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ツアープレーヤーたちの個性<池田勇太>

ある日、珍しく元気のない声でポツリと言った。「俺は遼くんみたいに、あんな上手に喋れねえし…。どうせ“悪童”だよ」。

その言動は数日前に掲載された、週刊誌の記事が少なからず影響しているらしかった。どうやら、どこをとっても優等生然とした石川遼に対し、相手が誰であれ、物怖じしない態度や言動が目を引く池田を“悪童”とくくられてしまった記事の見出しに、本人はちょっぴり胸を痛めているようだった。「勝手にイメージを作らないで欲しいんだけどなあ」と、池田はつぶやいた。「ああいう記事って、どういう人が書いてるのかな。俺のことを、良く知ってる記者ではないよね?」と素朴な疑問にため息をついたものだが、そんな記事が書かれるようになったのは、何も今に始まったことではないらしい。

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それは、まずゴルフの才能でその存在が知られるところとなり、同時に活躍が目立ち始めた高校時代にまでさかのぼるという。とはいえゴルフ専門誌以外の雑誌で取り上げられるということは、誰にでもあることではなく、それなりの知名度や話題性があるからこそともいえるだろう。しかし本人にしてみれば、そんなふうにすっぱりと割り切れるものでもなく、「あの頃からず~っと俺は悪役だよ」と、なかば諦めたように振り返る。「でもまあ、確かにあの頃は世間の常識がどういうものかわかんなかったしね」と、苦笑する。

心配した母・ゆみさんは、そんな池田に大学進学を勧め、東北福祉大の阿部靖彦・監督に「一人前の男に育てて欲しい」と、一人息子を託した。「お母さんにも責任を持ってお預かりしますと言った以上、まずは一人の社会人として通用する人間に育てたいと、厳しく指導してきたつもりです」と、阿部監督は言う。「まだまだ、態度の大きさや口のきき方はなっちゃいませんが、僕がうるさく言ったおかげで、あれでもずいぶん良くなったんですよ」と、笑う。

一方で、その個性をつぶさないよう細やかに気を配ってくださった。もともと備わっていた池田の面倒見の良さや、リーダーシップを上手に引き出し、長所をますます伸ばしてくださったのも監督だ。今でも後輩たちに慕われる人望の厚さがそれを物語っている。ゆみさんに女手一つで育てられた池田は、そんな阿部氏を父親同然に慕い「監督には常識から何から、1から100まで教わった」と、今も感謝の気持ちを忘れない。「池田勇太という人間をますます大きくしてくれた」と、確信できる大学の4年間だったのだ。その甲斐あって、生来のやんちゃ坊主の素顔は残しつつ、本人曰く「人として一皮も二皮も剥けた」プロゴルファー池田勇太が誕生したというわけだ。

歯に衣着せぬ物言いは、おべっかやお世辞が言えない。不器用で、真正直な人間性が伺える。一見、ガラは悪いが周囲もみな認めているように、深く話すうちに非常に人情味に厚く、また愛嬌があり、お茶目で憎めない男であることが分かってくる。「わがままな性格だと思う。意地っ張りで強情で、態度も悪い」とは本人も認めるところだが、人の親切や意見を受け入れる素直さも持ち合わせている。確かに、服装から髪型から、何から何まで石川遼とは相対する存在だが、それこそが池田の個性であり何よりの魅力ともいえる。

“遼クン”が2人いてもつまらない。

これから注目されればされるほど、雑音も増えるだろう。そのことによって、これからも傷つくことがあるかもしれない。しかしそれでも池田には、自分を見失うことなくまっすぐに我が道を突き進み、その際立った個性をいっそう伸ばし、いずれはジャパンゴルフツアーを背負って立つ存在に育っていって欲しいと思う。もっとも、そんな老婆心も本人には大きなお世話かもしれない。先の「ミズノオープンよみうりクラシック」で、全英オープンの日本予選ランキングは1位につけて、初のメジャー切符を手にした際に、池田はこう言っている。

「日本でも、イギリスでも、どこでも。池田勇太の持ち味を出して、自分のプレーが出来ればいいと思っています」。そのコメントに大いに共感した石川も「池田さんが言っていたように、僕もリンクスで自分の持ち味を出して頑張りたい」と、抱負を語った。2人とも、自分の意志を貫き通すという意味での“頑固さ”では折り紙つきだ。お互いにどんな結果になるにせよ、若い2人は初めて経験するリンクスコースで必ずや大きな土産を持ち帰ってくることだろう。

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