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「これから30年で一番大切な日」スピース、マスターズの悪夢を克服

「きょうという日は、これから先30年のゴルフ人生で何が起ころうとも、一番大切な日の1つであり続ける」

テキサス州フォートワースにあるコロニアルCCで行われた「ディーン&デルーカ招待」で優勝したジョーダン・スピースは、そう振り返った。感情をむき出しにしたガッツポーズや雄叫び、悔しそうな表情や苦笑い、そして笑顔。この日のスピースのプレーには、かつてない迫力が満ちていた。

スピースは戦っていた。「誰もが一カ月前に起こったことしか話さない中で、今に集中し、前向きでいることは難しかった」と、この一カ月の心境を告白した。「マスターズ」の最終日に崩れてから、復帰戦となった「ザ・プレーヤーズ選手権」では予選落ち。続く「AT&Tバイロン・ネルソン選手権」では、最終日最終組に入りながら「74」でチャンスを逃した。

スピースは言う。「きょうはスタートホールから、いつもよりも緊張感が襲ってきた。(マスターズのことを)考えはしなかったけど、多分それがあったと思う」。

序盤はバーディチャンスを逃し続けた。わずか2ホールで同組のライアン・パーマーに逆転されたが、スピースは慌てなかった。「1番、2番、3番とも、もし正しいタッチで打っていたら全部入ったパットだった。それに気付いたから、周りでなにが起こっているかは気にしないで、自分たちの立てた前後半で2つずつ、計4アンダーという目標に集中した」。

10番ティでは、ギャラリーから応援ともけん制ともつかない掛け声が飛んだ。「ジョーダン、マスターズを忘れるな!」。ほかにも、ライアン・パーマーを応援するファンから「行け、パーマー!彼はマスターズと同じことをやらかすぞ!」という叫び声も耳に届いた。

「あまり聞きたい言葉じゃないね。モチベーションにはなったけど、あまり攻撃的に行き過ぎても良くない。だから、それを頭から除外して、次のショットだけに集中した」

キャディのマイケル・グレラー氏はスピースに語り続けた。「雑音に耳を貸すな。過去4戦で、3回も勝つチャンスをつかんだという事実に集中しろ。それは特別なことだし、簡単なことじゃない」。スピースは懸命にそれに応えた。

10番から3連続バーディの後、13番(パー3)で7Iを引っ掛けて左バンカーに打ち込むと、2打目はグリーンオーバーして刈り込んだフェアウェイに止まった。「芝目が強いし、ピンがエッジ近くにあって簡単なショットじゃなかった。18番グリーンに向かうとき、マイケルはあのチップがこの日のベストショットだと言ったんだ」。このチップショットを60cmにつけて1パットのボギーでしのいだ。

上がり3ホールは圧巻だった。16番で6mのバーディパットを沈めた。17番ではティショットがボランティアの足に当たってファーストカットに戻り、2打目はフライヤーして奧のギャラリースタンドで止まった。救済後の3打目を直接決めるチップインバーディ。最終18番も10mを沈めて、鮮やかな3連続バーディで締めくくった。

PGAツアーでの22歳以下での勝利数は、タイガー・ウッズの7勝を上回る8勝目。ホートン・スミスの14勝に次ぐ2位となった。「一番大切な日」。それは、スピースがまた一歩、スーパースターへの階段を上った日でもあった。(テキサス州フォートワース/今岡涼太)

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