「マスターズ」初日リーダーボード
2022年 マスターズ
期間:04/07〜04/10 場所:オーガスタナショナルGC(ジョージア州)
復活ウッズは10位スタート 大声援に「エネルギー感じた」
◇メジャー第1戦◇マスターズ 初日(7日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7510yd(パー72)
アゼリア色のモックネックシャツが緑に映える。ひざのけがから、腰の故障から、そして今度は生死を分ける自動車事故から帰ってきた。2020年11月のマスターズ以来の公式戦でトップ10スタート。タイガー・ウッズは、生ける伝説たるゆえんを見せつけた。
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断続的に上空を覆った雷雲が去ったオーガスタは熱狂した。午前11時前、1番ティ後ろのパッティンググリーンにウッズが姿を見せると、割れんばかりの大歓声。後ろの組でプレーする前年王者・松山英樹も嬉々とした視線を送っていた。第1打の1Wショットは大きく右へ。パーで滑り出したが、ウッズは自分にいら立っていた。「きょうは良いウォーミングアップができなかったんだ」。ただ、ボールを打てればいいわけではない。勝つために、ゴルフコースに戻ってきた。
昨年2月、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外で運転中、坂道で単体事故を起こした。右足に大けがを負い、選手生命は断たれたかに思われたが、治療とリハビリを経て同年12月の「PNC選手権」で長男のチャーリーさんとプレー。過去5勝の「マスターズ」での復帰がここ1週間のうちに電撃的に決まった。
「簡単には言葉にできない。人々は僕のチームがどれだけ懸命に力を尽くしてくれたか知らない」と周囲の全力サポートに報いるべく、懸命にクラブを振り、歩く。後半14番では左サイドに1Wで曲げた後、枯れた松葉の上から木々のわずかな隙間を通してグリーンの奥へ。2つ目のボギーをたたいても、かつてのエキサイティングなプレーにパトロンは拍手を送り続けた。
「71」で1アンダー。首位のイム・ソンジェ(韓国)とは4打差の10位で初日を終えた。望ましい状態ではなかったにもかかわらず、アンダーパーで終われたことに満足。「どこに打てばいいかは知っている。ミスは正しい場所に」と豊富な経験が生きた。
宿に帰れば「たくさんだ。すごくたくさんの治療が待っている」という。「凍死するくらい氷風呂に浸かって、腫れを可能な限り取り除く。今度は動かして温めて、次の日に爆発できるようにする」。46歳はコースの外でも過酷な戦いを強いられる。
心が震えるのは、この日の光景を再び目にできたから。「プレーできる機会を得られたことは本当に幸運なこと。マスターズに出て、こんなに歓迎されている。19年に勝ってから、20年はコロナで誰もいなかった。昨年は出られなかった。パトロンがいっぱいでエネルギーを感じられた。素晴らしい」(ジョージア州オーガスタ/桂川洋一)