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2021年 ザ・ホンダクラシック
期間:03/18〜03/21 場所:PGAナショナル(チャンピオン)(フロリダ州)

進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

「四十にして惑わず」と言うけれど…マット・ジョーンズの“岐路”

「ザ・ホンダクラシック」を制したマット・ジョーンズ(オーストラリア)のプレーには驚かされました。特に難度が高い15番からの3ホール=通称ベアトラップを含め、プレッシャーがかかる場面でもショットのテンポがまったく乱れませんでしたね。

シーズン通算でストロークゲインド・パッティングが29位(+0.54)とパットに秀でた選手ですが、最終日はグリーンを外したのが前半7番(パー3)の1ホールだけ。ショットの貢献度を示すストロークゲインド・ティ・トゥ・グリーンは4日間で「+14.301」を記録し、堂々の1位。後続に5打差をつけての逃げ切りは、とても7年ぶりのツアー2勝目とは思えないほどの横綱相撲でした。

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PGAナショナルのチャンピオンコースは、18ホールのうち15ホールで池が絡みます。今大会4日間で水に消えたボールは271個。これは「プレーヤーズ選手権」の288個に次ぐ今シーズン2番目の多さです。世界最高峰のツアーで戦う選手たちをもってしてもこの数字ですから、いかにタフなコースだったかが分かります。

毎ホールのティショットの難しさに限れば、僕の中ではPGAツアーでトップにあるのではないかというイメージすらあります。

ベアトラップの中でも特に神経を使うのが15番と17番のパー3。縦距離、横幅のライン、このコースの厄介なポイントでもある横風やアゲンストに対してのスピンコントロールといったあらゆる要素を加味して落としどころを見極めなければ、グリーンに乗せることもかないません。ちょっとでも吹き上がってしまったり、こすってしまったりすれば、次の瞬間にはボールが派手に水しぶきを上げていることでしょう。

ライン取り、番手選び、風の読み…キャディとしても失敗が許されないアドバイスを求められます。サポートする立場の僕たちでも、ここのティイングエリアに立ったときの緊張感は相当なもの。プレーする選手が感じる重圧は想像を絶するレベルです。

オーストラリアではアダム・スコットと同学年にあたる40歳のジョーンズ。1980年生まれのトッププロが結構多いことをご存知でしょうか。ジャスティン・ローズ(イングランド)、ブラント・スネデカー、早生まれですがセルヒオ・ガルシア(スペイン)もいます。日本では宮里優作選手と岩田寛選手。ちなみに僕も1980年生まれです(笑)。

肉体の回復力など変化も生じ、トレーニングの仕方も確実にアップデートが必要な時期。若い頃から活躍して成功を収めてきた選手ほど、モチベーションの維持にも向き合わなければなりません。

世界中から才能が集結し、若手の台頭が著しいPGAツアー。特にパワーゲーム全盛と言われている昨今でも健在ぶりを示している選手がこれだけいるのは、勝手に誇らしくもあります。

6年前、日本ツアー「三井住友VISA太平洋マスターズ」を制した片山晋呉選手が、鷹を引き合いに年齢について語ったことがありました。多くの寿命が40歳程度という中、衰えた肉体を自ら壊すことで70歳程度まで生きる個体も20%ほどいるというもの。

ジョーンズはかねてスコットと「(40歳を迎えて)これからの5年がハードな時間になる」と話してきたそうです。選手として岐路に立つタイミングで、開催前週に初優勝した2014年以来となる「マスターズ」の切符をつかみ、「プレジデンツカップ」のメンバー入りも狙える位置に上がってきました。

自らの力で道を切り開き、これからどんなキャリアを築いていくのか。同い年としてエールを送りながら、活躍を見守っていきたいと思います。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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