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2014年 ザ・プレーヤーズ選手権
期間:05/08〜05/11 場所:TPCソーグラス(フロリダ州)

<佐渡充高の選手名鑑 118>J.B.ホームズ

2014/05/07 10:00

■ ケンタッキーの“ビッグボンバー”

先週の「ウェルズファーゴ選手権」で6年ぶりにツアー3勝目を飾ったのがJ.B.ホームズ(32)だ。その優勝で、今週の“第5のメジャー”「ザ・プレーヤーズ選手権」の出場資格を直前に獲得し、今、最も勢いに乗る選手のひとりと言って良い。ホームズはパワーヒッターとして知られ、先週も平均334ヤードでフィールド1位でパワーを見せつけた。象徴的だったのは2008年に優勝を飾った「FBRオープン」のプレーオフ。驚異の365ヤードのビッグドライブを見せ、残り79ヤードをサンドウェッジで2.5メートルに寄せてバーディを奪取。1ホールで決着をつけ、対戦のフィル・ミケルソンを唖然とさせた。

ホームズは米国中東部ケンタッキー州出身。同州は俳優ジョニー・デップ、ジョージ・クルーニー、ボクサーのモハメド・アリら、優しくもワイルドな男たち(どこかホームズのイメージにも重なる)を輩出している。ケンタッキー大学を卒業し、プロ転向後はフロリダにも拠点を置いたが、自宅はあくまでケンタッキーと故郷をこよなく愛する選手だ。生まれて初めて発した言葉は「mam(ママ)」や「dad(パパ)」ではなく、なぜか「ball(ボール)」だったとか。生まれながらにプロゴルファーになる運命だったのかもしれない。

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余談だが、実は彼の本名はジョン・ブラドリー・ホームズなのだが、ジョン・ホームズという有名なポルノ男優と同姓同名なのでJ.B.で選手登録した。

■ 2度の脳手術を経て

少年時代に軽度の難読症に苦しんだが、順調に学業とゴルフのキャリアを重ね、2005年、秋のQスクール(PGAツアーのシード獲得試合)でトップ合格を果たした。6日間60台のスコアは彼一人で、史上6人目の快挙だった。初戦となった2006年の「ソニーオープン」でいきなりの10位タイ、翌月2月の「FRB-」で早々に初優勝を飾った。最終日は父モーリスが現地に駆けつけ、サプライズで応援。そして、その日は母リサの誕生日でもあり、両親に最高のプレゼントを贈ることができた。その後も飛距離を生かすワイルドなプレーで2008年の欧米対抗戦「ライダーカップ」のメンバーに選出されると、米チームの勝利へ貢献する大活躍を見せ、ケンタッキーのヒーローとなった。

異変が起きたのは2011年8月。「全米プロ選手権」初日に“80”を叩いて棄権した。数ヵ月前から目まいを起こすことが度々で、症状が悪化したためだった。その症状は“キアリ奇形”と診断された。後頭部にある小脳や脳幹の一部が脊髄に落ち込んだ状態で、その影響で頭痛、視力障害、シビレなどを引き起こしていた。「脳の手術というと怖いイメージがあるが原因がわかってよかった。すぐに処置しないと頭蓋骨内のスペースが収縮する」と、9月1日にメリーランド州の病院で潔く手術を受け、無事にこの難事を乗り切った。同年12月1日には、術後初のドライバーショットで240ヤードを飛ばし、試合への出場を考えたが、頭痛は治まるどころか、よりひどくなっていた。彼は結局10円硬貨ほどの大きさの頭蓋骨を切除し、そこにチタン製のプレートを装着したのだが、使用した接着剤にアレルギー反応を起こしてすぐに再手術を受けることに。術後まもなくして、患っていた頭痛からようやく解放されたのだ。母も、妻のエリカ・カービンも看護師の経験があり知識も豊富。女性陣のバックアップもあって、予定より早く本格復帰を果たした。

■ 脳手術より大変だった!?足首、腕の負傷

ツアーへの復帰初戦は激励の嵐だった。多くの選手たちはケガや病気を経験しており、ホームズの気持ちが痛いほどわかると、この復帰を自分のことのように喜んだ。いよいよ本領発揮とプレーできる喜びを噛みしめたのも束の間。2013年は6試合に出場した後、ローラーブレードで大ケガを負った。道の縁に激突し左足首を負傷。さらにテニスエルボーで左腕を手術。これらの負傷は脳の手術よりリハビリが長引き、シーズンを棒に振った。

2014年は公傷制度でのスタートとなり、4月までに11試合に出場。そのうち10試合で予選通過を果たし、昨年の賞金ランク125位の賞金額を上回ったために今季シード権獲得に成功した。ようやく心身の健康を実感できるに至ったのだ。平均飛距離フィールド1位に何度も顔を出すようになり、「アーノルド・パーマー招待」では311.6ヤード、「シェルヒューストンオープン」では310.8ヤードのビッグドライブを取り戻した。ド迫力のゴルフが復活し、3勝目を狙う体制はすでに整ったと言えるだろう。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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