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2020年 全米女子オープン
期間:12/10〜12/14 場所:チャンピオンズGC(テキサス州)

「メディアキット」も様変わり コロナ禍の全米女子オープン撮影記(前編)

2020/12/18 16:15

全米女子オープンの現地取材許可が急きょ出たのでアメリカに行けませんか――。ゴルフダイジェスト・オンライン(GDO)編集部から撮影依頼を受けたのは12月を迎える2週間程度前だった、と記憶している。

12月はオフシーズンなので、スケジュールの空きをチェックした。前年は「全英女子オープン」で渋野日向子プロが42年ぶりに日本人メジャー優勝。彼女が重い歴史の扉を開けたこともあり、今回も日本勢がもしかするともしかする…。そんな期待感も気持ちを駆り立て、あわてて渡米準備を始めた。

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まずは現地入国の際に必要と思われる新型コロナウイルスの英文の陰性証明書をもらうため、都内でPCR検査を受けた。仕事の都合上、渡米は8日(火)。ロサンゼルスを経由しヒューストンに入る便をすぐに予約した。

ターミナル間も歩いて移動

羽田発の深夜便。空港に着いて驚いたのは「ほとんど人がいないけど、ちゃんと飛行機は飛ぶの?」ということ。チェックインカウンターもガラガラだし、免税店や土産店もほとんどが閉まっている…。

機内に乗り込んでもほとんど人はいない。後方の座席だったが10列前まで空席の状態だ。飛行機をよく利用するゴルフトーナメントのカメラマンになり、数十年が経つ。さすがにこんな状態の機内の飛行機に乗るのは初めてだった。

空港に到着。エコノミー席でも横になれるくらいガラガラでリラックスできたので、普段よりフライト時間は短く感じた。アメリカへの入国といえば、大行列でとにかく時間がかかるイメージだが、列に並んだのはたった数分だった。6フィート(2m)のソーシャル・ディスタンスを保つよう促す看板もある。入国管理官の質問がいつも以上に厳しく感じたのは、この時期に観光で入国する人は少ないためだろう。

「何しに来た?何日滞在する?ホテルはどこだ?ビザはあるか?帰りの航空券を見せろ!」。矢継ぎ早の質問に対し、全米女子オープンの撮影だと説明して無事に入国した。

ここからはヒューストンへの乗り継ぎだ。荷物をもう一度チェックインカウンターで預け、ターミナル間の移動になる。広大なアメリカの空港では、ターミナル移動に列車やシャトルを使うのが普通。ただコロナ禍で列車やシャトルは運休しており、仕方なく20分ほどの道のりを、荷物を持って歩いた。

鼻咽頭検査は痛いのか…

ヒューストン空港への到着は夜中。翌朝には試合会場から近いホテル内で、PCR検査を受けた。「日本(のゴルフトーナメント)は唾液ですけどアメリカのPCR検査は鼻咽頭検査でメチャクチャ痛いんですよ」と経験者から聞かされていた。

検査会場では、いかにもアメリカンサイズ?のオバちゃんが綿棒を片手に待っている。硬く目をつむったが、意外や意外。オバちゃんが天使のように感じるくらい私の鼻の中を優しくぬぐってくれた。「検査結果が分かるのは24時間後。メールで知らせるわ」(オバちゃん)。

えっ?初日のスタートに間に合わないんですけど…。そんなことを思いながら、ホテルで待機するしかないか、と来たる初日に向けてしっかりと体を休めた。

大会初日を迎えた日の午前4時、メールの着信音で起こされた。陰性と英語で書かれた証明書がメールに添付されている。PCR検査の結果が思ったよりも早く送られてきた。第1組のスタートから撮影できると分かり、めちゃくちゃホッとした。

駐車場から会場に移動するシャトルでも隣の席を空けなくてはならず、ソーシャル・ディスタンスの確保が徹底的になされていた。会場内にあるメディアセンターに到着すると、受付で「メディアキット」と呼ばれる“手土産”が全米ゴルフ協会(USGA)から渡された。大会によってはポロシャツなどが配られるため、期待していた。

中身はアルコール除菌シート、アルコールハンドジェル、マスク数枚、水筒だった。コロナ禍の大会だと改めて痛感させられるグッズをもらい、自分の席に向かった。

メディアセンターの中も、感染対策は徹底。1席ずつ間隔がしっかり保たれ、机はアクリル板でガードされる。メジャー大会となれば報道陣でごった返す“いつもの光景”はなく、メディアの数もかなり制限されていた。日本のカメラマンは私と通信社から派遣されているカメラマンのたった2人。安心して仕事ができる環境だと感じた。

アメリカは感染者がすごく多いという報道は見ていた。もちろん外出など安易な行動は避けたが、少なくと空港やホテル、ゴルフコースで今回見た人たちは、みんなちゃんとマスクをしていたし、感染防止策もしっかりしている、という印象も受けた。

2コース36ホールに19人って…

とにもかくにも、一番の懸念材料は「予選ラウンド2コース36ホール、日本人選手過去最多の19人出場」だった。ただ、こうなるとカメラマンの意地と言いますか。「とにかく初日は19人全員撮ってやる!」ってなるもんなんです。何とか19人を撮りきった、というか押さえた、と言う表現が正しいかもしれないが、全組ホールアウトしたころには「チャンピオンズGC、真っ平らなコースでありがとう!」と心で叫んでいた。

初日、渋野プロが2位スタートを切った。そして2日目を終えて首位に浮上。9人の日本人選手が予選通過し「こりゃ決勝ラウンドも走り回らなきゃ」。メジャーの舞台でたくましく好プレーを繰り広げる日本のプロたちは、うれしい悲鳴を上げさせてくれた。

渋野プロは貯金を生かして、3日目終了時点でも首位を堅守した。最終ラウンドを予定する13日(日)は雷雲接近の予報、順延もあり得るか――。そんな懸念を頭に入れながら運命のラスト18ホールに備えていた。(カメラマン・中野義昌

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