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<佐渡充高の選手名鑑 70>マット・クーチャー

マット・クーチャーの別名は“Mr.トップテン”

米ツアーの中で最も安定感のある選手と言われるのがマット・クーチャー(34)だ。“Mr.トップテン”の異名をとる。それはトップテンの回数がずば抜けているからだ。2012年と2011年は9回ずつ、2010年は11回と出場試合の約半分がトップテンフィニッシュという成績を残し(今大会「シェル・ヒューストンオープン」でも、2010、2011年は8位タイと相性も悪くない)、その結果、バードン・トロフィー(年間最少ストローク)と賞金王にも輝いた。今季ここまで「WGC アクセンチュアマッチプレー選手権」での優勝と、それ以外にトップテンが3回と、その異名どおりの活躍を続けている。2012年には第5のメジャーと言われている「ザ・プレーヤーズ選手権」を制し、着々とキャリアを築き上げている。ツアー通算5勝という数は決して多くはないが、毎年ビッグトーナメントでのタイトル獲得や、メジャー大会での活躍が顕著である。

■ 憧れはボビー・ジョーンズ クーチャーは元・銀行員

クーチャーは大学時代から頭角を現した注目の選手だった。ボビー・ジョーンズに憧れ、彼の母校でもあり、ゴルフの名門であるジョージア工科大学に入学。1997年に、アマチュアゴルフ界の最高峰「全米アマチュア選手権」で優勝。タイガー・ウッズが3連覇を達成した翌年の優勝者となった。その資格で、98年にジョーンズが創設した「マスターズ」にアマチュアとして初出場。アマチュアでは20年ぶりとなる21位タイに入る大活躍を見せ、ローアマチュアに輝いた。その年の「全米オープン」でも14位タイの大健闘。学生の大会では8勝を挙げ、同大学の先輩デビッド・デュバルの最多勝利数記録に並んだ。クーチャーの魅力は、2000年5月に大学を卒業したが、すぐにプロ転向せず暫くアマチュアとしてプレーしたことだ。数ヵ月もフロリダ州ボカラトン市の信託銀行に就職し、行員として働きながらアマチュアとしてゴルフを続けていた。理由は憧れのジョーンズがアマチュアを貫き通したからだ。自身もジョーンズが辿ってきた道を少しでも体験したかったそうだ。その年の10月に行われた「テキサスオープン」にアマチュアとして出場したが予選落ち。これを最後にプロに転向している。

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■ 自信のワンプレーン・スイング

クーチャーのスイングを見た瞬間、フラットなスイングプレーンが印象的だ。これはワンプレーン・スイングというもので、トップで肩と腕のプレーンが重なるのが特徴だ。クリス・オコーネルというテキサス州在住のコーチと共にこのスイングを作り上げ、極めてきた。この重なりによってスイングがよりシンプルになることで、ミスの原因を減らし、正確性や安定感を高めると考えている。分析してみるとベン・ホーガンのスイングに近いことが分かる。道具の進歩や体型の違いもあるが、このスイングやその利点を取り入れる選手も最近は少なくない。少なくともクーチャー本人は、これが究極のスイングと信じ、実績を残していることが自信に繋がっていると言えるだろう。

タイガー・ウッズファミリーに

2年ほど前からクーチャーは時々、タイガー・ウッズと練習ラウンドする姿を見かけるようになった。2人の接点と言えば大学時代の一時期が重なっていたことぐらいだったので不思議に思ったが、クーチャーはウッズ・ファミリーになったのだった。というのも、長くタイガー・ウッズの代理人を務めてきた元IMGのマーク・スタインバーグが、新しいエージェントであるエクセル・スポーツ社を設立。ウッズをメイン選手として運営を開始すると、別エージェントとの契約が切れたクーチャーとも2011年10月に契約を締結した。米国人選手で実力、好感度が高いクーチャーの獲得は大きなニュースとなった。同時にクーチャーの強さのひとつに、世界ランク1位の最長記録を持つウッズのエッセンスを吸収している点もあると思うのだ。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

関連リンク

2013年 シェル・ヒューストンオープン



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