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2022年 ザ・CJカップ
期間:10/20〜10/23 場所:コンガリーGC(サウスカロライナ州)

トム・キム使用のウルトラカスタムパターに関する裏話

「一貫性」という言葉は、ほとんどの20歳には通じない。しかし、トム・キム(韓国)は大半の20歳ではない。

8月の「ウィンダム選手権」でPGAツアー初優勝を果たしたキムは、今月の「シュライナーズチルドレンズオープン」でツアー2勝目を挙げた。20歳でツアー2勝目を挙げたキムは過去80年で21歳前にPGAツアーで複数回勝利した選手として、タイガー・ウッズと肩を並べた。

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若き日のウッズとは異なり、キムはティショットの飛距離でゴルフコースやライバルを圧倒するわけではない。実のところ、優勝した両大会で、ドライビングディスタンスのランキングは70位以下だった。

しかし、ティショットでのパワー不足をグリーン上での巧みなプレーで補っている。たとえば、優勝した2大会のストロークゲインド:パッティングをそれぞれ、1位と3位としている。

キムの2度にわたる支配的なパッティングのパフォーマンスは、一時的な成功と片付けることができるかもしれないが、彼に日々の一貫性をもたらした意図的なパターのセットアップ変更に起因していると考えられる。

昨年の「ザ・CJカップ」でキムはそれまでのキャリアを通じて使用してきたスチールシャフトのパターを使用した。

PGAツアーやゴルフ市場では、マルチ素材のパターシャフトが一般的になっているが、スチールシャフトのパターを使用していたのはキムだけではなかった。

スチールシャフトは、1924年の「全米オープン」で初めてUSGAからパターへの使用が認められ、1930年代には、ほとんどのゴルファーが使い慣れたヒッコリーシャフトから、新しいスチールシャフトを使用するようになった。スチールシャフトはヒッコリーに比べ、軽量で強度があり、耐久性に優れ、製造上のばらつきが少ないのが特徴だった。1990年代半ばから後半にかけて、グラファイトコンポジットシャフトがドライバーとフェアウェイウッドの主なオプションとなるまで、主要なシャフトの素材としてゴルフ業界に君臨し続けたが、その後、いくつかのシャフトはより早く切り替えられた。

コンポジットシャフトは、スチールに比べ、大幅に軽量だったため、選手たちの高速化を実現し、スチールシャフトのドライバーとフェアウェイウッドは過去のものとなった。

とはいえ、グラファイトはメタルウッドのスピードレースには勝利したものの、アイアン、ウェッジ、そしてパターでは、頑強なスチールシャフトが第一選択肢であり続けた。多くのゴルファーにとって、それは今も変わらない。

しかし、近年シャフトメーカーはその後もコンポジットとスチールの差異を縮める作業を続け、同じ重量のアイアン、ウェッジ及びパター用シャフトを開発した。今や、ハイエンド素材を使用し、特定箇所の硬さや柔軟性が絶妙に調整されたコンポジットシャフトは、実際的にスチールよりも高いパフォーマンスと打感を実現している。

もはや、コンポジットシャフトはドライバーとフェアウェイウッドにのみ特化したものではなくなった。今や、PGAツアーの選手でさえ、アイアン、ウェッジ、さらにはパターにまでコンポジットシャフトを使用している。

キムはスチールシャフトを使って49位タイに終わった昨年の「ザ・CJカップ」後、友人や仲間のプロの助言をもとに、極度に硬く、スチールに比べストロークを通して曲がりが最小化された直径の大きいLAゴルフのパターシャフトをテストした。理論上、シャフトの動きと振動が少なくなれば、パッティング中の変動は抑えられる。

キムはツアーで次に出場した2022年「AT&Tバイロンネルソン」で、カスタムカラーのティファニーブルーに塗装されたLAゴルフTPZワン35シャフトの装着されたスコッティキャメロン サークルT GSSブレードパターを使用した(“ワン35”とは135gのシャフト重量に由来し、通常のスチールシャフトに比べて10gほど重い)。

彼はこのパターセットアップで、「ウィンダム選手権」を制覇し、PGAツアー初優勝を遂げている。

キムはサウスカロライナでの「ザ・CJカップ」開幕前に「見ても分かる通り、(LAゴルフの)シャフトの方が、通常のスチールシャフトよりも重く、見た目も大きいので、その重量が感じられます」と述べた。「パターの調子が悪い時は、ヘッドやシャフトの重みがちゃんと感じられない問題を抱えていました。毎日、重量が違うように感じていました。でも、このシャフトを装着すると、一貫性が出ました。重さが違って感じられることは、一日もありません。常に一貫しています」

「しっかり一貫性のあるボールを打てれば、転がりは良くなります。それに、ミスヒットでさえ、しっかり打てたかそうでなかったか分かるので、大きなことだと思っています。ミスかそうでないかに関係なく、一貫性があるのです。それがバッグに入った理由です。これは友人のすすめで使い始めました。というのも、彼はこれを使って勝ったので、“僕もトライしてみよう”となりました。効果はすぐにあらわれました」

「プレジデンツカップ」を前に、キムはスコッティキャメロンでパターフィッティングと選手開発を統括するポール・ビザンコと、“シンプルでクール”な色合いの新しいカスタムのブレードパターの設計に関する作業を行なった。

「ポールとは(2021-22年シーズン終了後に)話しました。彼は僕らがパターに関する話を持っていく人ですからね」とキム。「僕はソールのウェートが欲しかったので、彼に話をすると、彼がウェートを届けてくれました。僕は通常、ティファニーブルーのサークルTパターを使っていました。何か新しい物が欲しくなったので、“これ試しても良いですか?”という感じで頼んでみました。そうしたら、彼が(新たに)組み上げてくれたのですが、“色は何色が良い?”と聞かれたのです」

「もちろん、ティファニーブルーはレアで気に入っていましたが、何かシンプルでクールな物が欲しいと思いました。それでブラックにしたのです。これは素晴らしい見た目ですね。シーズン終了後、すぐにバッグに入れましたが、これまでのところ、かなり良い感じです」

一貫性を保つため、キムは新しいパターにLAゴルフPシリーズ135シャフトを装着しているが、これは彼がこれまで使用していたLAゴルフのシャフトに類似した設計となっている。

また、グリップには、2022年「プレジデンツカップ」の開催地であるシャーロットに敬意を表し、カロライナブルーのスーパーストロークグリップが装着されている。

結局、彼はこのパターを2022年「シュライナーズチルドレンズオープン」で使用してPGAツアー2勝目を挙げ、そのまま今も使い続けている。

シャフト変更が奏功し、パターの感覚の一貫性が増したことで、すでにキムはツアーにおける一貫性のある勝者としての地位を確立した。

スーパースターの仲間入りした彼は、先週の「ザ・CJカップ」前にそれに相応しい待遇を得た。LAゴルフのツアーレップから、キム専用に製造した4種類の特別カラーのシャフト4本がプレゼントされたのである。

ほとんどの20歳は、こうしたプロトタイプの待遇を受けることはない。しかし、繰り返しになるが、トム・キムは大半の20歳ではないのである。

(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)

情報提供:PGA TOUR

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