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<佐渡充高の選手名鑑 112>パトリック・リード

■ 出場51試合で怒涛の3勝!世界選手権でウッズを抜いて最年少記録更新!

ポッチャリ体型にベビーフェイスのパトリック・リードが2週前の「WGCキャデラック選手権」で3勝目を飾った。それも世界選手権(WGC)というビッグステージで23歳7ヶ月と5日、WGCの最年少優勝を果たした。タイガー・ウッズの23歳7ヶ月30日(99年「WGCブリヂストンインビテーショナル」優勝)を塗り替えたのだ。

リードは昨年がPGAツアー1年目のルーキーで今季は2年目。WGCのストロークプレーは初参加。メジャーや「ザ・プレーヤーズ選手権」という大舞台での経験もなく、3勝目の「WGCキャデラック選手権」は彼にとってキャリア初の心臓が飛び出るほどの最強メンバーが揃う大舞台だった。

昨年は、8月の「ウィンダム選手権」でツアー初優勝。ジョーダン・スピースとのプレーオフとなったが、2ホール目、右の林からスーパーショットを放ちバーディを奪って競り勝った。2勝目は今年1月の「ヒュマナチャレンジ」で7打の大差をつけ最終日を迎えたが、下位選手の猛追で、終わってみれば2位のライアン・パーマーに2打差のハラハラ優勝。しかしWGCでのプレーは冷静さを保ち、鮮やかに逃げ切った。この勝利は彼にとてつもない自信を与えたに違いない。

■ ガッツが“anything’s possible !”

リードは1990年8月5日、テキサス州サンアントニオで生まれた。ジョージア大学に進学したが、「マスターズ」の舞台オーガスタナショナルGCの地元オーガスタ・ステート大学に転学。学生リーグで大活躍しスター選手に成長した。目指すはPGAツアー!とプロ転向し、アグレッシブに動き出した。2年前の2012年、故郷「テキサスオープン」に推薦出場し、35位タイでフィニッシュして手応えを感じ、その後は無資格の選手が4人のスポットを賭けて競うマンデー予選会に挑戦。テキサスから900キロ離れた次戦「チューリッヒクラシック」の会場ルイジアナ州まで車で移動した。夜中の2時45分に到着した彼は、4時間睡眠でティオフ。見事、通過を果たし、本戦でも24位タイでフィニッシュした。そこからテキサス州に戻り、「バイロンネルソン選手権」でもマンデーを通過し出場権を獲得。その次はノースカロライナ州に移動して「ウェルスファーゴ選手権」でもマンデー通過の32位タイ。難関のマンデー競技に6試合通過を果たして、通算12試合に出場するという無資格の選手では考えられない荒業をやってのけた。

2012年12月の米PGAツアーQTにも合格。2013年から晴れてシード選手になった。2013年初戦時の世界ランクは584位だったが、2014年の3勝目で、20位にまで駆け上がった。夢とガッツがあれば不可能なんてないという、ツアーのスローガン「anything’s possible」――そのものの生き様である。

■ 最強の姉さん女房 ジャスティン夫人

リードの躍進を公私ともに支え、一緒に夢を追い求めてきたのは昨年までバッグを担いでいたジャスティン夫人だ。マンデー挑戦の頃から二人三脚で奮闘、2012年12月のQT合格を機に結婚した。夫人もテキサス州(ヒューストン)で生まれ、ルイジアナ州立大、ルイジアナのバトンルージュのレイク大学で、看護学などの学位を取得している(正看護師資格も取得)。高校時代はゴルフ部、大学ではサッカーや水泳選手として活躍し、卒業後は選手の育成も経験。テキサスの高校では、ゴルフ部の創設にも携わったこともある。夫人の妹とリードが友人だったことから知り合い、交際がスタート。彼女はリードの夢を何としても実現させたいと看護師のキャリアを中断した。

夜を徹しての移動は「選手は睡眠が必要」と、率先して彼女が運転した。寝ずに重いバッグを担ぎ、試合中はリードに気合いのゲキを飛ばしたり、穏やかな気持ちにさせたりと、完璧にコントロール。誰よりもリードのゴルフとスイングを知り、風の読み、クラブ選択、距離、ラインの読みまで完璧にこなした。リードは愛しい彼女の奮闘に応えようと頑張らずにいられなかったのだ。5月に出産を控え、学生ゴルフを経験した彼女の弟ケスラーがキャディとして帯同。夫人はロープの外から見守っている。

■ わが心のオーガスタ!もうひとつの夢も実現

父親ビル、母親ジーンネット、妹のハンナも大のゴルフ好き。リードが3歳の時に、両親がメンバーに所属しているゴルフ場で開催された“父子トーナメント”に出場し、思わぬ才能を見せたリードは、その経験からゴルフに夢中になった。

両親はテキサス州からジョージア州オーガスタの近くに転居。「マスターズ」開催時は関係者やギャラリー、パトロンたちに宿舎として自宅を貸し、街を離れていた。リードもオーガスタの大学で過ごし、第二の故郷で開催の「マスターズ」出場は夢だった。2008年の「全米アマチュア選手権」でセミファイナルまで進出したが、同試合で最年少優勝したダニー・リーに3&2で敗退。優勝すれば「マスターズ」出場資格を得られたが、あと一歩で道を断たれ、以降、その目標も心の中に深く刻んでいた。今年はトッププロして、いよいよ「マスターズ」に初出場を果たす。両親は自宅に留まり、息子の晴れ舞台を観戦予定だ。リードは夫人、義弟とともに実家に滞在し、オーガスタナショナルGCに通うそうだ。家族のサポート、地元の応援を受けての幸せなデビューを果たす。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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