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佐藤信人の視点 勝者と敗者

あの予選落ちがマキロイを変えた

今季3勝目、ツアー通算17勝目で最終戦を制し、年間王者に輝いたロリー・マキロイ選手(北アイルランド)。一年を通じて安定した成績を収めた彼ですが、ふと振り返ると、先月の「全英オープン」では、地元ギャラリーの期待を一身に受けて臨んだにもかかわらず、屈辱的な予選落ちを喫していました。

初日に8オーバー「79」の大崩れで出遅れたマキロイ選手は、2日目にその日のベストスコアとなる「65」をマークし、予選通過まであと1打というところまで巻き返しました。「人生で一番楽しいラウンドだったかも…」と試合後のインタビューで語った彼は、「今週、はじめは自分のためにプレーしたいと話したけど、きょうは応援してくれているファンのためにプレーしていた」と、涙を浮かべながら振り返りました。

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世界でもファンの多いマキロイ選手。ですが、地元・北アイルランドで受けた声援はある意味別格で、さらなる飛躍を遂げる良いきっかけとなったのでしょう。

地元の声援というのは、どんな選手にとっても大きなパワーになります。身近な例でいうと、松山英樹選手が2016年に「日本オープン」に凱旋出場した際、本人も驚くほどの待遇を受け、その流れに乗って同大会で優勝しました。その後、立て続けに米ツアー「WGC HSBCチャンピオンズ」「フェニックスオープン」で優勝し、16-17年シーズンは過去最高の成績を挙げることができました。それほど地元の声援は、選手に大きな変革をもたらす力となり得るのです。

また今季のマキロイ選手を見ていると、精神的な成長がうかがえる年でもありました。これまで彼は最終日最終組では勝てないと言われ続け、昨季は欧米両ツアーで合わせて6度も最終日最終組とチャンスを得たものの、いずれも勝てず。今季に入ってからも、序盤の「セントリートーナメントofチャンピオンズ」「WGCメキシコ選手権」「アーノルドパーマー招待」を最終組で回りましたが、すべて優勝を逃してきました。

そんな彼が「全英オープン」の前ではありますが、「RBC カナディアンオープン」でついに最終組での優勝を果たします。「全英」直後の「WGCフェデックス セントジュード招待」では、最終組で一緒に回ったブルックス・ケプカ選手(米国)に敗れはしたものの、今大会で見事リベンジを果たしました。

彼ほどのレベルであれば、単にシーズン終盤にかけて調子が上向いただけととらえる人もいると思いますが、あの予選落ちを機に彼のモチベーションがぐっと上がったことは確かだと思われます。いまでも「自分のためにプレーしたい」というスタンスでいたならば、最終日最終組、しかもシーズン最終戦の最終日に、最高の結果を残すまでには至らなかった気がします。(解説・佐藤信人

佐藤信人(さとう のぶひと)
1970年生まれ。ツアー通算9勝。千葉・薬園台高校卒業後、米国に渡り、陸軍士官学校を経てネバダ州立大学へ。93年に帰国してプロテストに一発合格。97年の「JCBクラシック仙台」で初優勝した。勝負強いパッティングを武器に2000年、02年と賞金王を争い、04年には欧州ツアーにも挑戦したが、その後はパッティングイップスに苦しんだ。11年の「日本オープン」では見事なカムバックで単独3位。近年はゴルフネットワークをはじめ、ゴルフ中継の解説者として活躍し、リオ五輪でも解説を務めた。16年から日本ゴルフツアー機構理事としてトーナメントセッティングにも携わる。

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