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ひらがな選手の優勝はツアー初 父の夢を叶えた「ささきしょうこ」

リーダーボードの最上位に名を連ね、大観衆が待つ18番グリーンへ花道を上がっていく――。国内女子ツアー「大東建託・いい部屋ネットレディス」は、ささきしょうこが最終日に6バーディ3ボギーの「69」で通算9アンダーとして逆転でツアー初優勝。何度も夢に見た悲願のシーンを、ギャラリーの中で父はまぶたに焼き付けていた。

1打差を追ったこの日のささきは、出だしの1番(パー3)でピン奥2mに付けてバーディ発進とし、早々に首位を捕らえると、続く2番では約2.5mを沈めて2連続バーディで単独首位に踊り出た。流れを作り、結果的に優勝を決めたといってもいい完璧なスタートダッシュだった。

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だが、前夜は「緊張して眠れなかった」という。昨年7月に出場した国内女子下部ステップアップツアー「京都レディースオープン」で、最終日を首位で迎えながら、ロングホールで「11」を叩いて優勝争いから脱落した苦い記憶があった。脳裏にその時が蘇りかけ、眠りに落ちることができなかった。

プロゴルファーを目指した9歳の頃から、父・修治さん(56)と二人三脚でプロゴルファーへの道を歩んできた経歴を持つ。修治さんは娘の夢に賭け、その時に勤めていた会社を退職。住んでいた家を売却し、ゴルフ場へ住み込んだこともある。ともに悪戦苦闘し、ゴルフの実力を上げてきた楽しい思い出も少なくない。だが、成長するにつれ、ささきもその事実一つひとつの重さを理解するようになっていった。

「その重みに気づいて、早くプロになって恩返しをしなくちゃいけない」と、感じながらのツアー生活1年目だ。

一方、修治さんは娘がプロになってからも、トーナメント会場に毎試合足を運んでいるが、試合が始まるとささきの組のロープ脇には姿を見せず、遠く物陰から見守る程度にしているという。試合中に自分の姿が見えることで、娘のプレッシャーになりはしないかという、父なりの配慮からだ。

優勝会見でささきは、「自分が言い出して始めたゴルフなのに、途中で逃げ出したくなることもあった」と振り返った。「これまで自分を支えてきた両親をはじめ、ファンの方、キャディさん・・・みんなに支えられているんだなと思うと、頑張るしかないと思った」と感謝の言葉が続いた。表彰式では、応援してもらった多くのギャラリーを見渡し、堪えていた涙がついにこぼれた。

「もらった賞金は、そっくりそのまま両親にプレゼントしたい。使い途は、父と母の好きなように使ってもらえれば」。何度も父が夢に見たという優勝シーンを実現してみせた娘は、これまた絵に描いたような優勝賞金の使途を明かした。

ひらがな表記で目立つ「ささきしょうこ」。親からもらった名前は “佐々木笙子”だが「笙」の文字が読み間違えられること、姓名判断から登録名をひらがなとした。「(優勝で)みんな覚えてくれたと思う。当面はこれでいきたいと思います」。

日本女子プロゴルフ協会にひらがなで選手名登録している選手はほかに、「かねだひろみ」、「たにひろえ」の2人。優勝したのはツアー初だった。(山梨県鳴沢村/糸井順子)

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2016年 大東建託・いい部屋ネットレディス



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