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進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

タイトな“入り口”が難関 標高差攻略は計算勝負

■チャプルテペクGC 1番パー4(316yd)

年の最初の世界選手権シリーズ(PGAツアーのスケジュールでは、前年秋のWGC HSBCチャンピオンズに続くシーズン2戦目)がメキシコに移ってから3年目。ピックアップするのは、両サイドに木がせり出している狭いスタートホールです。

ティエリアからグリーンまでは11ydの打ち下ろしになり、距離も316ydしかありませんが、右サイドは272yd、左は278ydでそれぞれバンカーに入ってしまいます。ピンまで40yd前後の中途半端なバンカーショットは、プロでも難しいもの。打ち方はエクスプロージョンショットになりますが、SWではなくAWを使うケースも多くなります。PGAツアー選手であっても、アマチュアと同じように“ホームラン”のリスクを捨てきれません。

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アゲンストの風さえ吹かなければ、多くの選手は3Wどころか5W以下でも1オンを狙えます。ただし、グリーンは左から右に強い下り傾斜になるので、特に左サイドのバンカーには入れたくない。とはいえ、第1打を右サイドに打ち出すのは木が邪魔になります。わずかな右ドッグレッグの形状が視覚的に影響するのです。イーグルも狙えるスタートホール。まずはしっかり赤字にしてリズムをつかみたいのですが…。

メキシコシティの標高は2250m。気圧が低くなるため、ボールが普段よりも飛びます。ただし、一概に増加の割合が決まっているわけではありません。選手の打ち出すボールによって、滞空時間が異なるからです。1Wでは15%という選手もいれば、ダスティン・ジョンソンのようなロングヒッターは18%程度で計算します。加えて、ウェッジのように飛距離が短くなるクラブでは、その割合も少なくなるので単純計算できないのが難しいところです。

キャディさんによっては、数yd刻みで事前に計算後の数字を紙に書いてポケットに忍ばせている人も…。特にこのチャプルテペクGCはアップダウンが多いコース。クラブハウス周りが一番標高が高く、アウトは1番から5番はほぼ下りで、6番から9番が打ち上げ。インは14番までは打ち下ろして、15番から上がりホールに登り坂が続きます。これらが距離計算をさらに複雑にしています。

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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