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2014年 RBCカナディアンオープン
期間:07/24〜07/27 場所:ロイヤルモントリオールGC(カナダ)

<佐渡充高の選手名鑑 127>ブライアン・ハーマン

2014/07/23 10:00

■ 鮮烈!アグレッシブな強烈ドロー

ジョンディア・クラシックで初優勝を挙げたブライアン・ハーマン(27)はジュニア時代から超アグレッシブなプレーで知られていた。最近はPGAツアーでフィル・ミケルソンバッバ・ワトソンらレフティの選手が増えてきたが、レフティの優勝者はハーマンでツアー史上11人目。彼も先輩たちのようにメジャーを狙う活躍が期待される。

ハーマンはスイング理論が嫌いで、感性重視のゴルフに徹しているが、強い個性や変則的なところがなく全体的にオーソドックス。弾道はすべてのクラブで超ディープなドローボールを持ち玉とし、打球は一瞬プッシュアウトしたかに見えるが、そのまま目標方向左に飛び続け、上空に達した瞬間ブレーキがかかったように右に向きを変えはじめる。まるでリモートコントロールか何かで打球を操っているかのようだ。

■ ベリーパターで笑いが止まらない!?

ハーマンは2007年ジョージア大学在学中からベリーパターを使っている。パットが不調の時に2歳上で大学リーグの仲間だったウェブ・シンプソン(ウェイクフォレスト大学)がベリーパターで好調となったのを見て、自分も使ってみようと閃いた。すぐにピン社のCraz-Eという中尺を入手したところ、即効!「返しのパットは心配無用」というほど自信をもって強く打つ、かつてのストロークが蘇ったのだ。学生リーグで怒涛の活躍をはじめ、優勝した試合はパットが絶好調で、当時の記事に「Belly laughs」という見出しがつけられていたほどだった。その意味はBelly(ベリーパター)に変えてVery laughs(笑いが止まらない)。笑顔のハーマンの写真も添えられていた。

プロになってからもパットはプレーの肝で、きれいに入りだすとリズムのスイッチが入り、バーディが止まらなくなる。2012年の「ホンダクラシック」2日目には、“61”のコースレコードを樹立。難コースのPGAナショナルで8バーディ1イーグル1ボギー。この記録は現在も破られることなく燦然と輝いている。

■ 超高速プレー

ハーマンはプレーのスピードもツアーで最速と言ってもいいほどだ。昨年は同伴競技者のプレー進行の遅さに影響を受け、自分のリズムを崩すことが多く、悩んだ時期があった。そこでクイックプレーで知られる先輩のルーカス・グローバーに相談すると、経験で培った実践的な助言をもらった。「ティショットを最後に打ち終わった選手が歩き出してから、ゆっくりと歩きはじめよう。イライラしてきたら水を飲むこと。途中でトイレに行ったり、ヤーデージブックをじっくり読み込むなど、時間稼ぎしよう」だった。かつてクイックプレーヤーのダスティン・ジョンソンブラント・スネデカーらも同じ悩みを抱えていたが、プレーに工夫を加え、乗り越えることができた。ハーマンは先輩たちの経験を知り、気持ちがスッキリ、自分なりのノウハウを見つけツアーでのプレーに馴染んでいった。

■ 小さな巨人

ハーマンは1987年1月19日ジョージア州南部の街サバンナで生まれた。小柄な体格で、相当な負けず嫌い、ジュニア時代からプレーは攻撃的だった。現在も身長170センチ、体重70キロとツアーの中では最も小柄だ。しかし一度プレーをはじめると、ピリリと辛い山椒の実のよう。パワフルで個性溢れるプレーはショッキングである。2003年、彼が16歳の時に「全米ジュニアアマ選手権」で優勝、2005年には「ジョージア州アマチュア選手権」で優勝を飾っている。ジョージア大学に進学してからは、2007年に米アマチュア4大メジャーのひとつ「ポーターカップ」で優勝を飾り、同試合で22アンダーの大会記録を樹立するなど、タイガー・ウッズやミケルソン級の活躍で注目を集めるスター選手だった。

■ 続々勝ち名乗り!ジョージアの獰猛ブルドッグス

今季はジョージア大学出身選手が次々に優勝。ハーマンで実に6人目なのだ。ジョージア旋風のはじまりは2年前の「マスターズ」でバッバ・ワトソンがメジャー初優勝を挙げたことだった。昨年は「ソニーオープンinハワイ」でラッセル・ヘンリーがPGAツアーデビュー戦でいきなり優勝。その後、6月にハリス・イングリッシュが「フェデックス セントジュードクラシック」で初優勝を挙げ、今季の「OHLクラシックatマヤコバ」で早くも2勝目。昨年10月にクリス・カークが「ザ・マックグラッドリークラシック」で2勝目。今季3月には「ザ・ホンダクラシック」でヘンリーが2勝目。そして4月の「マスターズ」でワトソンが2度目の優勝。翌5月にはブレンダン・トッドが「バイロン・ネルソン選手権」初優勝。23歳でツアー3勝のパトリック・リードも1年間在学していた。ここまで同じ大学出身選手が次々に優勝を飾ることはかつてない現象だ。

その理由は、OB同志仲が良く助け合っているだけではない。ハーマンとイングリッシュはゴルフ部チームメイトだけでなくルームメイトという、身長差20センチ以上の仲良しコンビ。カークとトッドもゴルフ部の黄金期を一緒に築いてきた。彼らは親友であり、良きライバルで切磋琢磨しあっている。ジョージア大学のマスコットは“ブルドッグ”。小柄で愛くるしいが、もともとBull(雄牛)と闘技させるために開発された犬種だという。ジョージアのブルドッグたちも油断大敵、百戦錬磨のベテラン選手たちと渡り合い勢力を拡大中。シーズン終盤もハーマンはじめ彼らのプレーに要注目だ。

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佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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