チリの大都会コース、下部ツアー選手の技術と馬力…石川遼が中南米転戦で見たもの
最高気温が30℃近かったチリから帰国して3日後、石川遼が三井住友カード株式会社のイベントに参加した静岡・太平洋クラブ御殿場コースから仰ぎ見る富士山は真っ白な雪化粧だった。「チリ、めっちゃ良かったですよ。東京みたいな感じで、マジで大都会。コースまで20分、空港にも30分で行ける。『1年の中でチリが一番いい』って言う選手もいました」。疲れた様子も見せず、数日前まで滞在していたチリの首都サンティアゴの恵まれた環境を語る。下部コーンフェリーツアー参戦1年目は発見、驚き、刺激に満ちている。
開幕からバハマで2週→パナマ→アルゼンチン→チリと渡って中南米5試合を戦った。4試合で予選を通過したものの、直近「アスタラチリクラシック」26位が最高成績で年間ポイントレース103位にとどまる。やすやすとスタートダッシュを切らせてくれない舞台を経験して改めて思うのは、「1打、2打のところにすごい数の選手がせめぎ合っていて、層が厚い。やっぱり、(平田)憲聖の頑張りはすごい」ということ。昨季ポイントランク15位でPGAツアー昇格を果たした“価値”をまざまざと感じている。
唯一の予選落ちだったパナマを除けば、参戦した試合の優勝スコアはいずれも2桁アンダーだった。開幕戦の27アンダーに始まり、アルゼンチンは22アンダー、チリも19アンダーと伸ばし合いが繰り広げられた。「(ここ数年は)難しいホールで割り切って(パー狙いに)徹したりっていうプレーをして、難しいコースで耐えて上に行くことが多かった。スコアが全体的に伸びるコースで伸ばせている日もあるので、それは去年までの自分にあまりなかったこと」。上で戦うために“ハマる”ラウンドが1日では足りないことも分かっている。
ショートサイドに外せば、あっさりボギーをたたいてしまう難しいセッティングに対しても攻めていける技術と精度はもちろん、それを試合中の必要な局面で発揮できるメンタルを備えた選手がゴロゴロいる。最初の試合で予選同組になり、パー5の2打目やパー4の2打目で握るショートアイアンの精度に驚かされたというジェームス・ニコラスは4戦目のコロンビアで初タイトルをつかんだ。ピンそば3mに絡めて“まずまず”と思ってグリーンまで歩くと、自分が一番遠かった…なんてこともざらにあったと苦笑する。
「基本的に、みんなメチャクチャうまい。ポテンシャルも馬力も半端じゃないし、(それでいて)曲がらない。僕が気温30℃くらいの練習場でマン振りして、(ボール初速が)180mph行くか行かないか…ってデータを取ってると、仲のいい選手がチラチラ見に来ることもあるんですよ。中には『オレもやる』って打席に入ってきて、190mph出して帰っていくやつとかもいて…」
ただ、飛距離以上にアジャストが求められると感じているのがラフからのアプローチだという。「地面が信じられないくらい硬かったり、毎週求められる練習内容、技術が日本とは結構違う」。ショットに関しても自らの技術不足なのか、それとも練習してきたことを試合でやり切れていないだけなのか、冷静なフィードバックを怠らずに前へ進もうとしている。
シーズン10戦目終了時のリシャッフル(出場優先順位の入れ替え)まで残り4試合。26日開幕の次戦「クラブカー選手権」(ジョージア州ランディングゴルフ&アスレチッククラブ)を控えた一時帰国も、今後に向けた大事な準備期間となる。(編集部・亀山泰宏)