観客席越えショットも披露 石川遼の巻き返しのカギは
2015年 プエルトリコオープン
期間:03/05〜03/08 場所:トランプインターナショナルGC(プエルトリコ)
石川遼 “得意のバウンスバック”でなんとか予選通過
プエルトリコのトランプインターナショナルGCで開催されている米国男子ツアー「プエルトリコオープン」2日目。2オーバーの63位から上位を狙った石川遼は3バーディ、3ボギーの「72」。前日に目標に掲げていた「通算アンダーパー」に持ち込むことはできなかったが、通算2オーバーのまま57位タイで予選通過を決めた。
1番ボギー → 2番バーディ
7番ボギー → 8番バーディ
14番ボギー → 15番バーディ
PGAツアーではボギーを喫してしまった直後のホールでバーディを獲ることを「バウンスバック」と呼ぶ。昨シーズン石川のこの部門のランキングはツアーで13位の23.47%(全体1位はルーク・ドナルドの27.39%)。今季も23位と上位の位置におり、石川はこの日、3回のバウンスバックに成功した。
早朝7時、第1組でプレーを開始すると、スタートホールは1メートルのパーパットをカップの左に外してボギー。続く2番(パー5)で、グリーン右手前からの3打目を高く舞い上がるロブショットでピタリと寄せてバーディを奪った。
7番ホールでは1Wショットが左サイドのバンカーのアゴに近い所で止まるトラブルからボギー。続く8番(パー3)はティが前に出ており、通常よりも35ヤード短い191ヤード設定。フォローの風を受けた8Iのティショットは「上に吹けちゃって絶対届かないショットだと見ていたら、たまたま良いところにキャリーした」というラッキーなアシストもあり、2つ目のバーディとした。
風が徐々に強くなった後半イン。最難関の14番ではグリーン右手前からパーセーブができずこの日3つ目のボギー。しかし続く15番(パー5)ではグリーン手前から残り30ydの3打目をきっちりと寄せて3度目のバウンスバックに成功した。
「本当にもったいないボギーばかりでしたけど、すぐに取り返してやろうという気持ちはあった。バーディを獲ったあとも続けてやろうと思っているが、それがうまくいかなかったのが、きょうでした。バーディの後が続かず、そのうちまたボギーが来てしまい、“ハッとして”またバーディを獲る…。パーをとっている間は、眠っているのかな?というゴルフ」。そう苦笑いした石川は週末のプレー機会をなんとかキープしたが、自ら発した「もどかしい」という言葉もピッタリ当てはまる内容でもあった。
「もどかしさ」を象徴するように、ラウンドの中でも試行錯誤する光景が見られる。
グリーン上で苦しんだこの日。1番、5番では1メートルの短いパットを打った瞬間に歩き出すミスシーンがあった。何度も6メートル以内のバーディチャンスを沈められず首をかしげるシーン。13番ではついに8メートルのバーディパットで、左手が下になるクロスハンドスタイルを試みた(クロスハンドでパットをしたのはこの1回だけ)。
「右手主体のストロークになり過ぎて、左手でラインのコントロールし切れていないと感じた。両手の一体感を感じてストロークをしたい。11番と12番は素振りだけクロスハンドでして、実際は順手(通常の打ち方)で打ったんですけど、まだ右手が“勝っている”感じがあった。13番は入る、入らないよりは良いストロークをしたい思いで、クロスハンドを試した。やった甲斐はあった。練習で1球打つより試合の1球の方が何十倍も、何百倍も価値はある」。プレー後の居残り練習はパッティンググリーンで長時間を費やした。
「試合になったら技術的な部分を気にしないでゲームに集中できるようにならないといけない」。自分に言い聞かせるように語る石川。残り2ラウンドに期待したい。(ゴルフ解説者アンディー和田)