「ゼロに近かった」一年前から 渋野日向子は“20パーの自信”で開幕へ
◇米国女子◇ファウンダーズカップ 事前(5日)◇ブラデントンCC(フロリダ州)◇6465yd(パー71)
キャップのロゴはアディダスに変わり、契約フリーで臨むクラブセッティングは14本のうちパターを除く13本が入れ替わった。渋野日向子は米ツアー4年目の初戦を前に「いろいろ心機一転なんで。それで戦うのが楽しみな気持ちが一番強いかな」と言った。
「いや、もちろん不安は不安ですけど…」と笑って続ける。「(MAXが)100%の自信だったら、20パーくらい」。一年前、タイで迎えた2024年シーズンのスタートを思えば勇気をもらえる数字だとうなずく。「(昨季も)ちゃんと練習はしてきていましたけど、不安もすごかった。これで始めていいのかっていう、結構ゼロに近い感覚でした」と振り返る。
必死に見せまいとしていた不安は的中した。予選カットのないタイは71選手中69位に沈み、2戦目から4試合連続で週末に残れなかった。5月中旬までの9試合でベストフィニッシュが4月のメジャー「シェブロン選手権」の50位、予選落ちが6試合を数えた。
2試合連続予選落ちと低空飛行のまま迎えた6月「全米女子オープン」で笹生優花と優勝争いを演じて2位に入った。「やっぱり、そういう(全米女子のような)試合が増えていくといいなと思っている。うれしかったですけど、悔しい気持ちも大きかった。どれだけコンスタントに結果を残していけるかもすごく大事なので」。年間のトップ10は3週後の「KPMG全米女子プロ選手権」7位を含めた2試合だけ。大舞台で残した結果を“勝負強さ”で片づけたくない。そのためのオフを過ごしてきた。
あらゆるメーカーのクラブを試せる契約フリーの立場に変わった今年も全米女子オープンの経験がよりどころになる。「シャフトでスイングも変わるなって去年分かったので。ホントに大事」。理想とするドローボールの軌道を描くため、“ねじれない”をキーワードに合宿を張ってクラブとシャフトのマッチングを模索してきた。「まだまだ100%じゃないかもしれないけど、今の自分には合っているクラブだと思ってやっている」。ウソをつかない計測器のデータも、手に残る感触も上々だ。
20%の源は、ひとまず納得の14本をそろえて初戦を迎えられること。「クラブに不安はない感じがあるので、ミスショットしたら自分のせいにできるというのは(現状として)いいところだと思っている。スイングとかは、まだなかなか再現性も高くないと思うんですけど、クラブがいいので、思い切って振っていけるのかな」。あとは下半身を強化してスイングに生かしていくトレーニング面も含め、継続した取り組みで結果を残していくしかない。「練習もですけど、結局は結果の積み重ねで自信が出てくる。その自信を持って戦える期間が(シーズンの)早めに来るといいな」
全ては米国の地で勝つために。「何かを変えないとというか、自分が一番変わらないといけない。毎年言っててアレなんですけど、(本当に)毎年毎年、大事な一年だと思っているので。しっかり、今年こそ頑張りたい」。一年前と同じ言葉を、確かに少し前向きな表情で紡いだ。(フロリダ州ブラデントン/亀山泰宏)