「やっぱりずっと日向子ちゃん」来季は一緒に米国で 桑木志帆は憧れ渋野からも祝福
桑木志帆の視線は仲間たちの顔をはっきり捉えていた。2ホールに渡った「AIG女子オープン(全英女子)」のプレーオフのあいだ、多くの日本人選手が18番で自分を待ち構えているのが分かった。
同世代の岩井ツインズ、後輩の竹田麗央。同じ日に無念のホールアウトとなった古江彩佳や西郷真央の姿もある。「グリーン脇で待ってくれているのが見えてうれしかった。アメリカに行っても、ひとりじゃない」――。たとえ負けていたとしても、将来、主戦場にしてみせる米女子ツアーできっと戦えると思えた。
残念ながら、歓喜の輪の中にいなかった憧れの存在が渋野日向子。予選落ちして一足先にコースを去った同郷・岡山の、そして「全英女子」覇者の先輩から、桑木は優勝決定後にメッセージをもらったという。帰国後の会見で「『本当にすごいね、またごはんに行こうね』って言ってくれました」と明かした。
「昔からお姉ちゃんみたい。日本で会っても、アメリカで会ってもいつも優しく接してくれる。私は本当に日向子ちゃんの背中を見て育ってきた。気にかけてくれてすごくうれしい」。スマホでのやり取りに胸が熱くなった。
快挙を遂げた直後、桑木は自身が使用していた記念のボールやグローブを、観戦中の子どもたちに惜しげもなく手渡した。「よくも悪くも注目される立場になった。(目標の)一番はやっぱりジュニアゴルファーの子たちから憧れられるような存在になりたいので、これからもキラキラできるように頑張りたい」と23歳にして次世代へと目を向ける。
子どもたちにはとにかく「ゴルフを楽しんでほしい」。ただスコアに一喜一憂するのではない。「自分が狙ったところに打てたときの喜びがゴルフにはある。ピンだけを狙うのではなく、例えば右サイドにおいてそこからバーディを獲るようなマネジメントの楽しさもある。技術面だけでなく、考えながらゴルフをすることがすごく楽しい」。英国リンクスで、決断までのプロセスを練り、トライするたびにゴルフの虜になった。「私は23歳になってからそれに気づけた(笑)。みんなそれが分かってくれたら楽しいかなと思います」とエールを送る。
メジャーVで得た権利をもとに2027年から新天地でプレーする。ネリー・コルダやリディア・コー(ニュージーランド)らスターぞろいのフィールドで、目標にするのは「やっぱりずっと日向子ちゃん」。海の向こうで「見てもらうことも、教えてもらうこともたくさんある」。同じタイトルを手にしても、見上げる角度は変わらない。(編集部・桂川洋一)