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2021年 KPMG全米女子プロゴルフ選手権
期間:06/24〜06/27 場所:アトランタアスレチッククラブ(ジョージア州)

逃げずに攻めた渋野日向子 思い出した「自分らしいプレー」

◇米国女子メジャー◇KPMG全米女子プロゴルフ選手権 最終日(27日)◇アトランタアスレチッククラブ・ハイランズC(ジョージア州)◇6831yd(パー72)

その場にいた誰もが、固唾を飲んで見守っていた。この日、17番(パー3)のピンは左奥の狭いエリアに切られて、実測148yd。ピン手前と左5ydには、すぐ池が迫っている。渋野日向子が前日に4度池に入れて「10」をたたいた因縁のホール。最終日はここまで5つスコアを伸ばす快調なゴルフを見せていたが、油断することはできなかった。

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オナーのジェニファー・カプチョが、ピンをかすめて上5ydに止まるスーパーショットを放つ。「すごいところに打ってくるなぁ…」とギャラリーから声が漏れた。渋野が握ったのは7I。風は緩く左から吹いている。「パシッ」と乾いた音を残した放たれた白球は、数秒後にピンの右、安全なグリーンセンターに落下した。

その瞬間、新型コロナ陽性となった藤野圭祐キャディに代わって、急きょ週末にバッグを担ぐことになった、ユスフ・ワジールディン氏が両手を上げて「イェー!!」と歓喜の叫び声。「昨日ああいうことがあったから目を閉じていたんだよ。ギャラリーの声だけを聞きたかった」と同氏は振り返る。渋野も笑顔で“セーフ”と両手を広げる仕草を見せ、ギャラリーにも安どの笑顔が広がった。

「3カ月の(米ツアー参戦の)最後のラウンドだったので、きょうは最初から攻めていこうと決めていた」という最終日。渋野は序盤からバーディを量産した。2番(パー5)で4mを沈めると、4番(パー3)は池のすぐ先にある右手前ピンを果敢に攻めてピンハイへ。「度胸あるなぁ」という日本人ギャラリーの嘆息が耳に届く。その4番から3連続でバーディ奪取。8番でこの日唯一のボギーをたたいたが、直後の9番でバウンスバック。渋野の気持ちは、前へ、前へと向かっていた。

「多くの選手は10をたたいたら崩れてしまう。だけど、彼女は最後まで戦い続けた。ライオンのハートを持っているよ」と渋野を評したワジールディン氏。「良いゴルファーというだけではなく良い人間だよ。謙虚だし、態度も素晴らしい。彼女には明るい未来が待っているよ」

2日目となった急造タッグは、片言の英語でもコミュニケーションが取れていた。「すごく盛り上げてくれたし、めちゃくちゃ楽しかったです」と渋野は言う。後半は15番(実測190yd/パー3)で7Wをピンハイ5mにつけてバーディを追加。3Wで2オンを狙った最終18番(パー5)は、ギリギリ池を越えて奥のバンカーへ。そこからきっちりとパーを拾って、最終日は今週ベストの「67」。通算1オーバー41位で大会を締めくくった。

18番グリーン脇で選手名をアナウンスする男性に「彼女はきょうどうだった?」と声を掛けられた。「5アンダーだよ」と応えると「グッドデイ」とうなずいた。悪い日もあれば、良い日もある。長い4日間を戦い終えて「いろんなことを経験できたし、ちょっとでも成長するためには必要な経験だったとすごくプラスに考えられている。その中でこういう結果を最終日に残すことができて本当に良かった。逃げずにやってよかった」と笑った渋野。

これで、4月「ANAインスピレーション」から続いた米ツアー転戦にいったん区切りをつけ、日本に戻って「GMOインターネット・レディース サマンサタバサグローバルカップ」から3連戦に出場する。

「悔しいことの方がたくさんあったけど、この一週間を考えると、今までの悔しさが全部消えていくような感じです。(3カ月間で)成長したところは特に感じられないけど、でも『自分らしいプレー』がちょっとずつ戻ってきているって思えたこの2日間だったかな。2日目の残り2ホールから、すごく思い出した感があった」という渋野。アトランタの強い日差しが、キラキラとその顔を照らしていた。(ジョージア州ジョンズクリーク/今岡涼太)

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