石川遼、タイで今年の総仕上げへ
<石川遼らが出演する観戦マナー啓発VTRは今週お披露目>
先週のマイナビABCチャンピオンシップの水曜日に、ギャラリーの観戦マナーについて、選手たちが直接呼びかけるVTRの作成が行われた。
近頃、大会中に相次いだマナー違反を重く見た当機構(社団法人日本ゴルフツアー機構=JGTO)会長の小泉直が、「毎週、たくさんのギャラリーのみなさんに来ていただくのは非常に有り難いのですが、ゴルフはマナーのスポーツ。選手はもちろん、ギャラリーのみなさんにも守っていただいて、一緒にトーナメントを盛り上げていく形を作りませんか」との呼びかけに賛同した選手会は、ビデオに出演する6選手を選出。
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選手会長の宮本勝昌を筆頭に、藤田寛之と片山晋呉、矢野東と小田龍一と石川遼が顔を揃えることになったのだがこの錚錚たる面々に、すっかり怖じ気づいたのが小田だった。小田の選考理由は言うまでもなく、先の日本オープンで今野康晴と石川とのプレーオフを制して劇的Vをあげて、いまもっとも旬な選手の一人であることだったが、それにもまして、普段から礼儀正しい選手として知られていることでもあった。
ギャラリーの声援には必ず帽子を取って深々と頭を下げる。初優勝をあげてからは、がぜん応援の声が増えたが、そのたびに何度も何度もお辞儀をするものだから、それでプレーに集中できるのかと見ているこっちが心配になるくらいで、それでもしっかりと翌週のブリヂストンオープンでも優勝争いに加わった。
そのほか、コースに落ちているゴミを積極的に拾い集めてゴミ箱に捨てたり、その様子はマナーに人一倍厳しいドンこと杉原輝雄を彷彿とさせると、関係者の間でもっぱらの評判だ。そんな選手のビデオ出演は、まさにうってつけ。
だがいかんせん、先週の当コーナーでもお伝えしたとおり、本人はもともと人前に出るのが大の苦手ときている。練習場でも、わざわざ一番端っこの打席が空くまで待つというほどで、次の里帰りに予定が入っている地元・鹿児島のテレビ局に出演することでさえ、今から胃の痛い思いをしているというのだから……。
JGTOのスタッフに、「ダメダメダメ、俺なんか絶対にダメ!」と、スタコラと逃げ出した。それでもなお「ぜひに」と執拗に追いすがるスタッフに、「その5人で十分じゃないですか。僕の出る幕じゃない」と、最後まで尻込みしていたが、ついに観念してカメラの前に立ったのだった。
約15分ほどかかったV撮りを終えて部屋から出てきた小田は、やっぱり胃の辺りをさすりながら、「はぁ~緊張しました。もう二度とごめんです」と、顔をしかめつつ、「でも、なんとかセリフは噛まずに言えましたよ」と、ちょっぴり胸を張っていた。
日本オープンチャンピオンも勇気を出してカメラの前に立ったこのVTRは今週の「The Championship by LEXUS」から、スコアモニター等で流す予定だ。「携帯電話やカメラ、ビデオによる撮影はしないで欲しい」ということ、また「選手がプレーに入ったときは、動いたり、音を立てないで欲しい」こと。そして、「自分たち選手はいつでも最高のプレーでファンの皆さんに楽しんでもらいたいと願っていること」などを、6選手がそれぞれ1フレーズずつカメラに向かって訴えかける様子はその声と姿をつなげて音声ありと、なしの2パターンでそれぞれ約30秒ずつに編集される。
小田をはじめ、6選手がVTRの中でどんな表情を見せてくれるのか、楽しみだ。出演した石川遼も、「良いモノが出来ていると思います。絶対に効果はあると思う」と、大いに期待を寄せている。