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プレーヤーズラウンジ

<ツアープレーヤーたちの“ちょっといい話”>

先週に引き続き、ブレンダン・ジョーンズのささやかなエピソードをもうひとつ。ある大会のアテスト場でボランティアの方が、チョコレートや飴が山盛りの“スウィーツバスケット”を用意してくださった。

「ラウンドで疲れた選手に」と、温かな善意が詰まったお菓子の山に、いちはやく目をつけたジョーンズは、しかしバスケットの中をしきりに指でかき分けるばかりで、なかなかその場を離れようとしない。「何をしているの」と尋ねるや、パッと顔を輝かせて「あったあった!」と大喜び。大きな手でつまみ上げたのは、真っ白なホワイトチョコレートだった。

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「大好物のひとつ」だという。それを証拠に、1個だけで飽きたらず、その後も必死の捜索で、かごの中にあったホワイトチョコを全部、平らげてしまった。あっけにとられていたボランティアさんも、さすがにポツリと「あららよっぽど好きなのねぇ!」。「ハイ~。ダイスキデス。ゴチソウサマデシタ」と、満面笑みで日本語のお礼も付け加えることを忘れなかった。

この日以来、あっという間に「ジョーンズのホワイトチョコ好き」が評判となり、彼のためにホワイトチョコを常備する方が、増えたとか。それもこれも、彼が人気者であるがゆえ。言葉の通じない選手にもかかわらずつい応援したくなったり、それこそ好物を差し入れたくなるような何かが、ジョーンズには確かにある。

日本で活躍する海外選手は、言葉や文化の違いから、本人の中にもどうしても「よそ者」という意識が拭えず、孤立しがちであることは否めない。そんな環境の中でもジョーンズが、先の「中日クラウンズ」で節目の通算10勝目を挙げて、海外選手としては、1973年のツアー制度施行以来、7番目に多い勝ち星を手にすることが出来たのも、ホワイトチョコの一件でもうかがえるように、自ら存在をアピールし、ファンの声援には必ず笑顔で応え、たどたどしくてもきちんと日本語で声をかけ、積極的に交流を図ってきたからこそだろう。

・・・無論、それらはもともと備わった性格がなせる技でもあり、本人には策を練ろうなどという気持ちはみじんもないだろうけど。

いかに周囲を味方につけて戦えるかどうか。慣れない環境でプレーするというならなおのこと。ジョーンズの姿には、“アウェー”で生き残っていくための必要なすべが、すべて詰まっている。そしてそれは日本で戦う外国人選手だけでなく、日本で戦う日本人選手にも通用することのように思えてならないのである。

ただでさえ、周囲はみんなライバルという勝負の世界。それなのに、自ら敵を作るような行動や言動をしていれば、勝てるものも勝てない気がする。一人でも多くの声援を得るにはどうするか。もちろん、単なる媚びとは一線を画した方法を考えることも、プロの大事な仕事のひとつであろう。

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