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<谷口徹が思わず「減らしてもらおうかな」との本音を漏らした優勝の“特典”とは>

谷口徹が先の「日本プロゴルフ選手権 日清カップヌードル杯」で、ツアー通算16勝目を飾った。プロ日本一の称号は、42歳にして自身初のタイトル。“副賞”として、日清のカップヌードル10年分など、数々の豪華賞品とともに受け取ったのは、この先5年間のシード権。

“日本”と名のつく公式戦は、このほか「日本ゴルフツアー選手権 Citibank Cup Shishido Hills」など、近年はどれも等しく5年間の複数年シードがもらえることになっているが、以前は各メジャー戦の中でも10年だったり、5年だったり、3年だったりとまちまちだった。かの「日本プロ・・・」も、以前は「日本オープン」と並んで10年シード。これは、今から思えば、破格の長さだったといっていいだろう。もちろん、毎年シード権の確保に奔走している選手たちにとっては、喉から手が出るほど欲しいタイトルであり、その思いがまた、大会の権威を高めていたともいえる。

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しかし、実際はそのことでかえって地獄の苦しみを味わう選手がいたこともまた、確かなのだ。毎年、シード権があるということは、どんな状況にあっても試合に出続けなければならない、ということでもある。確かに、勝利を飾った翌年からのち数年は、好調を維持出来るかもしれない。だが「十年ひと昔」という言葉さえあるように、年齢を重ねれば環境も変わるし、万一怪我やスランプなどに見舞われれば、以前やったようには出来なくなる可能性も出てくるだろう。

それでも10年もの長きにわたってシードを持った選手は、なまじっか権利があるために、試合には出て来る。いや、どんな状況にあっても出たくなる。だが調子が悪ければ、毎週のように、予選落ちを繰り返す。金は一銭も入らず、遠征費や交際費のみが、湯水のように出て行く。それがいたずらに何年も繰り返されるのである。権利を得てしまったばっかりに、逆に生みの苦しみを味わうパターンである。

今では、そういうさまざまな背景も考慮して、規定の改定が行われたわけだが、谷口にとってはたとえ「5年」でも、「ちょっと長い」と、感じたようである。5年後を、指折り数えて「47(歳)かあ・・・」と、感慨深げに、「でも、それはそれで、重いな。危機感がなくなるから」と、谷口は言った。

2007年に、2度目の賞金王に輝いて以降の数年は、「満足感で、ゴルフへの情熱が薄れていたかも」と振り返る谷口にとっては、ここに来て再びシード権の延長で余裕が生まれることで、気持ちがダレてしまうかもしれないとの懸念とともに、50歳を目前にしてなお、結果を出し続けなくてはならないことへの怖さも芽生えたはずだ。優勝インタビューでは「・・・(シード権を)3年くらいに減らしてもらおうかな」と、冗談交じりの弱音もこぼれたものだが、それでも、「ゴルフで一線を張れるのは、一生のうちでもほんの一瞬。それならば悔いのない人生を送ったほうがいい」との言葉のほうに、より力が入っていたと思う。「若いやつらにはまだまだ負けない」というのもまた本音。むしろ年齢を経た今は、5年の猶予を存分に生かして、ますます存在感を発揮してくれるのではないだろうか。

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