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【WORLD】砂漠での決戦/2011年欧州男子最終戦レビュー

Golf World(2011年12月19日号)texted by John Huggan

なんてことだろう。一体どこから話を始めればいいのだ。12m超えのロングパットを最終日の最終ホールで決め、今季のドバイ・ワールドチャンピオンシップを制したロングヒッターのアルバロ・キロスか?猛烈な追い上げをみせ、17万2,000ドルに値する約5メートルのバーディパットを沈め2位でホールアウトした元全英オープン優勝者のポール・ローリーか?それとも、欧州ツアー賞金王を争ったルーク・ドナルドロリー・マキロイの世界ランクトップ2人?

順番はつけられないが、まずはドナルドのシーズンについて触れてみたい。ドバイ世界選手権を3位でフィニッシュしたドナルドは、賞金47万7353ドル、それから年間賞金ランキング上位15位に振り分けられるボーナス150万ドルを合わせ、今季世界で合計1100万ドル近くの賞金を獲得した。普段は控えめなスコットランド人とのハーフであるドナルドは、大会前日に34歳となった週を最高の形で締めくくったと言える。欧州ツアー賞金王に与えられるバードントロフィーは最高のバースデープレゼントになったことだろう。世界ランクトップに導いたミスの少ない安定感のあるプレースタイルにより、ドバイの最終日にはノーボギー、そして上がり3ホール3連続を含む6バーディでフィニッシュした。

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「ここ数ヶ月間、欧米同時タイトルを取ることだけに集中していた。残り6ホールになった時点で歴史を作れたと確信したよ。その瞬間プレッシャーからも解放されて、笑顔も出るようになった。大会に勝てれば更に良かっただろうけれど、自分の目標、つまり、Race to Dubaiを勝ち取って2冠を達成して、歴史に名を残すことができた」。

前例の無い快挙を達成したドナルドの代名詞は、絶対的な安定感。では、どれだけ成績のアップダウンが少なかったかを、数字と共に振り返ってみよう。欧米で共に賞金ランキング1位となったドナルドは、80ラウンドのストロークプレー、そして2度のマッチプレーイベントをこなし、そのうち47ラウンドで70を切ったのだ。75を上回ったのは今季1度だけ。それは彼にとってシーズン初戦となったノーザントラストオープンの79だった。そして10回あったマッチプレーで負けたのは、ボルボ・ワールドマッチプレー選手権決勝で同胞のイアン・ポールターに敗れた1度きりだ。

そして更に安定感を示す証拠として、今季出場した25試合でトップ10に19回ランクイン。予選落ちとなったノーザントラストオープン、全英オープンを除き上位18位から外れたのは全米オープンだけだった。欧州ツアーでのワーストは、マドリードでの11位タイのみ。そして何よりも特筆すべき点は、10年のキャリアで、欧州ツアーではメジャーではない大会で予選落ちゼロという記録だ。これこそが安定感というものだろう。「自分のキャリアで成し遂げていないこととしては、やはりメジャー大会優勝だろうね。今年は、メジャー制覇以外は自分のやりたいことが出来たと思う。今年の経験が来年以降に生きてくれれば良いと思うよ。とにかく、常にレベルアップするよう努力していくだけさ」。

史上初の快挙を達成したドナルドだが、おしゃべり好きなキロスの優勝も忘れてはならない。9ヶ月にも及んだライダーカップ出場権をかけた戦いに勝利し、初めて出場権を獲得。長い道のりを歩んできたキロスは、優勝賞金120万ドルもゲットした。今季は同じくドバイで開催されたデザート・クラシックでも優勝しているキロスは、年間2勝目となった選手権最終日、ローリーとの接戦を制した。

1打差首位で迎えた最終日の最終ホール。飛ばし屋として知られるスペイン人は、難しいパー5を2打でグリーンに乗せると、ロングパットを沈めてイーグル奪取。これに対し、12年以上前にカーヌスティで全英オープンを制した42歳のローリーは、フェアウェイがクリークによりふた手にわかれている18番で脇役を務めなければならなかった。それでもキャリア最高の81万5184ドルを獲得したことで、少しは慰めになったのではないだろうか。

「そこまで長い距離とは思っていなかったけどね」とは最終ホールで、残り240ヤードを3番ウッドのセカンドショットで、矢のような弾道でグリーンに乗せたキロスの談話。「自分にとっては十分いける距離だったから、攻めたまでのことさ」。「パットは12mくらいだったかな。傾斜がきつかったし、左右に球がぶれるから難しかった。それを完璧に決めたんだから、俺は天才だね」。こうキロスが語ったからと言って、ドナルドが天才ではないということではない。実際、大会終了後に最も注目されたのは、歴史に名を残したドナルドだったのだから。

そのドナルドを逆転しての賞金王獲得を狙っていたマキロイは、賞金王になるためには、ドバイを制し、そしてドナルドが9位タイ以下(同じタイは1人まで)の成績で終わる必要があった。もしこの筋書き通りにことが進んでいたら、マキロイは僅か7ドルという僅差で逆転賞金王となっていた。

長いシーズンで蓄積した心身の疲労を考慮してみても、両者の戦いは非常にフェアで激しいものとなった。ドナルドは大会前、わずか4日間の間に父親を失い、娘を授かったという複雑な胸中を抱え、そしてマキロイもデング熱の疑いが強い最悪の体調の中でプレーを続けていた。

大会3日目までは接戦としていたものの、マキロイは調子を落とし、ドナルドが66と安定したスコアを出したため、賞金王レースからの脱落を宣言。「これで終わり。最終日もルークは必ず安定したショットを見せるはず。年間を通して素晴らしいプレーを続けていたわけだし、世界一に相応しい。欧米で賞金王になるなんて、彼に取って本当に素晴らしいシーズンだったと思う」。

史上初の快挙を達成したドナルドの驚愕すべき安定感をもっと称えよう。

米国ゴルフダイジェスト社提携
Used by permission from the Golf DigestR and Golf WorldR. Copyrightc 2011 Golf Digest Publications. All rights reserved

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