イ・ボミ 単独インタビュー 「引退後も日本ツアーと関わりたい」
2023年 ホンダ LPGAタイランド
期間:02/23〜02/26 場所:サイアムCC オールドコース(タイ)
馬場咲希6キロ増の裏話 1日4500kcalと格闘の日々
◇米国女子◇ホンダ LPGAタイランド 最終日(26日)◇サイアムCC(タイ)◇ 6576 yd(パー72)
身長176cm。馬場咲希に体重を聞くと「恥ずかしいので、内緒にしておいてください」とはにかんだ。2022年11月の「アジア女子アマ」で会ったときよりもしっかりした体つきは、数値を聞かなくても見てとれる。昨年のシーズン中に減った体重は、タイに来るまでに6kg増量して過去最高まで持ってきたという。
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体重を戻すために、基礎代謝が1500kcalほどの計算で1日4500kcalの摂取を目安にしてきた。ご飯茶わん軽く1杯(約150グラム)が約240kcal。「4500」の数字を口にするとき、馬場は思わず苦笑した。アスリートからよく耳にする体重のコントロールは、誰にとっても簡単なことではない。こと馬場にとっては、「ゴルフに関する全てのもののなかで、一番大変」というくらい苦手なことだった。
食べることに、とにかく時間がかかる。飲み込むことが苦手で消化器官も強くない。「油ものは特に時間がかかるし、かむ、ゴクン! という動作ができない」と、一度にたくさんの量が食べられない。「食べたいと思う量の何倍も食事があるので、お腹いっぱいになってから、時間をかけて食べるんです」と、1食に2、3時間かけて食べ切ることもあった。
フィジカルトレーナーの鎌田貴氏は「馬場さんの場合は、何はともあれ食事です」と話す。以前は宮里藍さんらのトレーナーを担当しており、馬場への指導は中学3年のころから始まった。
試合になれば、オフと同じように十分な時間を食事だけには使えない。午前8時56分スタートの大会3日目を例に挙げると、4時30分に起床してウォーミングアップを終えてからコースへ移動。この日は朝食に30分ほど時間を取ったが、時間がなければパン1枚で済ませることもある。ラウンド中もしっかりとした間食は食べられない。「試合中は1日2000kcal以下になる日もあります。プレーを終えたら消費したエネルギーを取らないと」と話し、練習よりもケアよりも先に、クラブハウスのレストランに駆け込んだ。
懸命な“食トレ”により体の土台ができたことで、飛距離は体重が落ちた昨年終盤から10ydアップ。大会では平均271ydをマークしたが、これから迎える海外メジャー出場やプロテストを見据えると、パワーアップに向けてもう4、5kg増やしたいと鎌田トレーナーは考えている。
飛距離を武器に今大会で優勝争いを演じた20歳のナッタクリッタ・ウォンタウィラップ(タイ)を昨年の「アジア女子アマ」で見たときには、そのパワーに圧倒された。「めちゃくちゃカッコいい。当時の私で30~40yd置いていかれた」と目標にする選手の一人だ。
まだ伸びている身長は、ナッタクリッタと並んでもそん色ない。「伸びるところまで伸ばして、迫力のある選手になりたい」。もっと強くなるために、今日も一生懸命ごはんを食べる。(タイ・チョンブリ/谷口愛純)