ハンター・メイハンの戦績&プロフィール
2011年 RBCカナディアンオープン
期間:07/21〜07/24 場所:セントジョーズG&CC(カナダ)
佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第五回】
今、PGAツアーで注目すべき(かっこいい)選手は誰でしょうか?
ハンター・メイハンはかっこいいですね。サングラスとか、なかなかのこだわりがあってね。お父さんは元サーファーで、ロサンゼルス警察からスカウトされて、アンダーカバーの麻薬捜査官だったんですよ。そのお父さんがサングラスをかけていたこともあって、最初はマネをしてかけはじめたらしいのですが、今では(かけているほうが)安心するみたいでね。渋いところが好きですね。ウエアも、アメリカ人は原色を好むけど、メイハンは原色系を着ないし、車だって最新の車ではなくいわゆるクラシックっぽい、例えば、古いマスタングを自分でチューンナップして乗っているようなタイプなんですよね。バッバ・ワトソンみたいに自分のラッキーカラーがピンクだからと言って、メルセデスベンツをピンクに塗り替えて乗るような趣味とはちょっと違いますよね。
(ハンター・メイハンのゴルフは?)彼のコーチがショーン・フォーリーでね。今、タイガー・ウッズが教わっているコーチですね。 “S&T理論”(※Stack&Tilt/スタックアンドティルト理論)のエッセンスを取り入れたスイングなのですが、ショーン・フォーリーは、もともとその一部を取り入れていてね。多少の体重移動はあるけども、非常に少ない。メイハンはすごく安定感があって、ショットはとても良いんです。ある程度距離が出るにも関わらず、フェアウェイキープ率はトップ60、パーオン率もトップ50には入る。安定感の面で言えばピカ1とまではいかないまでも、ピカ3くらいに入る選手ですね。
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(メジャーでも通用しますか?)昨年の「WGCブリヂストンインビテーショナル」でも勝ったしね。あれはメジャー勝利の布石だと思いますね。
彼のスイングがタイガー・ウッズの新しいスイングの完成形と思っていい。(2人は)体形が違うので、(完成したスイングが)同じ形になるとは思わないけど、今タイガーが目指しているものが完成すれば、また勝てるという期待もある。左膝が悪くて、今は練習ができていないから、そこが厳しいけど・・・。左1軸にした場合、左に体重移動した際の膝への負担が軽くなるので、左膝を4回も手術しているタイガーにとっては、良いスイングなのかとも思うよ。だからあれができればタイガーは立ち直れる、それに賭けていると思いますね。
ほかに注目している選手はいますか?
リッキー・ファウラーかな。あのウエアの色彩はいいよね。なかなかあの着こなしはできないよ。次世代のファッションなんだろうね。彼はかっこいいよ。やんちゃ坊主って感じがするけど、実際は礼儀正しい選手ですよ。祖父は日本人。若き日のレオナルド・ディカプリオに似ているなかなかの男前だし、かわいい部分も持ち合わせている。プレーもアグレッシブだし早い、どこからでも狙っていくから、見ていて楽しいよね。
(近い将来、勝てそうですか?)あのアグレッシブさがちょっと緩んでくれればね。タイガー・ウッズが出てきた頃は攻め一辺倒で、いわゆる守るところが弱かったので、たくさんバーディを獲るけど、ダブルボギーもたたいた。ファウラーもダブルボギーを減らすとか、ダブルボギーをボギーにするような、守りの部分が出てくれば楽勝で勝てるんじゃないかな。もしくは、攻め一辺倒が4日間成功するトーナメントなら当然勝てるでしょうしね。
(同世代の石川遼と比べて優れているところは?)まずファウラーの方が飛距離が出る。15ヤードくらい石川選手が置いていかれているかな。15ヤードってことは1クラブ以上だからね。体格は石川選手と同じくらいなんだけどね。昨年ペブルビーチで一緒にラウンドしていて、「なんでこんなに距離が違うのかと」石川選手はファウラーにびっくりしていましたよ。それにアプローチのバリエーションがファウラーにはある。学生の時から恵まれているなぁと感じるのは、世界でも有数の名門コースでアマチュアの大会が開催され、それを経験してきているから。当然、強いですよね。
- 佐渡充高(さどみつたか)
- ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。