1万人の“アウェー”で魅せた執念 岩井明愛が最終18番イーグルで大会新記録
◇米国女子◇ホンダ LPGAタイランド 最終日(23日)◇サイアムCC オールドコース(タイ)◇6632yd(パー72)
最終日に訪れた1万人を超えるギャラリーのほとんどは、地元タイのアタヤ・ティティクルの応援団。それでも、最終18番(パー5)で一番大きな歓声を浴びたのは、諦めない岩井明愛の姿だった。
「追いつくのは難しいと思ったんですけど、最後までイーグルを狙いに行った」。首位のエンジェル・インと2打差で迎えた最終ホール。ティショットは左のラフにつかまったが、残り240ydで迷わずグリーンを狙った。イメージ通りにドローがかかった5Wのショットは、ピン奥4mのカラーへ。グリーンを囲む大群衆から歓声と拍手が鳴りやまなかった。
インの、たった50cmのバーディパットを前に、決めれば、わずかにプレーオフの可能性が残るイーグルトライ。下りのパットはやさしくなかったが、決めきった。「最初にフックして、スライスもするかなと…ラインは、よくわからないです」と笑って振り返るが「入れるしかない」と腹をくくっていた。
胸を張れる1打差2位だ。1イーグル10バーディ、1ボギー「61」は初日に自身がマークした大会コースレコードタイを1打更新した。18番以外にも見せ場はいくつもあった。
5打差を追い、1番(パー5)から2オン2パットのバーディを奪い、3番、4番で下り6、7mを沈めて2打差に迫った。後半10番から3連続バーディで首位に並んだ。インとの大接戦で勝敗を分けたのは17番。1打ビハインドで迎えた難度の高いホールで、右サイドのピンを狙った第2打を右奥に外し、この日唯一のボギーを喫した。「狙っちゃいましたね、紙一重のところでした」と攻めの姿勢が実らなかった。
熱戦を演じた自負はある。ただ、1打の無念は大歓声を受けてフィニッシュしても拭えない。「しかたない…とは、思っていない。追いつけたし、ところどころもったいない場面もあった」。米ツアー本格参戦2戦目で単独2位。初体験だった海外での最終日最終組は、悔しさが上回る。「経験がまだまだですし、ちょっと不安のほうが大きかった。もっと優勝争いをしていきたいので、その分負ける回数も多いと思う。まずは、この位置でプレーできることがうれしかった」。これから待つ優勝争いでは、さらに強い気持ちを持って臨めるはずだ。(タイ・チョンブリ/谷口愛純)