2012年 全米プロゴルフ選手権

【WORLD】A.スコット 再起への期待

2012/08/10 11:33

Golf World(2012年8月6日号) GW bunker

歴史を振り返ってみれば、スコットがリザムで残した失態は、カーヌスティで開催された1999年全英オープン最終日最終ホールでそれまで首位だったジャン・ヴァン・デ・ベルデが記録したトリプルボギーと比較すると、4ホールで1打多い。1996年のマスターズでノーマンがニック・ファルドに逆転されたケースとは異なり、スコットは落ち着き、しっかりと自制出来ていたように見えた中、ラスト4ホールから大崩れ。最終的に1打差で敗れたことが、よりスコットの胸に突き刺さったことだろう。

だが、過去には今回以上の苦しみ、スランプも味わった。23歳の若さで、2004年「ザ・プレーヤーズ選手権」で優勝、2006年には26歳で「ツアーチャンピオンシップ」を制したスコットは、怪我、そしてプライベートの問題によりプレーにも大きな影響を与え、3年前には世界ランキングも50位以下に落ち込んだ。「なぜそうなったのか分からないけれど、ダメな時期だった」と、当時について語るスコットにとって転機となったのは、2009年。同年メジャー4大会で3度予選落ちした彼を、ノーマンがプレジデンツカップのキャプテンピックで選択。支持されたことでスランプから抜け出し、今再びメジャー大会での傷心から立ち直ろうとしている。

ノーマンは悩めるスコットに対し、「アダム自身も、自分にメジャーで優勝するだけの実力があることをわかっている。彼は勝ちたいんだ。ひとたび自分を苦しめている邪悪な蛇の頭を切り落とすことが出来れば、あとは自分の力で扉を開くだけ。彼なら必ず出来る」と激励している。

果たして本当にそうなるのだろうか?

同じことは2009年の全英オープン(ターンベリー)後のリー・ウェストウッドにも言われた。英国出身のウェストウッドは、それ以降メジャー12大会に出場し、現在までメジャー通算58大会でプレーして未勝利。そしてセルヒオ・ガルシアも1999年の全米プロゴルフ選手権で優勝したタイガー・ウッズに次ぐ2位に入り、メジャー大会優勝間違いなしと言われていたが、2007年の全英オープン(カーヌスティ)ではパドレイグ・ハリントンの前に敗れ、メジャー大会56戦未勝利となっている。

もちろんスコットは、ガルシアと同じ道を歩むつもりはなく、昨年マスターズで優勝を逃しながらもその2か月後の全米オープンを制したロリー・マキロイのような結果を残したいと考えているはず。

過去全英オープンを制したイアン・ベーカーフィンチは、「メジャーで何度も勝てる気がすると言った彼は頼もしい限り。非常に勇気のある選手だ」と称賛。何にも左右されない力を勇気とするのなら、それがスコットに確固たる決意をもたらした。メジャー優勝を祝うシャンパンは、”その時”を氷水の中で待っている。

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