1打差惜敗のラヒリを勇気づける“数字”
2022年 ザ・プレーヤーズ選手権
期間:03/10〜03/13 場所:TPCソーグラス(フロリダ州)
アニルバン・ラヒリ 成功につながったスリクソンアイアンの重量アップ
ゴルフは数インチの違いが生むゲーム。数グラムもまたしかり、である。インドのアニルバン・ラヒリは「ザ・プレーヤーズ選手権」でアイアンに3.5gの鉛テープを貼ったことが大当たりとなり、PGAツアー初タイトルへ向け、54ホール終了時点で首位に立ったのである。
「アイアンが僕の弱みとなっていたのだけど、ここでは断然良くなった」と、ラヒリは第1ラウンドを「67」でラウンドした直後に述べた。「自信が出てきたように感じられるので、これはポジティブなことだね」
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ラヒリはフェデックスカップのランキング209位で同大会を迎えた。それまでの4大会の成績は予選落ち3回に74位タイで、その間の10ラウンドを通算すると24オーバーだった。また、今季のストローク・ゲインド:アプローチ・ザ・グリーン(グリーンを狙ったショットの貢献度)が212位(217人中)で、1ラウンドあたり1ストローク近くを失っていたのだ。しかし、この大会の3ラウンドを終えた時点での同スタッツは7位で、グリーンを狙ったショットで、フィールドに対して5.6ストロークを稼いでいた。
「僕のアイアンは7年前にここへきた時と全く同じものなんだ。僕は“実験してみよう”と言ったんだ。これ以上悪くはなりようがないから」とラヒリ。「かなりショットの状態が悪かったので、鉛テープを貼ってみて、様子を見ようじゃないかと思った。スイングの調子は良い感じだったからね。見ての通り、これは明らかに大きな違いを生み出した」
重量を増やしたことでフェースの意識が高まり、ウッドからアイアンにかけて、より一貫性のあるスイングウェートをもたらしたと述べたのは、ラヒリのクラブを調整した(ツアーレップの)ラスティ・エステスだ。
「彼は良かった頃のウィンドウとスピン量を取り戻したんだ。効果はすぐにあらわれたよ」とエステス。ここで言う“ウィンドウ”とは、ボールがクラブフェースを離れた直後の弾道を意味する。
ラヒリはこの週、スリクソン ZX ユーティリティの4番、そして5番アイアンからピッチングウェッジはスリクソン Z945 アイアンを使用している。Z945 アイアンは2014年にアジアでリリースされ、翌年北アメリカで販売された。松山英樹もリリース当初にこのクラブを使用した選手の一人である。
クラブの製造はすでに終了しているため、ラヒリはできる限り多くのセットを入手するよう努めている。現在使用しているセットは、使い始めて6カ月ほどになる。
「このアイアンが大好きで、(スリクソンが)親切にも最後の数セットを僕に届けてくれたんだ」とラヒリ。
彼はこの週、オーランドでグレーム・マクドウェルから1セットを入手し、お返しとして夕飯にカレーをご馳走することを約束した。
「このアイアンの入手は困難なんだ。ツアーには、一度見た目の気に入ったアイアンと出合うと、それを使い続けたがる選手が多くいると思う」とラヒリ。お気に入りのクラブであっても、わずかな調整をすることで、大きな配当を生み出すことがある。ラヒリはそれを証明した。
(協力/GolfWRX、PGATOUR.com)