ツアープレーヤーたちの不屈の精神<ジャンボ尾崎>
2005/11/21 09:00
2週前の三井住友VISA太平洋マスターズ。経済破たんが発覚してから、初めてトーナメント会場に姿を見せたジャンボ尾崎がまず何より気にかけたのは自分のことで、大会の主催者や他のプレーヤーたちに迷惑をかけていないか、ということだった。
その週は月曜日からはやばやと会場に詰めて駐車場の脇に座りこみ、ジャンボの登場を待ちわびる大勢の報道陣の姿があった。ゴルフ界の第一人者が民事再生の手続きに踏み切った衝撃のニュースはテレビでもトップで伝えられるなど、大きな報道がなされ、本人にもそれは予期できたことだっただけに、「その点だけは、気を配ってくれるようくれぐれも頼む」と、スタッフに何度も耳打ちしたという。
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初日の競技を終えるなり大勢の報道陣に囲まれたジャンボは、さりげなく周囲に目を配りながらできるだけ人気の少ない場所に移動していった。そして、クラブハウスの片隅にあったマッサージチェアを見つけて腰を下ろして大きく手を広げ、「これだけ大きく報道されたら、コメントしないわけにはいかない・・・何でも聞いてちょうだい」と、鷹揚に言ってみせたのだった。
今回の顛末については、「すべて連帯保証人としての立場からこういうことになった」とジャンボは説明した。それが原因で膨大な借金を抱えていることは、関係者や知人の間では、早くから知られていたことだった。特定調停に持ち込むなど苦心を重ねたが決着がつかず、「ここ2、3年は特にいろんなトラブルがあって。精神的な打撃を受けない、ということはなかった」と、胸の内を明かした。
「・・・まあ、それも自分のミス」と反省を口にした上で、「早くケリをつけて、一からのスタートを切りたい」とジャンボは言った。
「俺は金に執着はない。金なんかなくたって、自分がゴルフを本当に純粋に追求できれば、それでいい。だからこそ、早くカタをつけてゼロからのスタートを切りたいんだ。スポーツ選手というのは、シーズン初めは全員が一線に並ぶわけだから。それを、これまでずっとやってきたわけだから。ゼロからのスタートには慣れている。そんなプレッシャーをはねのけて、いかに新しいものをまた作っていけるか、という夢が俺にはあるんだ」。
苦難を迎えてなお前向きな姿勢を失わないジャンボには、以前にもまして、ギャラリーの声援が増えた。そこに、いたわるような暖かさも感じ取ったのだろう。ジャンボは「同情されるのは不本意だが・・・(苦笑)それでも、ありがたかった」と、感謝の気持ちを口にした。
問題の解決は、早くて来年春という。「こんなことで、強烈なダメージを受けるってことはありえない」と、言い切ったジャンボ。今回は、本人も思いがけず暗い話題で新聞の一面を飾ってしまったが、「今度は、優勝して一面に載る」。58歳からの再スタートに、暗さは微塵も感じられない。
トーナメントで起こったルール裁定の実例
<三井住友VISA太平洋マスターズ>
1日目、9番ホール(パー4)のグリーンサイドで競技委員要請がある。プレーヤーの球はバンカーとグリーンとの間にあるマウンドの急斜面に突き刺さった状態であった。競技委員は、まずその球をマークしてもらい、地面まで食い込んでいるのかを調べ明らかに地面に食い込んでいたので救済を認めた。 規則25-2・JGTローカル・ルール4
救済を受けたプレーヤーは、球のあった箇所にできるだけ近い所にドロップしたが二度ともドロップした箇所より2クラブレングス以上のところに止まり、その球は二度目にドロップした箇所にプレースすることになった。しかし、プレーヤーがその箇所にプレースしようとしても急斜面の為、球が止まらず結局3メーター程外れた箇所にプレースすることになった、もちろんホールに近づかずに、ハザード以外の所で球が止まる最も近い箇所です。 規則20-3d
読者の皆さん、地面に食い込んでいる球の救済区域をスルーザグリーンとするローカル・ルールの記載が無い競技では「芝草を短く刈ってある区域」ですのでご留意を!