松山英樹は4週のオフを経てPGAツアーに復帰した

◇米国男子◇AT＆Tバイロン・ネルソン 事前情報（11日）◇TPCクレイグランチ (テキサス州)◇7468yd（パー72）

ドライビングレンジでショットを打つたびに、たくさんの選手、関係者が歩み寄ってくる。彼らと都度、拳を合わせ笑顔でお礼を返していく。「日本にいるときはあまり思わなかったが、試合会場に来て、選手に会って実感しています」。雨粒を大量に含んだ雲の下は祝福ムード。松山英樹がマスターズチャンピオンとしてPGAツアーに帰ってきた。

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日本に男子ゴルフのメジャータイトルを初めてもたらした直後、松山は一時帰国してオフを過ごした。最初の2週間は新型コロナウイルス禍の影響で自主隔離。前週に再渡米して、まずフロリダ州オーランドの自宅に戻った。

松山英樹はたくさんの選手や関係者から祝福された

本格的な練習はテキサスの会場に入った10日（月）から。久々に真剣にクラブを握ると「（マスターズ前に取り組んでいたことが）継続してできているか、まったくダメかのどっちかだと思っていたが…、1カ月ってヤバいっすね」と苦笑い。次週に次なるメジャー「全米プロゴルフ選手権」（サウスカロライナ州キアワアイランド）を控え、「今の状態が“ゼロ以下”なのでどうしたらいいかなと」。雨に打たれながら、さっそく打撃練習に必死になった。

それを見透かされたのか、開幕前のツアー公式サイトの優勝予想番付（パワーランキング）では15番目にランク付けされた。寸評は「この1カ月は先月のマスターズでの躍進の祝福に費やした。日本男子初のメジャー優勝から内閣総理大臣顕彰を受け、復帰にあたり（状態は）なまっているかもしれない」と少々、手厳しい評価を受けている。

開幕2日前にドライビングレンジで練習する松山英樹

開幕前日の12日に9ホールのプロアマ戦等で最終調整する。「成績を出したい自分と、そんな状態でないという自分が2人いる」と悩ましい。その半面、キャリア最高の目標のひとつを達成したことで得られたものもある。

「（3シーズン）勝てなかった中で、勝ったのがマスターズでホッとしている。これからもっとツアーでもメジャーでも勝ちたいと思っているが、今までみたいに（自分を）追い込んで、追い込んでというよりは、少し余裕をもって自分を見られる」

大切なグリーンジャケットはガーメントバッグに入れて、米国に持ってきた。ところで今はどこに…？ 「どうでしょう？ （フロリダに）置いてきたと言ったら、そこで何かあると困る」。“強盗”を警戒するように煙に巻き、ニヤリとした。(テキサス州マッキニー／桂川洋一)