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2015年 チューリッヒクラシック
期間:04/23〜04/26 場所:TPCルイジアナ(ルイジアナ州)

<選手名鑑154>アーロン・バデリー(後編)

■ オシャレ“オージー(Aussie/王子?)”?

2003年、ルーキーとして米PGAツアーフル参戦を開始したアーロン・バデリー(34)は、1999年「全豪オープン」で、18歳で史上最年少優勝を成し遂げるなど、輝かしい実績とともに登場した。同年には、豪州ジュニア時代から友人で、ライバルでもあるアダム・スコットも米ツアーへ参加した。2人はAussie(豪州出身)の“ハンサム若手デュオ”として脚光を浴び、爽やかスコット、ファッショナブルなバッズ(バデリーの愛称)と女性ファンを二分するほどの人気だった。

バデリーの趣味は、ヴィンテージカーと、車のカスタマイズだ。父・ロンがF1王者マリオ・アンドレッティのチーフメカニックだったこともあり、知識も豊富だ。超個性的な改造車は彼の世界そのもの。アパレル契約を結ぶOGIO社の広告では、愛車をバックにポーズをキメている。ファッションはTシャツ選びから着こなしまで、いつ見ても目に留まるカッコよさで、髪型はキャップを脱いでもすぐにスタイルが整う、考え抜かれたスタイルというこだわりようだ。ツアーで最初に“モップヘア”にしたのも彼だった。

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■ 食通で料理男子 大好物は“SASHIMI”

趣味に関してもフィットネス、レーシングカート、釣りなどアウトドア、読書などインドアまで幅広い。また食や料理への関心も高く、転戦各地のレストランで食べ歩きも楽しみのひとつとしている。好きが転じて料理することにも目覚め、オフには米拠点アリゾナ州スコッツデールのクッキングスクールに通いはじめ、親しい選手の夫人からレシピを教わり自宅でつくるほど、ツアーきっての料理男子だ。

転戦中も食事に配慮し、大好きな日本食中心の食生活を心がけている。僕が毎週試合会場へ行っていた頃、日本食レストランで度々バデリーと一緒になった。彼は「日本食は多くの場合、塩分や油分が少なく他の食事に比べると体にやさしい」と言っていた。中でも彼の大好物は刺身で「この世で刺身ほど旨くて体に良い食べ物はない」と力説。僕はあらためて日本食の素晴らしさを再認識したのであった。

■ 豪州の英雄ノーマンの後継者 バデリーとスコット

バデリーはジュニア時代から1歳上のアダム・スコットと友人であり良きライバルだった。プロ転向後、バデリーは米下部ツアーへ、スコットは欧州ツアーでキャリアをスタートさせた。おのおのは経験を積み、2001年、2人がペアで日本開催のW杯に豪州代表として参加した時には、すごい選手たちが現れたと驚いたものだった。

豪州の英雄ノーマンの後継者は、スコットかバデリーか?現在、実績はスコットがリードしているが、アマからプロ転向して間もない頃までは、バデリーへの期待の方が大きかった。というのは、バデリーは米PGAツアーに2003年からフル参戦を果たし、2006年に初優勝。その後2勝を積み重ね、2011年までに通算3勝の活躍を見せた。スコットは2003年に米ツアーで初優勝。その10年後の2013年に、豪州人初の「マスターズ」優勝を成し遂げた。スコットが憧れ慕うノーマンでさえ、なし得なかった快挙を成し遂げ、昨年は世界ランク1位の座にも上り詰めた。20代ではバデリーが勢い先行していたが、30歳を過ぎてスコットに抜かれ、大差がついてしまった形だ。

■ パットのバデリー ショットのスコット

スコットに大差をつけられてしまった要因のひとつはショットだ。バデリーは、パットに関してはデビュー以来、トップ10にランクされるほど名手中の名手だが、ショットに関しては安定とは程遠い選手のひとりかもしれない。2003年ルーキーイヤーでは、フェアウェイキープ率が186位、パーオン率は183位。その後も両カテゴリーでランク160位から190位の間を行き来するほど、苦戦を強いられている。フェアウェイキープ率の自身最高位は初優勝を挙げた2006年で、それでも146位と決して良いとは言いがたい。パーオン率の最高位も2011年の97位で、それが唯一100位以内に入ったシーズンだった。これほどショットが悪ければツアーで3勝など不可能に近いが、逆に言えば、それほどパットが優れていると言える。

対してスコットは、世界屈指のショットメーカーと言われ、2人の実績を隔てているのはショットの違いにあると言わざるを得ない。だがスコットはパットに苦しみ、パターを長尺に変えたものの、来季からアンカリング禁止でスタイル変更を余儀なくされ、苦心の真っ最中だ。皮肉にも二人の相反する個性が浮き彫りになった。

■ ウッズの新コーチ クリス・コモとのタッグ

バデリーはショット向上を目指し、2010年からコーチをショーン・フォーリーに変えた。フォーリーはその後タイガー・ウッズのコーチも引き受け一躍有名になった。左寄り軸、左寄り体重の“スタック&ティルト”というスイング理論に基づき、バデリーもスイングのチューンナップを開始した。3年間、懸命に取り組んだが、期待したほどの効果は得られず、2013年から、新鋭のクリス・コモと元ツアー選手のグラント・ウェイトの2人にコーチを依頼した。偶然にも、コモは昨年からタイガー・ウッズのスイング・コンサルタントになり注目を集めたが、バデリーはそれ以前からセッションを始めていた。

コモ効果は出ているのか?パーオン率に関しては昨季174位から135位に上昇する一方で、フェアウェイキープ率は175位から200位に下降。フェアウェイキープ率はパーオン率を上げるための前段階として重要で、結果としてパーオン率が上がっているので多少の改善があると思われる。ツアー屈指のパットの才能を持つバデリーゆえ、ショットが向上すれば成績はグングン上昇するはず。スコットを追い抜く資質を十分に持っているはずだ。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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