星野陸也とソフトスパイクの歩み ギアマニアの熱視線はシューズにも
◇米国&欧州男子◇ジェネシス スコットランドオープン 初日(9日)◇ザ・ルネサンスクラブ(スコットランド)◇7282yd(パー70)
星野陸也はクラブに特別“うるさい”プロとして知られている。ヘッドの重量や重心位置を調整するため、鉛を0.1g単位で切り貼りし、アイアンにもカバーをつける。道具選びのこだわりはツアープレーヤーの中でも随一。そして、30歳になった今、関心はシューズにも及んだ。
DPワールドツアー(欧州ツアー)で2024年2月に「カタールマスターズ」で初優勝を飾った後、同年の春先に肺から空気が漏れる「気胸」を患った。約2カ月の離脱後の復帰は今思えば早計で、身体に異変を覚えるようにもなったという。
念願のPGAツアー昇格を決めたこの年の途中から、右足裏に痛みを抱えるようになった。ずっと愛用していた重量感たっぷりのクラシカルなゴルフシューズをソフトスパイクに履き替えたのが、米国に主戦場を移した昨年の初め。「軽くて、歩くのがめちゃくちゃ楽になった」と恩恵を受けつつ、ショットのコントロールに苦しむようになった。
「スイングもやっぱり変わってしまって、ショットが全部、左に行くようになった」。クラブで対応策を講じたが、原因のひとつとして挙げたのがやはり、靴の変化。「途中で高さが違うことに気づいた。(愛用していた)クラシックタイプは、かかとの位置が高いんです。ソフトスパイクは低いから、知らない間にアップライト気味になっていた」
PGAツアーのルーキーイヤーはそんな苦労の連続。7月の「全英オープン」を最後に左腕から手にかけてしびれが出た影響で、特別保障制度(公傷)を利用して2カ月間、戦列を離れた。シューズの問題を解決すべく、インソールも数十種類テスト。クッション性の高いモデルにも慣れ始め、先週ドイツでの「BMWインターナショナルオープン」から新しいスパイクを履いた。
「この1年半で靴に詳しくなりました。ソフトスパイクの良さも知った。苦労しましたけど、良いことに気づいたうれしさもある。クッション性があった方がパワーをより出せるかもしれない。けがの功名みたいなものもあります」。再び多くなった欧州ツアーでの試合も苦戦が続く。今季はまだトップ10入りすらないが、「ピンチはチャンスだと思って頑張りたい」と前を向く。「(良い)成績が出ていない悔しさはあるんですけど、この環境で、続けたい」。気持ちはまだ萎えていない。(スコットランド・ノースバーウィック/桂川洋一)