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<選手名鑑141>スティーブン・ボーディッチ

■ 壮絶な経験からの復活と、50周年の記念大会

ボーディッチが自身の変化に気づいたのは、2005年2月、母国豪州で開催されたウェブドットコムツアーの「ジェイコブズクリーク・オープン」で同ツアー初優勝を果たしてから、しばらくしてのことだった。翌月から開催地が米本土に移るため、米国の拠点にしているテキサス州に移動したが、期待と不安のせいなのか眠れない日が続いた。1週間以上も連続で不眠が続いたこともあり、眠りたい一心で酒の力を借りるようになっていった。

2006年から念願のPGAツアーへの参加が叶い、意気揚々のはずだったが、飲酒の習慣が彼の心身をむしばみ始めた。ある日は午後1時から午前5時まで飲み続け、午前9時のスタート時間までに2時間ほど寝て試合へ出かける日々が続いた。その無茶な生活が6週間ほど続いたある日、自宅プールに冬服を着込んで飛び込んでいたのだ。当時交際中だったアマンダ(現・夫人)が見つけて救急搬送され、なんとか一命をとりとめた。原因はディプレッション(うつ病)だった。入院治療で改善し、退院後も試合に出場しながらリハビリに励んだ。2007年はウェブドットコムツアーでプレーを再開すると、2009年までは予選通過が10試合に満たなかったが、翌2010年の「ソボバ・クラシック」を制して、同ツアー2勝目。通算19アンダーの大会新記録で涙の優勝を飾った。2011年にはPGAツアーへ復帰を果たし、優勝を狙えるレベルまで回復したボーディッチ。自信を取り戻して再スタートした初戦が「ソニーオープン」だった。結果は34位タイも、ワイアラエに再び戻って来られたことに感激し、以降、彼にとって夢と希望を叶えた特別な試合、場所になった。そして昨年4月「バレロテキサスオープン」でツアー初優勝。「ソニーオープン」はまさに、ボーディッチ復活の起点となった。ワイアラエでの今大会は、今年は50周年の記念開催となり、彼にとっては格別に感慨深い試合になりそうだ。

■ メンタルケアの重要性

ボーディッチの出来事を知った時、同じようなことが原因で引退したデビッド・フェハティー(56)のことが脳裏をよぎった。欧州ツアー5勝、1991年ライダーカップのメンバーに選抜、1994年の「全英オープン」で4位タイと活躍するなど、当時“米国期待の星”と言われたフレッド・カプルスらのライバルとして肩を並べたフェハティー。しかし1997年に突然引退を発表し、その後はゴルフ中継のコメンテーターとして活躍した。鋭いジョーク、ストレートな表現が痛快で、ベストセラー作家としても人気を誇るが、フェハティーが引退した理由は“うつ病”だった。めまいが頻発し、検査を受けたが異常なし。それを紛らわそうと酒浸りの生活が続き、依存症に苦しむようになった。現在も治療中だが、快方に向かっているという。

米国女子ツアーで活躍する、カンゴールの帽子がトレードマークのクリスティナ・キム(30)も同じ苦しみを経験した。18歳の若さで頭角を現し、個性的なファッションと派手なアクションで人気選手となったキム。2010年頃から飛距離が落ち始め、あらゆる努力を続けたが結果に繋がらない、次第にモチベーションもダウンしていった。その影響からか、部屋に鍵をかけ照明もつけず何日間も過ごす行動をしたり、スペインの大会では「パーティー会場から海に飛び込みたい衝動にかられた」など、自分の異常な行動や衝動を告白している。彼女は自身の状況を明らかにし、ファンとの積極的な交流を改善の糸口にした。気持ちのキャッチボール効果で昨年11月にはメキシコの大会で勝利し、復活への活路を見い出した。

ボーディッチの妹リーンは米国ペパダイン大学へ留学。学生リーグで活躍した後、兄の背中を追いプロ転向を果たした。LPGAの下部ツアーで2年プレーしたが、2012年に2位タイになったのを最後に引退し、帰郷した。兄の壮絶な生き様を見ていてツアープロは自分の適性ではないと思ったという。ツアープロは各地を転戦する上、常に結果を出さねばならず、長時間のストレスにさらされる。彼らのことを思うたびに、改めてメンタルケアの大切さを考えさせられる。

■ 名コーチも太鼓判

ボーディッチは身長183センチ、体重91キロ。1983年6月8日豪州の東南部ニューサウスウェールス州のニューカッスルに生まれた。アダム・スコットジェイソン・デイの間の世代だ。アマチュア時代から注目され、グレッグ・ノーマン最後の出場となった2000年の「全豪オープン」では同組でプレーした経験がある。大きな期待を背負い、18歳でプロ転向を果たすと、豪州ツアーで3勝を飾った。豪州で多くの選手育成を手がける著名コーチ、デール・リンチはボーディッチを「タイガー・ウッズ、セべ・バレステロス、・グレッグ・ノーマンのような才能を秘めたアグレッシブな選手」と高く評価した。昨季のイーグル奪取数は16個でランク1位と爆発力がある。今季も開幕戦で2位と勢いに乗るボーディッチの本領発揮は、まさにこれからだ。

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佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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