タイガー・ウッズ、ドバイの新コースをデザイン
2014年PGATOURギアトレンド(4)ナイキ
プロゴルフ界におけるギアニュースのヘッドラインを奪ったのは、またしてもロリー・マキロイだった。ナイキと大口契約を結んで1年、25歳のマキロイは「全英オープン」と「全米プロゴルフ選手権」を制すなど2014年シーズンの最後の5カ月で4勝を飾り、その名をコースに残した。
その過程でマキロイは、59度のVR X3X Toe Sweepウェッジ、VR_S コバート 2.0 フェアウェイウッドの3番、そしてMMProtoの2番アイアンなどの新しいギアをバッグに追加し、即座に効果を発揮した。これら3本のクラブは、マキロイの挙げた4勝でそれぞれ役割を果たしている。
新しいギアは必ずしもすぐに結果につながるわけではないが、マキロイの場合、計算された変更は、キャリア最高のシーズンを導いた。
ツアーで発表されたギア:
VR_S コバート 2.0 ドライバー、VR_S コバート 2.0 フェアウェイウッド、VR_S コバート 2.0 ユーティリティ、VR_S コバート 2.0 ツアードライバー、VR_S コバート 2.0 ツアーフェアウェイウッド、VR_S コバート 2.0 ツアーハイブリッド、VR X3X Toe Sweep (ウェッジ)、VRS Covert Forged (アイアン)、MM Proto (アイアン)、RZN (ボール)、Vapor (ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアン)
PGAツアー勝者 (2014):
ラッセル・ヘンリー (ホンダクラシック)、ノ・スンヨル (チューリッヒクラシック)、ロリー・マキロイ (全英オープン、WGCブリヂストンインビテーショナル、全米プロゴルフ選手権)
ロリー・マキロイがMM Protoアイアンをリーク:
ロリー・マキロイが大会前の水曜日に、「今週の新しいクラブ。#mmproto」というコメントとともに、ナイキ MM Protoの2番アイアンの画像を自身のインスタグラムにアップし、ニュースとなった。その時点でメジャー2勝を挙げていたマキロイは「全英オープン」への足がかりとして出場する欧州ツアーの「アバディーン・アセットマネジメント・スコットランドオープン」を翌日に控えていた。
マキロイは「スコットランドオープン」と「全英オープン」でこのクラブを使用。優勝した「全英オープン」の最終日には、17番と18番で鍵となるショットをこの2番アイアンで放っている。
ナイキは結局、一般向けにはMM Protoアイアンを40セットしか販売しなかった。これは特にPGAツアーの選手向けに設計されたクラブであり、マキロイ、タイガー・ウッズ、そしてテキサス州フォートワースにあるザ・オーブンと呼ばれるナイキの研究開発施設のエンジニアとの共同作業で生まれた。
ノ・スンユルのパター変更:
パターの変更は必ずしも生産的な結果に結びつくわけではないが、ノ・スンユルの場合、パターをナイキのメソッド 006からメソッド 005へ変更することにより、「チューリッヒクラシック」でのPGAツアー初勝利につながった。
ツアーでのパットのストローク貢献率を121位で同大会を迎えたノは、フェイスに施された高分子金属溝のテクノロジーによりインパクトの震動が抑制され、打音によるフィードバックにより距離のコントロールに最高の効果を発揮するマレット型のメソッド 005へとパターを切り替えた。
ナイキのツアー関係者によると、ノはパターの見た目、若干重いヘッドの重量(メソッド 006より若干重い)、アドレス時の構えが気に入ったという。
ノは勝利の後「長い間ブレードパターを使ってきたけれど、最近はそこまでフィット感が良くなかったんだ」と述べた。「ナイキのパターマン、スティーブ・スタックが僕にとって最もしっくりくるパター探しを手伝ってくれ、メソッド 005が一番だった」。
「マレット型のパターの形が気に入っている。トップのアラインメント補助や重ためのヘッドの重量もね。マレット型のパターはアドレスで構えやすく、ボールをラインへ乗せて打つことができる」
マキロイの新しい3番ウッド:
2014年の「全米プロゴルフ選手権」を振り返ると、大会で一番のショットを選ぶのはそう難しくない。ロリー・マキロイがパー5の10番で放った、残り280ヤードの第2打がそれにあたる。閃光を求めたマキロイは、すばらしいショットを放つと、ボールがフェアウェイからピン側2メートルへと転がるのを見守り、そのホールをイーグルとした。
あのショットが大会のターニングポイントとなったのは明白だ。マキロイは前週の「WGCブリヂストンインビテーショナル」から大会で使用し始めた15度のVR_S コバート 2.0 フェアウェイウッドの3番で、あのショットを打った。昨年よりVR_S コバートフェアウェイウッドの3番を使用していたマキロイは、弾道が力強く、彼のショットに欠けていた最後のピースを埋めたVR_S コバート 2.0 フェアウェイウッドを気に入った。
ラウンド後、マキロイはあのショットについて、結果にはちょっとした運も関係していることを認めた。
「あの弾道は狙いよりも9メートルほど低かったんだ」とマキロイ。「そしてショットの方向は狙いよりも13メートルほど左に出たんだ。本当にラッキーだったね。メジャーで優勝するにはちょっとした運も必要なのだけど、あれは優勝をもたらす幸運だったね」。
ラッセル・ヘンリーの5番ウッドのショット:
「ホンダクラシック」でラッセル・ヘンリーがパー5の18番で放った2打目が、今季最高のショットの一つであることに疑いの余地はない。4人で行われたプレーオフ1ホール目のフェアウェイに立ったヘンリーは、強烈な5番ウッドのショットでグリーンを捉え、残り12メートルを2パットで沈め、このホールをバーディとした。
ヘンリーはどのクラブを使ったのか。PGAツアーの2013年シーズン終了後にバッグに加わったVR_S コバート 2.0 フェアウェイウッドの5番がその答えだ。
低スピンのVR_S コバート 2.0 フェアウェイウッドは、ソールとクラウンを一体化させる再設計されたFly-Braceテクノロジーのキャビティバックが搭載されており、これによりヘッド後方の安定感が増している。
「このクラブは少しスピンが利くんだ」とヘンリー。「だから、キャリーを伸ばすことができ、それがプレーオフの18番では大きな助けになったね」。
ヘンリーが最終ラウンドの18番ホールで経験した感情のうねりを考慮すると(彼は正規の18番では残り40ヤードのチップショットをミスしている)、日曜の午後に彼がPGAナショナルで勝利を手にしたのは当然の帰結といえるかもしれない。
マキロイがウェッジを変更:
ロリー・マキロイは2014年シーズンのほとんどを、いつもの3本のウェッジのセットアップに固執したが、いくつかの大会ではコースコンディションに対応するため、変更を余儀なくされた。
「BMW PGA選手権」はその一例で、マキロイは59度のVR X3X Toe Sweepウェッジを使用している。結果的に、このクラブは2014年の初勝利で重要な役割を担うこととなった。
このクラブはいくつかの優れたナイキ製ウェッジの持つ要素がブレンドされた独特のソール形状を持っており、バンカーではワイドソールとして力を発揮し、グリーン周りのタフなライではスライドする仕組みになっている。
「Toe Sweepウェッジを初めて見たとき、明らかに慣れ親しんできたウェッジとは違った形状をしているのが目についた」とマキロイ。「BMW PGA選手権の前週、僕はあのウェッジを自宅でいじっていたんだ。どんなもんかな、という感じでね。ラフからショットを打ち始めると、今まで使ってきたどのウェッジよりも、ラフからのコントロールが簡単にできることが分かったんだ」。
「それで、ウェントワースでは実際に大会で使うことにしたんだ。あそこではグリーンをミスするとだいたいラフに捕まるからね。最終日はショートゲームが大きな助けとなったから、あれはすばらしい追加戦力となったね」
ナイキがVaporを発表:
2015年のラインアップの一つではあるが、ナイキは8月にロリー・マキロイ、タイガー・ウッズ、コメディアンのジミー・ファロンがホスト役を務めたニューヨークでのローンチイベントでVaporアイアンラインを発表した。
Vapor Pro、Vapor Pro Combo、Vapor Speedの3種類のモデルからなるこのアイアンのラインナップは、既に多くのナイキ契約選手によって使用されている。マキロイ(Vapor Pro)やウッズ(Vapor Pro)もその一人だ。
ナイキは、Vaporウッドはローンチイベントでは紹介せず、「ライダーカップ」でマキロイにお披露目の大役を任せた。マキロイはVapor Proドライバーをバッグに携え、グレンイーグルスへと姿を現したのである。
マキロイはナイキのVR_S コバート 2.0 ドライバーとともに2014年シーズンの成功をつかみ取っていただけに、最も信頼の置けるクラブを隔年開催の大会を前に変更するのはリスキーであるとの見方を示す向きもあった。
しかし、実際はマキロイがこの新しいドライバーでのショットに6月から取り組んでいたことを知る人間はほとんどいなかった。伝わるところによれば、Vapor Proでマキロイのキャリーは8ヤード伸びたとのことで、初めて実戦で使用する上で十分な手応えを得ていたのである。
「このドライバーは、実は6月から練習で使い始めていたんだ」とマキロイ。「こっちの方が良いと感じなかったらバッグに入れてはいなかったよ。でも昨日見た人は、ドライバーがこれ1本だったのを見て驚いていたね」。
マキロイは日曜のシングルスでリッキー・ファウラーを相手にチームの勝利を決定づける5&4の勝利を収めるなど、優勝した欧州代表チームに3ポイントをもたらした。
タイガー・ウッズの大幅な変更:
4カ月の休養期間を経て、タイガー・ウッズは11本の新しいクラブとともに「ヒーローワールドチャレンジ」で現場復帰を果たした。アイルワースG&CCで使用された新しいクラブは、ナイキのVapor Speedプロトタイプドライバー、Vapor Speedフェアウェイウッド (3番と5番ウッド)、そしてVapor Proブレードアイアンの計11本だ。
さら、ボールを5年間使用し続けてきたONE ツアー Dからレジン ブラック ボールに変更した。フォーピースボールのレジン ブラック ボールはナイキ製では最も低スピンのモデルであり、同社の合成樹脂Speedlockコアテクノロジーが搭載されている。