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2013年 AT&Tナショナル
期間:06/27〜06/30 場所:Congressional Country Club

ハース、“最も成功した米国ツアー優勝者の息子”の称号を獲得

ゴルフの選手権は完全に実力主義の世界だ。この競技は、その歴史、伝統、スポーツマンシップ、そして規則ゆえに賞賛を浴びるわけだが、その魅力は、日曜日の終盤戦という一つの本質があって輝きを増すのである。

ロープの内側では、誰も特別扱いを受けない。先祖から受け継ぐ物は無い。審判に減点されることもなければ、ボールやストライク、あるいはフェアやファウルを判断するアンパイアも存在しない。アメリカン・フットボールのように反則のフラッグを投げられる事もなければ、ホイッスルを吹かれる事も無い。ただ成功するも、しくじるも自分次第だ。自分が何を今まで学んできたかに掛かっている。ベン・ホーガンの言葉を借りると「答えは泥沼から掘り出さなければ見つからない」ということになる。

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ゴルフの血筋は助けになるかもしれないが、誰もがいきなりプレーできる訳ではない。コングレッショナルゴルフクラブで開催されたAT&T ナショナルの最終ラウンドでこの基本的な事実がはっきりと実証されている。この日のビル・ハースは、良い経験も嘗めた辛酸も含め、自信の持てる引き出しの全てをつぎ込んだ。そして5人並んだトップ争いから一人抜け出し、過去4年間で5回目の米国ツアー優勝を手にした。

ハース自身と彼による優勝は教訓に満ちている。それは彼が「66」をマークしたからでも、最終11ホールのうち5ホールでバーディを奪い、計25バーディを奪って3ストローク差で優勝したからでも無い。また、過去4シーズンで毎シーズン優勝したフィル・ミケルソン(10回)、ダスティン・ジョンソン(6回)、そしてジャスティン・ローズ(4回)らツアープレーヤー達の仲間入りを果たしたからでも無い。

31歳のハースは、静かに最も成功した米国ツアー優勝者の息子としての名を築いている。彼の父、ジェイ・ハースは米国ツアーで9回優勝し、チャンピオンズツアーでも16勝、その他のプロの大会でも5勝を挙げ、ライダーカップには3度出場し、プレジデンツカップにも2度出場した。そしてその息子は父親の足跡をそっくりと辿っているが、これは当の親子にとってはごく自然なことであるかもしれないがゴルフの世界では稀なことである。

実際、彼らの他に親子共にツアーで優勝できたのは3組しかいない。ツアー3勝のクレイトン・ヘフナーの息子であるヴァンス・ヘフナーは1981年のチルドレンズ・ミラクルネットワーク(ウォルトディズニーチーム選手権でチームメートのマイク・ホランドと合同)で優勝。殿堂入りしたジュリアス・ボロスの息子のガイ・ボロスは1996年のエアカナダ選手権で優勝。アル・ガイバーガーの息子ブレント・ガイバーガーは1999年のトラベラーズ選手権と2004年のウィンダム選手権で優勝している。

米国ツアーで1956年のマスターズと全米プロを含む米国ツアー16勝を誇るジャック・バーク・ジュニアはどのトッププレーヤーの息子より多く優勝している。だが全米オープン24回出場の彼の父、ジャック・バーク・シニアは1920年の全米オープンで2位タイに入ったもののツアー優勝は果たしていない。

有名なゴルファーの息子達が精選された米国ツアーのメンバーにはなれたとしても、優勝はできないという言われに関してはいくつかの説がある。 成功している父親の元でヌクヌクと育てられて来た息子達には勝ち気な所が無い、という単純な説から、父親を抜きたい一心から勝てなくなる、もしくは父親が大きすぎて太刀打ちできない、という難解な説まで様々だ。

理由はどうであれ、ビル・ハースは一歩一歩進む事によってこの流れを克服する事ができた。答えは以外と単純なのかもしれない。彼は常に自分より有名な父との比較を、自分より優れたプレーヤーとして父親に敬意を表し、自分が成功する為に知るべき事は全て彼から学んだと、いつも父親をたてる事によって振り払った。

つまり、彼は自分の父について他のツアープレーヤーの息子達と同じ様な事を言っているが、他の息子達ができなかった事をやってのけた訳だ。そして今の所ビルの記録は父のものと近い。彼は5勝目を31歳の時(ジェイは29歳だった)、プロとして229回目の出場で達成した。父親の5勝目はプロとして181回目の出場で成し遂げられたのだが、次の1勝までは5年かかった。

ビルが6勝目をあげるのが何時になるのか楽しみである。彼の今の調子なら5年はかからないだろう。そんな、自分の父との競争に熱を上げるような気配を見せない彼だからこそ、必要な要素を既に揃えているだけに、引き続き上達し続け、父親を超える公算も高いといえるだろう。

188センチという父親のジェイより10センチ高い身長を活かしてスイングも大きくなり、ティショットでの距離につながっている。言い方を変えれば、彼は今日の飛ばし屋たちに太刀打ちするのに十分なロングヒッターであると言える。それに加え、父親が全盛期にツアーで見せた、いや、59歳の今でも健在の他のプレーヤーとは異なった素晴らしいアイアンの腕前の片鱗も彼は覗かせている。

くだんの日曜日の勝ち方は、自己修正ができることを証明した。11番でトリプルボギーを叩いてしまった土曜日のラウンドで何が悪かったのかを理解し、ファイナルラウンドでは必要とされる仕事をきちんとやり遂げた。7ホール終えて5人のプレーヤー達がトップで並んだ詰まった状況でもハースは前進し8番、9番(パー5)でバーディを獲り単独リードに出るとバックナインでバーディの数を3つ増やした。

それどころか、この調子で更に自信をつければ、ビルは父親の陰を払拭し、栄光を受け継ぐという他の多くの息子達ができなかった事を成し遂げるだろう。彼はその事を全く考えて無い訳でもない。

「父親のビジネスを継いで成功できなかったり、あるいは父が成し遂げた事を成せなかった子供達はたくさんいます」とビルは述べた。「それは容易なことではない。もちろん多くの人が観ているスポーツで、いつ何時誤って状況が悪くなるかもしれない。そう言う事が頭の中をよぎることもあります。」

面白い事に、最近ビル・ハースがそう言う状況に直面すると、ザ・プレーヤーズの直後に妻ジュリーとの間に生まれた彼の息子であるウィリアムのことを思い浮かべると事態は好転するそうだ。

「何故だかは分かりません」と彼は言う。「今日も何度かそう言う事がありました。ボールを打とうとする時に“これが終わったら家に帰ってウィリアムに会えるんだぞ。このドライバーはなんてことないんだ”とね。それが良かったのではないかと。そんな一瞬の思いが自分の視界をはっきりさせてくれます。」

それはあり得る話だ。どうやら、これから20年ほど経ったとき、それはウィリアム君が身を以て発見することかもしれない、もしこの血筋によるトレンドが続いたなら。

ビルとジェイ・ハースはプロゴルフでの成功を楽しんでいる。そして特別な絆で結ばれている。

情報提供:PGA TOUR

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