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<選手名鑑145>ジョーダン・スピース

■ 指揮者の祖父 スポーツ経験豊富な両親

ジョーダン・スピース(21)は“アーティスティック+アスレチック”な環境で成長した。父方の祖父ドナルドは、長年リーハイバレー・チャンバー・オーケストラの指揮者として活躍。現在はモラビアン大学とノースハンプトン・コミュニティ大学で教鞭をとっている。スピースは祖父の勧めで5歳から4年間ピアノのレッスンを受けていた。昨年初めてマスターズ出場の際には祖父も現地で応援し、エキスプレス・タイムズ紙に次のように語った。「スイングリズムとピアノの関係はわからないが、ジョーダンは彼のスイングのように、いつも穏やかで落ち着いた良い子だった」。PGAツアーでも先輩選手たちが彼を「20歳のベテラン」と呼ぶが、まさに的を得た表現と言っていい。

父ショーンは大学時代に左投げの投手として活躍、母シュリスも大学時代にバスケットボールの選手だった。ジョーダンも両親の足跡をたどるように、中学生の時には野球とバスケットボールを始めた。野球は、左投げで球種の多い変化球投手として活躍。少年時代はこれらのさまざまなスポーツ経験を通して、後のゴルフにも好影響をもたらした。

■ スピースのキャディは元教師

スピースの躍進に大きな影響を与えたのはキャディのマイケル・グレラーだ。(昨秋に日本でプレーした時は休暇中で、エージェントの担当者がバッグを担いだ)。出会いは2011年、ワシントン州のゴールド・マウンテンGCで開催された全米ジュニア・アマ選手権だった。グレラーはゴルフをこよなく愛する同コースのメンバーで、当時、彼は地元の小学校で数学と科学を教える教師だった。休日にはアマチュアの試合でキャディをしていたが、その選手の中にジャスティン・トーマスがいた(トーマスはプロに転向し、今季PGAツアーのルーキーとして活躍)。グレラーがクラブのメンバーで、コースを熟知していることから、友人のスピースとグレラーを引き合わせた。2人の波長が合い、翌年の全米オープンでもグレラーにキャディを依頼。同年12月にスピースがプロ転向した際、今後もキャディを続けてほしいと、無理を承知で懇願した。

というのも、2013年当時のスピースは大学を中退、どのツアーの出場権もなく、収入の保証は一切ないという、無謀に近い挑戦だった。しかしグレラーは、スピースの思いを受けとめ、10年勤続した学校を退職して、ツアーでは珍しい元教師キャディとなった。

二人にとってプロの世界は毎日が未知との遭遇。グレラーはバッバ・ワトソンのキャディに指導を仰ぎ、ゼロから学んでいった。努力の成果は目覚ましく、スピースは初優勝を含めプロ転向から16か月で約8億4千万円の賞金を獲得。グレラーの収入も教師時代の何倍にもなったが、スピースとの挑戦で得た喜びの方が、はるかに大きかった。

■ “ゴルフは右”のサウスポー

実はスピースの利き手は左。ゴルフは右でプレーしているが、野球は投打ともに左、バスケットも左でシュート、私生活もほとんどが左だ。スピースのスイングの特徴は、左サイドの強さと安定感が評される。リーディングアームと言われる左が利き腕、ダウンからフォローにかけてスイング軸となる左サイドが強く、動きがスムースなのでゴルフに有効とも言われている。米LPGAで17勝、メジャーでトップ10に21回、賞金女王にも輝いた岡本綾子もサウスポーだが、ゴルフは右。その美しいスイングは米国で「蝶(ちょう)が優雅に舞うよう」と表現されていたことを思い出す。

「ゴルフは右のサウスポー」というレジェンドは驚くほど多い。球聖ボビー・ジョーンズ、鉄人ベン・ホーガン、ジョニー・ミラーグレッグ・ノーマンニック・プライス、88、89年と全米オープン連覇のカーティス・ストレンジ、2013年欧米両ツアーの年間王者ヘンリック・ステンソンなど、名選手の特徴のひとつでもある。

■ 大差連勝で得た自信

スピースがポテンシャルを見せつけたのはシーズンオフだった。その典型的とも言える試合は2014年12月、タイガー・ウッズが主催する「ヒーロー・ワールド・チャレンジ」だ。初日から首位を走り、最終日は2位のキーガン・ブラッドリーに7打差をつけスタートした。大差があり、安全にプレーするかと思われたが、攻めに徹して最終日に“66”をマーク、通算26アンダーの大会新記録で優勝を飾った。終わってみれば、2位のステンソンとは10打の大差をつけて逃げ切った。同試合がPGAツアーの対象試合であったら、2014年の最多差優勝記録となっていたところだ。

その前週もすごかった。豪州で開催の「全豪オープン」でグレッグ・チャルマースらと首位に並び、最終日はベストスコアの“63”で一気に独走態勢を築き、同大会でも2位のロッド・パンプリングに6打差で圧勝した。ロリー・マキロイアダム・スコットらのトッププロも参加した試合での圧勝、そして連勝は大きな自信になった。シーズン中は初出場の「マスターズ」で2位タイ、「ザ・プレーヤーズ選手権」で4位タイと躍進し、メジャーやビッグトーナメントで史上最年少優勝か!?と注目を集めた。スピースのツアー優勝は2013年「ジョンディアクラシック」の1勝だが、その何倍もの存在感だ。世界ランクもトップ10に浮上し、昨年末の勢いもあって今年は着実に勝利数を加えそうだ。

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佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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