イ・キョンフンの戦績・プロフィールなど
<またしても賞金王をマネジメント!? 韓国勢の活躍の陰にスーパーウーマンあり>
男女ツアーともども近年の韓国勢の勢いは驚異でさえある。先の「長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップ」でもまた一人、新星が生まれた。弱冠はたちの李京勲(イ・キョンフン)の活躍ぶりは、父親の相武(サンムー)さんのサポートもさることながら、一人の“スーパーウーマン”の存在によるところも大きい。
伊井祥薫(いいしょうくん)さんは、一昨年の賞金王の金庚泰(キムキョンテ)のマネージャーでもある。普段、ツアーがない週は、地元の千葉県で実家の焼き肉店を手伝っており、「店ではただの買い出し部隊。トーナメントでは、単なる雑用係ですよ」と笑うが、いえいえどうして。
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現在ツアーに出ている韓国勢のうち、6人もの面倒を一手に引き受けるが、各選手が上がってくるころには必ず最終ホールで出迎えて、そのあとのスケジュール調整に余念がない。まさに、コマのようにクルクルとよく働く人なのだ。6年前に知り合ったY.E.ヤンの“お見立て”で、マネージャー業を始めたという伊井さんだが、プロゴルファーの資格も持っており、まさに日本で戦う韓国勢の母親的存在と言ったら、まだお年頃の女性には失礼かもしれないが。
しかし、それほどの面倒見の良さはもちろん、なんといっても感心すべきは伊井さんの語学力だ。近頃の韓国勢はみな頭が良くて、日本語もすぐに覚えてしまうが、今年デビューしたばかりの李は、さすがにまだまだ、言葉がつたない。それでも、毎週のように上位に来るものだから報道陣に囲まれることも多いし、先週は人生初の優勝スピーチも味わった。
そこで、伊井さんの出番である。韓国語も日本語も話せるという人は、確かに世間にも少なくないだろう。しかし、いずれの言語も即座に、情感たっぷりに通訳できる人となると、非常に貴重な存在だと思う。伊井さんの翻訳はボキャブラリーも豊かで、選手たちの心情が非常に細やかに伝わってくるのである。
生まれも育ちも日本という伊井さんだが幼少期には、夏休みになると必ず韓国に住むおばあさまの家に遊びに行き、その際に言葉を覚えたという。さらに高校、大学はアメリカで過ごして英語にも堪能というから、その点でも選手たちには大いに頼りになるところだ。
その腕が買われて、今月初めの日韓対抗戦では大会の公式通訳もつとめた。そこでの活躍ぶりに、「来年からぜひ、マネージャーとしてお願いしたい」と他の韓国選手から新たな契約話も持ち上がり、評価はまさにうなぎ登りだ。
そんな伊井さん曰く、「来年はまた、韓国勢が増えますよ」。日韓対抗戦ではまだ日本未上陸の選手が4人いたが、みなツアーやコースの完成度やギャラリーのマナーの良さに感心しきりで「これからは是非日本でプレーしてみたい」と口を揃えたという。「今年のQTに早速エントリーをした選手もいますし、今後ますます増えていくんじゃないでしょうか」と言うから、なんともはや・・・。日本選手もうかうかしてはいられない。
先に紹介した李はこの優勝で、賞金ランキングは2位に浮上して早くも次の賞金王候補と呼ばれており3年連続で韓国勢、という可能性も出てきたから、そうなるとまたもや“伊井さんプロデュース”のキング誕生とあいなるが・・・・!? これからツアー中盤戦、最強タッグの動向からも目が離せない。