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2019年 全米オープン
期間:06/13〜06/16 場所:ペブルビーチGL(カリフォルニア州)

進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

恐怖の109ydパー3 僕もペブルビーチで打ってみた

ペブルビーチGL 7番パー3(109yd)

メジャー今季第3戦「全米オープン」がいよいよ始まります。ことしの会場はカリフォルニア州ペブルビーチGL。西海岸のサンフランシスコから車で南に2時間半ほど、モントレー半島にある、ゴルファーなら誰もが一度は訪れたい場所です。

ダイナミックな海沿いの絶景を望むホールが続くなか、やはり難しさをお伝えすべきはこの7番でしょう。世界的にも有名なパー3は、たったの109yd。メジャーで109ydしかないって驚きませんか? しかもティからは打ち下ろしがマイナス10yd入るので、実質的にはピンが手前にあるときで90ydほど。奥にカップが切られても115ydしかありません。

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快晴、無風の場合、この「全米オープン」に出場するプロならば、ティショットを10回打てば、ほぼグリーンにのるでしょうし、半分近くの確率でバーディも獲れると思います。しかしながら、ここは“サービスホール”ではありません。やはり難しくさせるのは、重たい潮風なんですね。

グリーンは縦幅22yd、横幅が一番長いところでも16ydほど。手前の入り口は8ydだけと、とても小さいつくりになっています。打ち下ろしのせいで、滞空時間が長くなり、それだけ風の影響も受けやすい。背の高い木が生えているわけでもなく、風を遮るものもありません。プロがグリーンのセンターを狙っても「楽勝!」とはいかず、グリーンオンするだけで、選手、キャディがホッとするシチュエーションともいえるのです。

風がアゲンストの場合、握るクラブは、7I、8Iにもなるでしょう。グリーンの奥は海が待っています。この状況でミドルアイアンを握るのはとてつもない恐怖。だって、PGAツアーでプレーする選手は普段、このクラブで170から190ydを打つのですから…。

フォローの風が吹いたときはSW、LWになり、ここでもまた違う難しさが出てきます。フルショットすれば130ydは飛んで、簡単に海に打ち込むことに。コントロールして距離を合わせる打ち方が求められます。“合わせすぎ”て、スピンが十分に入らないと、思ったよりも飛んでしまったり、風に落とされて飛んでいなかったりと、トラブルになりかねません。

さらに、右からの横風のケースも大変です。ウェッジではボールを捕まえやすく、ボールも上がりやすい。それを考えると、風の強さによってはグリーンのさらに右、海を向いてアドレスする必要があります。わずか100ydのショットで海を向いて打つのは、これまたとてつもない恐怖。風が止まれば、ボールは海へ一直線。警戒しすぎてボールを捕まえすぎると、左のブッシュや左奥の崖下に消えていくことでしょう。

今回は撮影のお仕事でメディアデーに参加し、実際に僕もペブルビーチをプレーさせていただきました。都度変わる風、豊かな自然…。コースから勇気や知性、冷静さといった、たくさんの“挑戦状”をたたきつけられます。この7番は右からの横風。海に向かって構えるだけで怖くなりました。ボールは案の定、そのまま抜けて太平洋に消えていったのです…。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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