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ザラトリスをパッティング巧者にした練習ルーティン

ウィル・ザラトリスが前週の「フェデックスセントジュード選手権」最終日で成し遂げたのは、PGAツアー初優勝のみではなかった。彼は同時に、シンプルな青写真を辿り続けることが、成功を生むことを証明したのである。

3年にわたり、同じ練習ルーティンにコミットすることで、ザラトリスはパッティングを弱点から武器へと変貌させたのだが、これは彼がTPCサウスウィンドの終盤のホールでクラッチパットを決めて勝利を手繰り寄せたことからも明らかである。

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中でも、最も重要だったのは、ザラトリスが72ホール目で決め、彼を「さあ、何とでも行ってみろ!」と叫ばせた3mのパーパットであり、これを決めることで、彼は勝負をセップ・ストライカとのプレーオフへ持ち込むことができたのである。

サンフランシスコのベイエリア出身で(NBAのゴールデンステート)ウォリアーズの大ファンでもあるザラトリス。このステフィン・カリーにインスパイアされた反論は、長年にわたり彼のパッティングを批判してきた者へ向けられた言葉だったと言った。

ザラトリスは、ダラスに拠点を置くパフォーマンスコーチ兼ショートゲームコーチのジョシュ・グレゴリーと3年以上にわたりパッティングに取り組んできた。

グレゴリーはオーガスタ州立大学がNCAAの男子ゴルフタイトルを2年連続で勝ち取った時のヘッドコーチであり、自身の顧客であるPGAツアーの選手たちがグリーンでの腕前を上達させるためのドリルやゲームを開発してきた。ザラトリスがパッティングを一変させたルーティンを考案したのも、グレゴリーだった。

「彼はパッティングでひどい状況に陥っていた」とグレゴリーは、2人で取り組み始めた初期の頃を振り返って言った。「彼は途方に暮れていた。ただ、彼に必要だったのは、彼の取り組んでいたことへの簡潔さと、上達への青写真だけだったんだ」

グレゴリーはその青写真をザラトリスへと渡し、以後、2人はそれを忠実に守り抜いてきた。グレゴリーが言うには、練習セッションは複雑なものではなく、所要時間はものの20分から1時間程度とのこと。所用時間こそ短いものの、このセッションは効果的かつ集中的なのだが、最も重要なのは一貫しているところだろう。

彼らはセットアップが正しく、パットがしかるべきラインへ打ち出せているかどうかを確認するため、パッティングミラーと糸のラインを使い、真っすぐなショートパットから取り掛かる。彼らはグリップ、足の圧力、アライメント、そして肩のラインに何か問題がないか確認する。

その後、彼らはグリーン上で種々の距離や傾斜を選び、ストロークゲインドのシステムを使ってスコアをつけながら、パッティングで18ホールのラウンドをプレーする。これはザラトリスの試合勘を引き出しつつ、スピードのコントロールやライン読みといったパッティングにおける極めて重要な側面の練習にもなる。

「これにより、彼は批判や悪しき時期を耐え抜くことができたんだ。彼はいつも同じことをする」と、グレゴリーはザラトリスについて述べた。「僕らは毎日同じドリルを行う。彼が75をたたこうが、65で回ろうが関係なく、同じことをやるんだ」

5月「全米プロゴルフ選手権」での練習セッション中に、ザラトリスとグレゴリーはパットのアドレスがしかるべき姿勢になっていることを確認するためのチェックポイントとも言えるグリップの小技を生み出した。

ザラトリスのパターは、彼特有のパッティングスタイルとグリップに特化して組み上げられている。彼はスーパーストローク トラクシオン ツアーグリップの装着された、長さ42.5インチのスコッティキャメロン サークルTファントムXT-11プロトパターを使用しているが、偶然のことながら、スーパーストローク(SuperStroke)のロゴの“e”の文字が、ザラトリスにとって完璧な基準点になっているのである。

「彼はサザンヒルズでの全米プロゴルフ選手権で、手の位置を調整したんだ」とグレゴリー。「我々はそれまで、大変な量の努力を重ねた結果、彼のセットアップと傾きに関するとある箇所を特定することができた。僕らは、常に彼を左へ傾かせるようにしてきた。と言うのも、彼はスーパーストロークのグリップごと後ろへ傾く傾向にあったんだ」

「彼のパットが絶好調の時は、“SuperStroke”の“e”の文字が何も見えないんだ。彼は手でその場所を覆っているんだよ。だから、僕は彼の下の方の指が“e”の1/4インチ下に来るようにした。彼はトラブルに陥ると、右手の位置が高くなり過ぎるので、下の方の“e”が見えてしまうんだ。それで、手が高くなり過ぎると、彼はパターのフェースをコントロールすることができなくなり、インサイドに引き過ぎてしまうんだ。彼は地面の方へより低く構えると、パターの重量を良く感じられるようになり、より真っすぐ後ろへ引けるように感じるんだ。これは僕らが毎日確認するチェックポイントだね」

また、「全米プロゴルフ選手権」は、規定の上がり2ホールで自信につながるパットを連続して決め、ジャスティン・トーマスとのプレーオフに漕ぎ着けたことから、大きく前進するきっかけとなった。ザラトリスはその2ホールで共に2.4mのパットを決めたのだが、その後のプレーオフでトーマスに敗れたものの、このクラッチパットを決めたことはザラトリスにとって大きかったのである。

「サザンヒルズがターニングポイントだった」とグレゴリー。「17番と18番であのパットを決めた彼は、その夜、僕に電話して“ようやく自分が世界最高の選手の一人だと信じられるようになった”と言ったんだ。あの2つのパットは、これまで僕らが取り組んできたこと以上に、彼のパッティングストロークを変えた」

遂に先週、メンフィスで大躍進を遂げたとはいえ、ザラトリスとグレゴリーはデラウェアでの「BMW選手権」の火曜に、パッティングミラーと糸のライン一式を携え練習グリーン上にいた。

「彼は今後も毎日同じことをするよ」とグレゴリー。「優勝した後でさえ、僕らは今日も同じドリルをやった。明日も全く同じドリルをやる。ラウンド前後に行う僕らのパッティングルーティンは、ほとんどの球数を数えるくらいのところまで行っている。それだけきっちりしているんだ。彼は、僕同様に変人なんだ。僕はこと練習となると、超組織化された男なんだ。それは彼も同じで、だから僕らは意気投合しているんだ」

公平を期すために言うと、火曜の練習セッションは通常よりも少し余分に時間を要したようだ。通常、ザラトリスは、数分おきにPGAツアーの仲間やキャディたちがやって来て、優勝を祝福するハイファイブやハグを受けることはなかったからだ。彼らは歓迎すべき妨害者であり、ザラトリスは微笑みと感謝の念を持って彼らを受け入れ、そこここに軽口のジャブを入れて明るい口調を保った。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

情報提供:PGA TOUR

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