1年前を振り返ったマシュー・ウルフ（写真は2020年ロケットモーゲージ・クラシック）

◇米国男子◇3Mオープン 事前（22日）◇TPCツインシティーズ(ミネソタ州)◇7431yd（パー71）

どうしてお金を借りたの－。会見で問われたマシュー・ウルフは記憶を呼び覚ますように初優勝した前年大会の失敗談を明かした。「どんな状況だったかはっきり覚えていないけど、たしか現金がなくてチップ代を借りたんだったな」

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当時は同年の「全米大学選手権」を制した期待の新人という扱いだったがまだプロ転向3戦目。開幕前日の練習ラウンド後にロッカールームでお世話になったスタッフへのチップ代・60ドル（約6500円）を持っていなかった。「コース内にATMもなかった」。親交があったトーナメントディレクターのホリス・キャブナー氏に「現金は持っておいた方がいい」とプロの在り方を説かれながら借金をした。

ただ、その4日後には最終18番（パー5）で8mを入れるイーグルを奪い1打差でブライソン・デシャンボーを逆転。20歳2カ月24日と歴代9番目の若さでツアーを制し、115万2000ドル（約1億2340万円）を得た。

大会連覇を目指すマシュー・ウルフ（写真は2019年3Mオープン）

大会後キャブナー氏に「利息を入れて100ドル（約1万710円）で返してくれよ」と冗談を言われ、2人で大笑いした。ウルフは「この1年で家を買ったけど、すごくシンプルな生活をしている。お金のことを考えるよりも、最高のプレーをするために今の瞬間を大切にする。時々自分に言い聞かせるんだ。『お前は若くしてツアーカードを持っている恵まれた選手だ』ってね」と愚直にツアー2勝目を狙うスタンスはキープしている。

ディフェンディング王者としての待遇は駐車場でも実感した。イニシャル順に指定されることが多い駐車スペースは「（Wolffの）Wだから、いつも遠いところばっかりだった」。ただ前年覇者として最もクラブハウスに近い駐車スペースに自らの名前が書かれていた。

「前年の大会はたくさんの人が優勝を歓迎してくれた。18番での興奮は忘れていないよ」と思い出深い大会で連覇に臨む。