自分ルールを曲げなかったトリンゲールが好スタート
2014/08/22 09:51
キャメロン・トリンゲールにとって、この11日間は興味深かったと言えるだろう。
リッジウッドでの初日に「66」を記録したトリンゲールは、「ザ・バークレイズ」でハンター・メイハン、チャールズ・ハウエルIIIらと共に2位タイと好発進。ラスト2ホールで連続バーディを奪い、この日同組だったメイハンのスコアに並んだ。
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トリンゲールは、「今日は皆が良いリズムでプレーしていた。同じグループの全員が質の高いショットを打てていたからね。自分も、このままの勢いでいけると感じたよ」とコメント。
話はちょうど1週間前に遡る。
トリンゲールは、PGAオブ・アメリカ関係者に電話を入れ、「全米プロゴルフ選手権」での結果を失格扱いとするよう求めた。彼はバルハラで33位タイという成績で今季のメジャー最終戦を終えたが、大会終了後、最終日に起こった出来事から目を背けられなかったという。
トリンゲールが問題と感じたのは、バルハラでの最終日11番ホールでのこと。カップに近いボールをタップインボギーで終えようとする前に、パターをボール越しに振ってしまった。トリンゲールは、大会終了後に1打追加されてもおかしくはないと感じ、失格を申し出ることが正しい行いと感じた。
最終日に同組だったマット・ジョーンズともオフィシャルのいるトレーラーで意見を交わしたという。その時トリンゲールは1打を加算すべきではないと感じ、ジョーンズもその意見に賛同した。そしてスコアカードを提出した。
「全米プロゴルフ選手権」終了後の19日、トリンゲールは大会でのプレーを振り返り、改めて問題のプレーについて、次のように考え直したと言う。
「自分のプレーとして認めたくなかったし、正直な気持ちに嘘はつきたくなかった。そのことで苦しんだ結果、『全米プロゴルフ選手権』最終日に何ごともなかったかのように通過したホールについて、ルールオフィシャルやスタッフと話をした。それで、失格とするのに十分な疑いがあると結論づけたんだ」。
その後トリンゲールは、USGAとPGAオブ・アメリカのルールオフィシャルに連絡を入れ、本来加算されるべき1打を加えなかったとして、ルール34の1b(III)の過少申告に該当するとして、失格となった。
「USGAやPGAオブ・アメリカのスタッフからは、『誰も見ていなかったプレーで、君次第なんだぞ』とも言われた。ただ、どちらにせよ自分で決めないといけない。そのままにしておけないと思った。そのまま気にせずにいるか、モヤモヤしたような疑念を持ったままで生きていくかを考えた末に、『いや、5打だったので、失格で構わない』と伝えた」。
自ら失格としたことで、トリンゲールはフェデックスカップポイント57、そして5万3,000ドルあまりの賞金を手放した。それでもフェデックスカップポイントランキングで61位としたため、リッジウッドでプレーする権利を獲得(過去1度だけ今季よりも多いポイントを獲得しプレーオフに進出した)。そして、バルハラでの出来事を忘れ、今大会への準備を進めてきた。
「失格となったら今後どういう道を辿るかについて考えたね。『調子が良くても、イーストレイク(ツアー選手権byコカ・コーラ)に出場出来るとしても、あの時ボギーではなく5打を選択していたら今ここにいられただろうか』とかね」。
「それで、今後の人生で疑いを持って生き続けるよりも、失格になる方が良いと考えたんだよ」。