発売当初から話題になっていた「ロケットブレイズ」
ソールの溝効果? で独特の弾き感が味わえるアイアン
「週刊ゴルフダイジェスト」連載「ゴルフギア探検隊」(2月19日号)より
ギアマニアの児山和弘氏が様々な角度から徹底したギア研究を行う人気連載から、テーラーメイド「ロケットブレイズアイアン」の評価を紹介しよう。今季の米国男子ツアー開幕戦で優勝した契約プロのダスティン・ジョンソンが使用していたのは、このモデルの「ツアー」バージョンだ。
ぶっ飛びフェアウェイウッドとして、昨年大ヒットした「ロケットボールズ」FWと同じ“スピードポケット”と名付けられた溝がソールにほどこされたアイアンだ。この溝幅は「ロケットボールズ」FWやユーティリティよりもずっと細く、溝にはポリマー樹脂が埋め込まれていて、なかに芝や土が入る心配はない。
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テーラーメイドによれば、技術革新によってドライバーやFWの飛距離が伸びたため、それらとの飛距離差を埋めるためにアイアンも飛距離が出るようにするべきなのだという。そこで飛距離重視のアイアンということで生み出されたのが、この「ロケットブレイズ」というわけだ。
アイアンはグリーンを狙うクラブであって飛距離は必要ないという意見は根強い。しかし、同じ距離を打つなら、より短い番手で打つほうが心理的な安心感がある。力まず打てるので、アマチュアの場合、結果もよくなることが多い。
とはいえ、現代の飛ぶアイアンの大半は、ロフトを立てたストロングロフト。以前に比べると2番手近くロフトが立っているものも少なくない。そのため、ミドルアインアンでは飛距離も出るが弾道が低くなってランも出る。Studio CGAで計測してもらった「ロケットブレイズ」7番アイアンのリアルロフトは30度。
まず、打ってみて感じるのは打感のよさ。軟鉄鍛造アイアンのような軟らかい感触ではなく、過去のアイアンにはなかった独特の弾き感がある。これが溝効果なのだろうか。またフェースの下めに当たったときには、他にありがちなハーフトップの硬い打感がない。
計測値ではボール初速は47.9m/s、同タイプのアイアンと比べるといくぶん速くなっている。飛距離は一番手も変わらないけれど、“弾く打感”が飛距離アップの感じにつながって、同じ距離を打つのも気分よく打てる。アイアンの“溝”はゴルファーの福音になりそうだ。
●こやまかずひろ:ゴルフ道具研究家。数々の中古ショップの立ち上げに参加、ゴルフグッズ製作にも携わる。オモテもウラも知る、ギア&グッズどっぷりのゴルフボーイだ。1974年広島生まれ。