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佐藤信人の視点 勝者と敗者

試合数が足りない… 想定外の事態に陥ったスピースの屈辱

松山英樹選手を含む、フェデックスカップランキング上位30人に与えられたプレーオフ最終戦「ツアー選手権byコカ・コーラ」の出場権。これから年間王者を決める最後の戦いが始まりますが、一方で、最終戦を待たずして今シーズンを終えた選手もたくさん存在します。

その中には、5年連続で出場を決めていたジョーダン・スピースも入っています。彼は最終戦の翌週に控えている「ライダーカップ」の米国代表選手の一員ではありますが、米国チームの中で唯一最終戦に出場できない選手となってしまったのです。

PGAツアーの規定する年間出場義務試合数(25試合、ただし過去4年間出ていない試合に1試合でも出場すれば免除される)に届かず、罰則を科される可能性が出てきたことも、彼にとっては相当屈辱的なことだと思われます。金額どうこうではなく、罰則を受けてしまう行為に、精神的なマイナスが加えられると予測されます。

そもそも試合数の規定は、大会ごとのトップ選手出場の偏りを無くすことが目的ですが、選手側からすると、意外とこの規定が足かせになっている部分が大きいと言えます。シードを持っていない駆け出しの選手にとっては、そうは言っていられない状況ですが、トップ選手にとっては必ずしも全試合を消化する必要はなく、体に負担がかからないことを念頭に、年間スケジュールを立てて戦っているからです。

一番に考えるのは4大メジャーの出場。次に、世界ゴルフ選手権(WGC)や「ザ・プレーヤーズ選手権」といった大きな試合に出ることが前提に挙げられます。その次にスポンサーが絡んだ試合や、自身の地元が舞台となる試合、またコースの相性を判断基準に置く選手もいます。メジャーの前週を休みにして準備にあてるかどうかも、判断が分かれるところです。以上のようなことを考慮に入れ、最低25試合のスケジュールを組んでいきます。

このように考えると、不調によるスケジュール変更の判断は非常に難しいように感じます。例年になく不調が続いたスピースですが、それでも上位を狙う姿勢は崩してこなかった。数年出場してこなかった大会にいきなりエントリーして、最大の目標であるメジャー制覇、グランドスラム達成への負担になることは、大きなリスクとなってしまいます。ですから、ギリギリでも例年と同じ予定のままここに至ったことは、それほど間違った行為ではないと思えるのです。

数多くの最年少記録を塗りかえ、「マスターズ」や「全米オープン」、「全英オープン」を制してきたスピース。常に彼の後ろを追いかけてきた盟友ジャスティン・トーマスは、ポイント5位の資格で年間王者を十分狙えるところに位置しています。この立場の逆転に、内心穏やかではないことは確かです。

来シーズン、すでにこれまで出場してこなかった秋の大会に出ることを口にしていますが、シーズン冒頭から逆襲に転じていく若き天才の動向に注目して観ていけることが、いまから楽しみです。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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