石川遼の10勝目は、“奇跡無き勝利”
2012年 三井住友VISA太平洋マスターズ
期間:11/08〜11/11 場所:太平洋クラブ御殿場コース(静岡)
<まさに完璧な21歳。それでも強いて石川遼の欠点を挙げるとすれば…>
15歳で史上最年少のツアー優勝を達成して、このほどこれまた最年少10勝の新記録を打ち立てた。本人には、この2年ぶりの勝利には相当の産みの苦しみがあったようだが、それにしても、だ。
なんだかんだ言ってもまだ21歳。ほかにも、ギネス記録にもなった「58」の18ホール最小ストロークなど、これまで打ち立ててきた快挙は枚挙にいとまがない。
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それは記録だけでなく、インタビューの受け答えなども21歳とは思えない豊富なボキャブラリーで、饒舌に語るなど、立ち振る舞いももはや文句のつけどころがない。熟女ファンが多いのも、きっと「私にも、こんな息子がいたら…」と、そんな気にさせてしまうのも、大いにあるんじゃないだろうか。
「21歳にして、もう完璧ですよね」。
先週のダンロップフェニックスでは、インタビュアーにそんな感嘆の言葉をかけられて、「いえいえいえいえ、全然ですよ」。
本人は、指折り数えて「僕なんか、欠点ばっかりですよ」。
「たとえば?」と、話題を掘り下げられて打ち明けたのが、「忘れ物の多さ」だった。
なんでもジュニア時代からうっかり屋さんだったそうで、「ある試合では、ゴルフシューズを忘れて行って、お父さんに凄く怒られた」という。
「そんなのが他にもたくさんあります。治したい、とは思いますけど、きっと治らない。もう諦めてます。僕の周りも諦めていますね」と、自分でも困ったように笑った。
そんなお茶目な一面も、またファンの心をくすぐる材料。
2年の月日をかけて勝ち取ったこのたびのツアー通算10勝目で、また“遼くんスマイル”も見られるようになった。
この2年間は、近頃では特に厳しいというか、険しい表情ばかりが目立っていたもの。
「本当に苦しかったので…」。
つらかった日々から解き放たれて、人目もはばからずに男泣き。公の場で初めて本人の口から大切な彼女についても語られるなど、その点でも喜びの深さが窺えたこのたびの10勝目は、今までの9勝にはなかった大人っぽさも漂って、“遼クン”のまた新たな一面が見られた復活Vでもあった。