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<前代未聞の交代劇! キャディさんにも強運の持ち主がいる>

優勝は時の運。選手はもちろん、それはバッグを担ぐキャディさんにも当てはまる。たまたま、最初に担いでいた人が病気で倒れたり、諸事情があって、別のキャディに交代することは、ツアーでもよくあることだが、そのままピンチヒッターが優勝してしまった、という例はそうそうあることではない。前代未聞の“交代劇”は、開幕3戦目の中日クラウンズで起きた。

I.Jジャンの専属キャディのラジさんが、インフルエンザで倒れて、決勝ラウンドから仕事を引き継いだ幸運のキャディが渡辺宏之さん。思いがけず美酒を味わうことになった渡辺さんは、もともと倉本昌弘の専属で、たまたま倉本が予選落ちをしてしまったことで、白羽の矢が立った。2日目を終えて、ジャンが12位タイと上々の位置につけていたことから「そんな責任重大なこと」と、謙虚に一度は辞退をしたそうだが今年41歳の渡辺さんは、この道14年のベテランキャディである。

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男子ツアーでは4勝、女子で3勝に加えてシニアの2勝が昨年の倉本で、しかもその倉本がシニアの賞金王に輝くなど、実績も折り紙つきだ。「3つのツアーで優勝経験があるのは、僕くらい」と、その点ではちょっぴり胸を張る渡辺さん。代打として「是非に」とジャンに乞われたのも当然だった。

そして、そのまま勝ってしまうなんて、何か“持ってる”。それでも、やっぱり前任者のラジさんは「いい気はしないだろう」と、優勝の瞬間はなるべくテレビに映らないように、遠慮がちにしていた。気遣いの人でもある。

渡辺さんがこの道に入る最初のきっかけは小・中の同級生という久保谷健一だった。スキーのインストラクターと、ライフセーバーの資格を持つ渡辺さんは、春と秋のオフの稼ぎ場として、ハウスキャディのアルバイトをしていた。同窓会で再会した久保谷が、そのときたまたま専属キャディを探していると聞いて手を上げた。“初優勝”は、2002年の日本プロ。しかも、その翌週には久保谷が2週連続Vを達成したことを機に、渡辺さんもキャディの花道を、駆け上がっていくことになったである。

倉本の米シニアのチャンピオンズツアーにも帯同し、珍道中を記したブログ<「迷」キャディのたわしがする移動話>も好評だった。ちなみに、「たわし」は、小学校時代からのあだ名で「“渡辺氏”を縮めて“渡氏(わたし)”。それをさらに転じて“たわし”です。他愛ないネーミングでスミマセン」と、笑う風情は程良くトボけた感じの“癒やし系”。さらにちなみに、いまだ独身。多趣味で、性格良しで、しかも強運の持ち主の渡辺さん。「そろそろ、ね」と、ご本人もその気なだけに、渡辺さんの勇姿を見たい女子のみなさんは、ぜひ会場へ・・・!

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