゴルフチャンネルでは小さくもそんな話題が挙がっていた。全米オープン10位タイ、全英オープン6位タイ。快進撃を続ける21歳の存在は、日を追うごとに米ツアーにも浸透を重ねている。練習を終えればサイン攻め。きっとネットオークションにでも出品するつもりだろう。自前で用意したプリント写真の束を手にした屈強な見かけの男たちさえ、松山がペンを走らせるチャンスを狙っている。 そんな中で迎えたタイガー・ウッズとの初の同組ラウンド。日系企業がメインスポンサーの「WGCブリヂストンインビテーショナル」で、日...
2013/08/02GDOEYE

セントアンドリュースとローカルキャディ

キャディの起源には諸説有るが、15世紀後半にフランスで育ったスコットランド女王・メアリーが、当時、軍の見習い兵が王族の為にゴルフクラブを運んでいた風習をスコットランドに持ち込んだというのが一つの説だ。 ここセントアンドリュースにもローカルキャディは存在する。その歴史をどこまで遡れるかは別の機会に委ねるとして、やはりコースのことを誰よりも知っている頼れる存在であることは間違いない。 今週、アマチュアのリディア・コーはローカルキャディを雇っている。「このコースはとても平坦だけど、グリーンには沢山の起伏がある。プレッシャーが掛かる場面で、彼が助言してくれるのはとても助かります。それに、バンカーや危険...
2013/08/03GDOEYE

T.ウッズ「61」 松山英樹「次元が違う」

会場の、そしてテレビの前の誰もが、リーダーボードに映るスコアカードと、残りホールの数とを見比べていた。「WGCブリヂストンインビテーショナル」2日目の午後。周囲の期待はタイガー・ウッズの“マジックナンバー・59”達成の一点に集中していた。 開始から3ホールをバーディ、イーグル、バーディで滑り出したタイガー。しかし4番から3ホールは1パットパーを並べる我慢が続いた。特に6番ではティショットが大きく左へ。木の根付近に付き、セカンドは真横よりも後ろに出すことを余儀なくされた。それでも5メートルのパットを沈めてセーブ。 「バーディパットよりも、パーパットを決める方が重要だと思っている。美しいスコアカー...