「プロをやめたほうがいい」ボギーもなんの 松山英樹は復帰戦で修正力全開
◇米国男子◇トゥルーイスト選手権 初日(8日)◇ザ・フィラデルフィア・クリケットクラブ (ペンシルベニア州)◇7119yd(パー70)
コンパクトな18ホールにある前半14番(パー3)は、左手前に立つピンまで109ydしかなかった。松山英樹のウェッジでのティショットは、まんまとワナに引っかかり左のバンカーに捕まってしまう。「理解できない、風のせいなのか…。あのホールでボギーを打っているんだったら、プロをやめた方がいいくらい。ヘタでした」。2パットでスコアを落とし、自らに呆れたものの、この日のボギーはこれが最初で最後だった。
4月の「マスターズ」以来、4週ぶりのツアー復帰戦。オーガスタで好調だったショットの感触は前半、「全くキープされていない」と狙いどころに運ぶのに必死だった。出だし10番から1Wショットを左に曲げて「フォアー!」の声。「とんでもないところに行ったのもある」と前半17番の第1打も大きくひっかけ、ギャラリースタンドのそばまで到達した。
挽回が始まったのはその直後。救済を受け、芝が薄いエリアに無罰でドロップしてから、2打目をピン左4mにつけて2つ目のバーディを奪った。後半アウトに入ると、「前半のミスを引きずって、逃げ腰な感じのショットが多かった」と振り返りつつ、5m前後のチャンスを多く作り、バーディを4つ稼いだ。
6番では2打目を打った瞬間にガックリ。「完全なるミスショット。フェアウェイが硬いのでバウンスがはねてくれて助かった」という一打もピン手前4mについてバーディに繋がった。この日はスコッティキャメロンの新しいパターを投入。「もともとのゲーマー(エースパター)が、今は全然イメージが湧かない。コレを継続して使うかどうかは分かりませんけど、替えてみて、きょうは悪くはなかった」と6番、9番でもミドルパットを沈めた。
6バーディ、1ボギーの「65」のラウンドでは、やはり持ち前のウェッジさばきも光った。終盤8番(パー3)、4Iでのティショットを左手前の警戒すべきバンカーへ。傍目から見れば大ピンチの第2打。アドレスして、背丈よりも1m近く高い“壁”の向こうのピンが視界から外れても、松山は「ライを見たら意外と難しくないと思って、これは寄ると思った」という。ふわりと上げて1mに寄せ、見事にパーを拾った。
首位と4打差の5アンダー。11位スタートは優勝した開幕戦「ザ・セントリー」の初日2位に次ぐ今季2番目の好発進となった。2日目は悪天候予報で、スタート時刻が予定よりも約3時間前倒し。タフな戦いに備え、「早く寝ます」とコースを後にした。(ペンシルベニア州フロータウン/桂川洋一)
