2020/03/11世界OB紀行
心地よい海風をセイル(帆)に受け、船はゆっくりと滑るように動き始めた。「エンジンを切って、風だけで進み出す瞬間が最高なんだよね」と、操舵輪を握るその人は言うのだが、その快感はただ同乗しているだけでは味わえない。そのことに気付いたのは、もう少し時間が経ってからだった。
(これは取材で世界を旅するゴルフ記者の道中記である)
その人(ここではRさんとする)は“アメリカンドリーム”を体現しているような人である。日本を飛び出してアメリカでキャリアを築き、56歳で悠々とリタイアした。趣味として始めたのがセイルボートだ。船にはエンジンも付いているが、それを使うのは出入港時や緊急時。沖に出るとセイルを張って、...