「3Mオープン」最終スコア
2020年 3Mオープン
期間:07/23〜07/26 場所:TPCツインシティーズ(ミネソタ州)
ツアー中断翌週に生まれた2人目の養子 トンプソンが涙の復活V
◇米国男子◇3Mオープン 最終日(26日)◇TPCツインシティーズ(ミネソタ州)◇7431yd(パー71)
7年ぶりのタイトルをつかんだマイケル・トンプソンの目に涙があふれた。「僕の心の支えは妻だった」。会場には来られないレイチェル夫人にフェースタイムで報告しようとしたが、言葉を紡ぐ前に2人とも泣き出した。最愛の妻の傍らには、元気いっぱいの男の子と女の子。前回優勝時には、まだ生まれていなかった。「みんなで一緒に祝うことができて、ただただ興奮しているよ」と喜びをかみしめた。
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家族の物語は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で初日終了後に中止された3月の「ザ・プレーヤーズ選手権」までさかのぼる。4バーディ、ボギーなしの「68」で、首位の松山英樹と5打差の4アンダー7位タイと上々のスタートを切っていた。
幻となった好発進。悪化の一途だった状況を考えれば仕方ないと受け止められた。そして、「ゴルフは僕たちが思っていたほど、いま重要なことではない」とも思えたのは、すぐに人生の一大イベントが控えていたからかもしれない。
週が明けて17日、レイチェル夫人、3歳の長男・ジョシュアくんとともにカンザス州トピカへ向かった。養子縁組で4人目の家族として迎え入れることが決まっていた、ローレル・マリーちゃんの出産に立ち会うために。
待ちに待った対面は、その2日後。トンプソンは米ゴルフダイジェスト電子版に「母親の女性は、僕と妻が分娩室に入ることを許可してくれた。僕は赤ちゃんのへその緒を切らせてもらったんだ」と感動の体験についてコメントを寄せていた。
パンデミックで裁判所などが閉鎖され、養子に関する事務手続きは一時ストップせざるを得なかった。生まれたばかりの子どもを連れての飛行機移動や長時間のドライブも見送った方がいいと判断し、1カ月ほどカンザス州での滞在を延長した。
ゴルフができない空白は、新たな宝物が埋めてくれた。「彼女の人生の最初の数カ月間を一緒に過ごし、授乳を手伝い、オムツを交換し、その笑顔を見ていられたのは、本当にうれしいことだったよ」と振り返る。
夫婦にとって、ローレル・マリーちゃんが初めての養子ではない。不妊に悩み、ジョシュアくんが家族になったのは2016年のことだ。「養子縁組をして、本当に良かったと感じている。自分と血のつながっていない子どもを家族として迎え入れ、育てることは、究極の愛の証しのひとつだと思う。生物学的には自分の子どもでなかったとしても、彼らは僕たちの子どもなんだ」。手にした幸せが35歳の背中を押し、間違いなく復活優勝の原動力になった。